家電
2016/7/26 21:09

「シロカ」を快進撃に導いた「ちょっとだけいい」哲学とは?

siroca(シロカ)というメーカーをご存じでしょうか? 全自動コーヒーメーカーをシリーズ累計で約20万台販売し、ノンフライオーブンをシリーズ累計で約50万台販売するなど、目覚しい活躍を見せる気鋭のメーカーです。同社は2016年4月、旧社名のオークセールから「シロカ株式会社」に改称。同時に、神保町に新社屋を構え、ここに移転しました。まさに昇り龍のごとき勢いを見せる同社ですが、その躍進の理由とは何なのでしょうか? 新社屋に突撃し、探ってみました!

 

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シンプルで美しい「ちょっといい」商品の提供を目指すシロカ

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↑新社屋のショールーム

 

シロカは、2000年、卸売りの「オークセール」としてスタートし、2007年には自社の家電ブランド「シロカ」の販売を開始。やがてこちらが評判となると、ユーザーから「社名とブランドが違うのがややこしい」と指摘されるようになり、今回の社名変更に至りました。いまでは、扱う製品のほとんどが自社製品となっています。

 

その商品の魅力は、まず手頃な価格にあります。ノンフライオーブンSCO-501が1万170円、大ヒットした全自動コーヒーメーカーSTC-501は1万2180円、電気圧力鍋 SPC-101は1万2800円と、主力の製品がほぼ1万円台前半なのです。一般的な全自動コーヒーメーカーが2万円~、電気圧力鍋は2~3万円であることを考えると、同社の製品がいかに求めやすいかがわかるでしょう。

※価格はすべて実売価格(以下同)

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↑同社の全自動コーヒーメーカー。ミル内蔵で、水と豆を入れるだけで挽きたての味が楽しめます

 

全自動コーヒーメーカーSTC-501

 

↑クックマイスター SPC-101。最近の電気鍋ブームを牽引するモデルのひとつ
↑電気圧力鍋 SPC-101。最近の電気鍋ブームを牽引するモデルのひとつ

 

電気圧力鍋 SPC-101

 

もうひとつ、製品に共通する特徴が、美しくシンプルなデザイン。余計な装飾や色使いを省いた外観は、モダンな部屋にも無理なく溶け込んでくれます。

 

同社は「ちょっと便利で、ちょっと豊か」をコンセプトとしているそう。創業者のひとり、安尾雄太(やすお・ゆうた)副社長によると、「“ちょっといい”というのがウチの製品。同じ安い製品でも、どうせならこっちを選びましょうよ、という提案をしています」とのこと。無茶な製品開発に手を出さず、ほんの少し上の提案を加えることで、買いやすい価格とシンプルな操作を実現しているのでしょう。一般的なお手頃価格の製品と比べて上質なデザインも、そのコンセプトの一環かもしれません。

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↑2WAYハンディ&布団クリーナーstingray。右がシャンパンシルバーのSVC-350(9472円)で、左がパールホワイトのSVC-350A(1万230円)で、両者ともほぼ1万円という驚異的な安さを誇っています

 

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↑stingrayの駆動部はワンタッチで取り外すことができ、ハンディクリーナーになります(左)。別売のパーツを使えば、スティック掃除機に早変わり(右)

 

2WAYハンディ&布団クリーナーstingray SVC-350A

 

シロカのノンフライオーブンとサーキュレーター扇風機がかなりいい

ちょっとどころではなく、かなりいいなと思うモノもあります。そのひとつが、ミニノンフライオーブンです。デザインもモダンで、油を使わないノンフライ調理が可能。揚げ物がサックサクに温め直すことができ、トーストを焼けば、外はカリっと中はフワっと仕上がります(過去の関連記事はコチラ)。

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もうひとつ、筆者が気になったのが、サーキュレーター扇風機 SCS-401(1万750円)。こちらのモーターは、技術力に定評のあるミネベア社製で、その高い強度によって逆回転モードを実現しました。逆回転モード時、扇風機の前面を真上に向けると、床に風を当てることが可能。すると、風は床で砕けて四散し、そよそよと足元を撫でる心地よい間接微風に変わります。

↑サーキュレーター扇風機 SCS-401はかなりコンパクト。上に向けて逆回転させると、やわらかな風が足元をなでます。特に床で過ごすことの多い「床の民」には願ってもない品でしょう
↑サーキュレーター扇風機 SCS-401はかなりコンパクト。上に向けて逆回転させると、やわらかな風が足元を撫でます。特に床で過ごすことの多い「床の民」には願ってもない品でしょう

 

サーキュレーター扇風機 SCS-401

 

空気を攪拌するサーキューレーターとしても1年中使えるほか、室内干しの衣類に向けて使うと自然乾燥の約2.5倍のスピードで乾くとのこと。しかも、省エネのDCモーターを使用しているので、電気代は1か月わずか約9円で済むといいます。なるほど、本機やミニノンフライオーブンを見るにつけ、シロカ製品はデザインしかり、機能しかり、安さのほかに何かしらプラスαがあるのがわかります。

↑前ガード中央部には、アロマパッド付き。グリーン系の爽やかなオイルをたらしたら、森にいるような気分になれるかも
↑前ガード中央部には、アロマパッド付き。グリーン系の爽やかなアロマオイルをたらしたら、森の中にいるような気分になれるかも

