家電
オーブン・レンジ
2020/2/4 19:30

「ジップロック公認トースター」で低温調理した豚肉と鶏レバーは絶品。

米Anovaの「Anova(アノーバ)」シリーズや葉山社中の「BONIQ(ボニーク)」など、水を張った鍋に入れて使う低温調理器が一部の料理好きに人気になっています。低温調理は肉などをしっかりと殺菌しながらも、タンパク質を熱変性させずに調理できるため、まるで生のような食感と味わいを楽しめるのが魅力です。

 

しかし、調味料などにつけ込んだ食材をフリーザーバッグに入れ、水を張った鍋に入れて数時間かけて調理するため、手間と時間がかかってしまうのが最大の難点です。そんな低温調理の面倒くささを大幅に低減してくれる製品が登場しました。それがテスコムの「低温コンベクションオーブン TSF601」(実売価格1万5290円)です。

↑テスコム電機が2019年11月に発売した「低温コンベクションオーブン TSF601」

 

その魅力は以下の3つです。

●トースターとして普段使いできる
●ジップロックを使って手軽に低温調理が可能
●ビーフジャーキーやドライフルーツなども作れる

順を追って紹介しましょう。

 

最大4枚まで焼けるトースターとして普段使いが可能

低温調理が可能な調理家電は数多くあります。Anovaのように鍋に入れて使うスティックタイプの製品だけでなく、シャープのヘルシオ ホットクックのように電気調理鍋にも低温調理機能が搭載されています。一方、TSF601は、「トースターの置き換え」に最適なモデルになっています。

 

実勢価格1万5000円前後と、ちょっと高めのオーブントースターといったところ。サイズは幅346×奥行き395×高さ243mmとちょっと大きめですが、トースト4枚が一気に焼けるだけでなく、直径25cmまでのピザなどが焼けるのも魅力です。

↑トーストを焼く際は、ダイヤルをトーストモードに合わせてタイマーで調理時間を設定すればOK

 

ジップロックのフリーザーバッグやコンテナーを庫内に入れて低温調理ができる

TSF601の最大の注目機能の1つが35℃から70℃まで5℃刻み(70℃から90℃まで10℃刻み)で、最長12時間まで設定できる低温調理機能です。低温調理は数℃変わると食感が大きく異なるため、できれば1℃刻みにしてほしかったところではありますが、それでも5℃刻みなら十分便利に使えるでしょう。

↑TSF601の操作部。低温、低温コンベクション、高温、高温コンベクション、トーストの5モードが用意されています

 

↑タイマーはダイヤル式で、12時間まで設定可能です

 

さらに注目したいのが、ジップロックのフリーザーバッグやコンテナーをそのまま庫内に入れて調理できるという点です(フリーザーバッグは80℃まで、コンテナーは90℃まで対応)。TSF601の取扱説明書にあるローストビーフのレシピは、フライパンで焼き色を付けてからアルミホイルで包み、70℃で2時間半調理するというものでした。ジップロックに入れる手間はありますが、調味料などが庫内に分散することなく調理できるため、お手入れがラクになるのもポイントです。

 

ちなみに、「ジップロック」は、旭化成ホームプロダクツが販売するジッパー付きバッグや保存容器のブランド。2019年12月には、TSF601が食材をジップロックに入れたまま低温調理できる家電として、旭化成ホームプロダクツに公認されています。

牛・豚・鶏をジップロックで低温調理してみる

200℃のオーブンに手を入れてもやけどしないことでもわかるように、空気は水に比べて熱伝導率が低いのが特徴です。そのため、水中で行う低温調理と違ってうまく調理できないのではないか……? そんな不安を持ちつつ、実際に作ってみることにしました。

 

最初に作ったのはローストビーフです。これはレシピのまま70℃で2時間半調理したところ、ちょっと中まで火が通り過ぎた印象がありました。タンパク質は約66℃で変性するため、65℃もしくは60℃でしっかり火が通るまで調理するのがよさそうです。

↑レシピ通り、70℃で2時間半調理しました

 

↑悪くはないですが、低温調理の良さは生かし切れませんでした

 

そこで次は、豚肩ロースのブロック肉と鶏ささみ、鶏レバーと鶏の砂肝を低温調理することにしました。豚肩ロースと鶏ささみはジップロックのフリーザーバッグに、鶏レバーと鶏の砂肝はコンテナーに入れて調理してみます。

↑鶏レバーと鶏の砂肝はコンテナーに入れて調理してみることにしました

 