 

シロカのジューサーで絞ったジュースは記憶に残る酸っぱさだった

もちろん、シロカでは1万円以上の価格帯の商品も用意しています。なかでも自信作が、今年の6月に発売されたスロージューサー SSJ-201とのこと。実売価格は2万1390円です。特徴は、幅約18cmで省スペースに置けるスリムな縦型フォルム。すっきりとしたシロカらしいデザインで、出しっぱなしにしても違和感のない軽やかな外観となっています。機能面では、石臼式のスクリューで食材をゆっくり押し潰すように搾るので酸化しづらく、手で搾ったような風味豊かなジュースが仕上がるといいます。

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↑スロージューサーのSSJ-201。高速回転ジューサーと違って、食材に熱を加えずゆっくり搾るため、熱に弱い酵素やビタミンB、Cなどの栄養素が失われにくくなっています

 

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↑上から素材を入れると(上写真)、左から搾ったあとの繊維、右からジュースが出てきます(下写真)。付属のレシピブックには、搾ったあとの繊維を使ったレシピも多数掲載

 

スロージューサー SSJ-201

 

実際に、ミニトマトとグレープフルーツジュースを搾ったものを味見させてもらうと……すすすす酸っっっっぱいぃぃぃ!! にわかに額に汗が浮かび、一瞬意識が遠のきました。……ただ、この酸っぱさは決して悪い意味ではありません。素材そのものの味を引き出すというスロージューサーの本義からかんがみると、これ以上ない結果を出したといえます。

 

今回、素材が酸味×酸味だったのでこうなりましたが、シロップなどを入れれば格段にウマくなるはず。素材のどちらかが甘い果実だったら、間違いなく激ウマ濃厚ジュースが出来上がったことでしょう。

↑鮮烈すぎるジュース
↑鮮烈すぎる酸味が印象的なジュース。いま思い出してもつばが出てきます

 

もうひとつ想像できたのは、「このジュースでお酒を割ったら絶対ウマイだろうな」ということ。好みのフルーツを搾ってウォッカや焼酎で割れば、極上のカクテルができるでしょう。果汁の酸化が少なく、ビタミンCなどの栄養もたっぷり残るとあれば、悪酔いしにくいことも容易に予測できます。家族みんなの朝食に、お母さんの美容のため、お父さん(お兄さん)の晩酌にと色々な使い道がありそうです。

 

一見無茶ぶりの人事に、シロカ成長の秘訣あり?

次に、同社の内部に目を向けてみると、大胆な人事も特徴のひとつとのこと。例えば、今回取材をセッティングしてくれた原 涼子さんは、前職がグラフィックデザイン系のデザイナーだったのですが、数か月出版社でバイトしたことがあるというだけで、広報に抜擢されました。

 

また、調理家電のレシピ開発を担当する溝上直枝さんは、もと人事・総務で働いていましたが、こちらも料理を作るのが好きという理由だけで現職を任されました。その後、ホームベーカリーの開発時は半年間パンを焼いて味見を続けるなど、大変な経験をされたそうです。

 

こうした思い切った人事は、一見無茶ぶりにも見えますが、抜擢したスタッフが成長し、しっかり結果を出しているのは事実。実はこのような人事こそ、同社の新たな発想と活力を生む原動力になっているのかもしれません。

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↑創業者の安尾雄太副社長。前述の大胆な人事を実行した張本人です。かつては12年間毎日徹夜をするなどのモーレツな働きぶりで、会社を成長させました。現在は社長の福島 誠司氏と共同で会社を経営し、海外を飛び回る生活を送っています

 

現在はナゾの新商品を開発中!シロカから目が離せない

最後に、筆者は前述の溝上さんによるレシピ開発の現場を拝見。その際、ホームベーカリーを使って作ったガレット(そば粉のクレープのようなもの)を味見しましたが、芳醇な風味が楽しめて、麺のそばよりもそばらしい味わいが印象に残りました。

 

こんな味が出せるホームベーカリーだけでも驚きですが、何やら溝上さん、このほかにも新製品の新メニューを開発中とのこと。この新製品が何なのかはわかりませんが、いままでの流れを受けたオシャレでちょっといい、シロカらしい製品なのでしょうか。ただ、担当の方の口ぶりからすると、いままでとはちょっと違う雰囲気もあり……。とにかく、何が出てくるか楽しみですね。シロカがこれからどのような製品を出し、どのように成長していくのか、今後の展開に注目しましょう!

↑6階の社員がくつろぐフロア。6階には、調理
↑6階の社員がくつろぐフロア。6階には、調理家電を使って試行錯誤を行う部署もありました

 

↑溝上さんがレシピ開発に関わったホームベーカリーのSHB-712。食パンのほか、そばやうどん生地、もち、生キャラメル、フレッシュチーズが作れるなど、高い汎用性が魅力です。
↑溝上さんがレシピ開発に関わったホームベーカリーのSHB-712(実売価格1万1600円)。食パンのほか、そばやうどん生地、もち、生キャラメル、フレッシュチーズが作れるなど、高い汎用性が魅力です

 

【URL】

シロカ https://www.siroca.co.jp/

 

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協力:楽天市場