↑豚肩ロースブロック肉と鶏ささみ、さらにジップロックのコンテナーを一緒に入れられる庫内容量は大きな魅力。低温調理は時間がかかるだけに、一度に複数の調理ができるのはメリットです

 

中までしっかり火が通らなくても大丈夫な牛肉と違って、豚肉は中まで火が通らないと危険です。ちなみに厚生労働省「食品別の規格基準」の「食肉製品の製造基準」によると、食肉の中心温度が55℃なら97分、60℃だと12分加熱する必要があります。十分安心できるくらい長時間に設定しようということで、今回は60℃で12時間調理することにしました。

 

ローストポークと鶏レバーの仕上がりに驚いた

調理後の豚肉は、中がピンク色でしたが、火はしっかりと通っていて味は絶品。しっとりかつジューシーで、口に入れるとホロホロととろけるような食感でした。私が常に思っていることですが、ローストビーフはどこでもおいしいものが食べられますし、スーパーでも手軽に購入できる一方で、ローストポークは中まで火を通すためには時間がかかるため、なかなかおいしいものを食べる機会はありません。その意味で、自宅で時間をかけてでも作る価値が十分にあると感じました。

↑ローストポークはピンク色ですが火はしっかりと通っています

 

ささみは柔らかく仕上がりましたが、ホロホロになりすぎてしまい、好みが分かれる食感です。素直に鶏むね肉を使ったサラダチキンにした方がよさそうな印象でした。

↑ささみは正直、普通に焼いた方がおいしいかもしれません

 

一方、鶏の砂肝と鶏レバーはなかなかの仕上がりに。砂肝は力を入れなくても歯がサックリと入るような柔らかさが印象的。特に鶏レバーは絶品で、箸で持つだけで崩れるくらいみずみずしく、レバーペーストのようにナイフでそのままパンに塗れるほどの柔らかさでした。

↑鶏レバーは絶品! 鶏の砂肝もなかなかの仕上がりでした

 

↑鶏レバーをトーストに載せてみたところ、ナイフでそのまま塗ることができました

 

手軽に手作りジャーキーが作れる乾燥機能が便利

トーストが焼けてピザの温めなども可能、かつ低温調理もできるというだけでかなり魅力的なのですが、庫内をムラなく加熱するコンベクション(対流)ファンを搭載し、低温でのコンベクション調理に対応している点にも注目です。この低温コンベクション機能を利用した魅力的な調理が、食品を乾燥させる機能です。こちらは、温めと乾燥を同時に行うことで、ビーフジャーキーやドライフルーツを作れるというもの。

 

酒飲みにはたまらないビーフジャーキーを早速……と思ったのですが、手元にちょうど豚肩ロースの薄切り肉があったので、ポークジャーキーを作ってみることにしました。

 

ビーフジャーキーのレシピは60℃で6時間とありましたが、手っ取り早く調理したいということもあって、70℃×6時間に設定しつつ、様子を見ながら調理をすることにしました。

↑クッキングペーパーの上に薄切り肉を並べ、塩コショウに加えてガーリックチップを適当に散らしました

 

レシピよりも10度高い70℃に設定したため、4時間後にはほぼできあがっている感じになりましたが、レシピと同じ6時間後まで待ってみることにしました。

↑6時間後にできあがり。温度が高めになっていたこともあって、カリッカリに仕上がりました

 

調理が完了したポークジャーキーはカリカリに仕上がっていて、豚肉のうま味が凝縮されている印象でした。ビーフジャーキーもいいですが、手軽さではポークジャーキーもおすすめです。また、保存性を気にしなければ、乾燥時間を調整してしっとりとしたジャーキーを作ってみるなど、さまざまな乾燥度合いを試してみても楽しいでしょう。

 

買い替えを検討中なら、コスパの高いTSF601は有力候補

「絶対にトーストは食べないからトースターは不要」という方は珍しいと思うので、恐らくほとんどの家庭にオーブントースターがあることと思います。最近はバルミューダの「BALMUDA The Toaster」や三菱電機の「ブレッドオーブン」など、トーストのおいしさに徹底的にこだわったトースターも増えていますが、TSF601はトースターとしての基本をしっかりと押さえつつ、低温調理や乾燥機能を盛り込んだ点がほかにはない魅力です。

 

この価格でこの機能・性能はかなりコスパが高いと言えるので、トースターの買い替えを検討している人なら、ぜひ候補に加えてみてください。特に、お酒のつまみを自分で作りたいという人にはおすすめですよ!

 

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