家電
2020/11/4 19:00

災害対策で給湯器「エコキュート」のニーズ急増! 最新機は「省エネ以外のメリット」に注目

ゲリラ豪雨や台風など、水害を中心とした自然災害が日本中で多発しています。それに加え、日本は常に地震の危険にさらされており、まさに災害大国といっても過言ではありません。こうした自然災害時に困るのがライフラインの寸断。電気、水、ガス、通信の断絶は命にも関わるものです。そんななか、エコキュート(※)がライフラインの1つである水の確保に役立つと、その存在が見直されています。

※エコキュート……空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機で、二酸化炭素を冷媒として使用するもの。省エネ性に優れ、火を使わないので空気を汚さないのが特徴

 

電気給湯機・エコキュートの需要が拡大中

エコキュートの国内市場は、2011年3月の東日本大震災以降、電気を多く使うことの罪悪感や生活エネルギーを電力だけに依存することへの不安感、さらには電力会社への不信感などからマイナス傾向にありましたが、2016年かはらは増加に転じ、2020年度は年間50万台強、累計700万台に達すると見込まれています。これは、2010年以前のオール電化初期ユーザーの買い替えや、卒FITを迎える太陽光発電ユーザーの拡大(※)が主な理由です。

※FIT(固定価格買取制度)は、住宅用太陽光発電で作られた電気の高値買取を10年間保証する制度。保証期間が終了後は売電価格が急落するため、売電せずに自家消費に充てる家庭が増えます。余剰電力買取制度(FITの前身)は 2009年に始まっており、2019年から順次、卒FITを迎えるユーザーが出てきます

↑2015年を底に増加傾向にあるエコキュート市場

 

しかしその一方で、頻発する大規模自然災害への備えとして、エコキュートを求める動きも高まっています。パナソニックが実施した災害に備えて導入した住宅設備アンケートでは、1位にエコキュートが入りました。エコキュートはタンクの中に常に300~460Lの水(またはお湯)が入っており、停電時・断水時でもタンクの中の水を生活用水として利用できるからです。

↑災害に備えて導入した住宅設備の1位にエコキュート・電気温水器

 

エコキュートの場合、シャワーやお風呂などでタンクの中のお湯を使用しても、使用した分だけ水が追加されるので、タンクの中は常に満タン状態となり、空になることはありません。そのため、断水になってもその時点で満タン状態を維持しており、タンクの中の水・お湯がまるごと使えることになります。例えば370Lモデルのエコキュートの場合、中の水は20Lポリタンク約18個分となり、4人家族が2~3日過ごせる分の生活用水を確保できることになります。

 

断水時はタンク底部の取り出し口から直接、水を取り出すことになりますが、断水はせず停電のみの場合は、水道管からの水圧によりタンク内に残っているお湯をキッチンの蛇口やお風呂、シャワーで使うことができます(ただし、停電により温度調節機能がストップしているため、熱湯が出る危険性があるので注意が必要)。

↑エコキュートは断水時にもタンクの中の水・お湯を生活用水として利用できます

 

災害の警報・注意報を受けて自動沸き上げを行う機能を新搭載

こうした声を受け、パナソニックは10月10日に初の災害対応機能「エマージェンシー沸き上げ」を搭載したエコキュートを発売することとしました。価格はスタンダードクラスのNSシリーズがオープン価格で、ミドルクラス(Jシリーズ、Nシリーズ、Cシリーズ)~プレミアムクラス(JPシリーズ)が65万2000~101万4000円(税抜・工事費別)。「エマージェンシー沸き上げ」は簡単に言うと、気象庁が発表した各種警報・注意報と連動し、自動的にエコキュートのタンク内の水全てを沸き上げるものです。

 

新製品は、エコキュートをコントロールする壁付けのリモコン(台所リモコン)に無線LANを搭載し、標準仕様でスマートフォンとの連携が可能になっています。専用のスマホアプリは気象情報会社のウェザーニューズと提携することで、自宅のある地域に気象警報が発令されたら自動で通知、同時にエコキュートが自動で全量沸き上げを開始します。

 

設定できる警報・注意報は、大雨・暴風・暴風雪・波浪などの特別警報、大雨・洪水・暴風などの警報、雷注意報です。エコキュートは普段、電気料金が安くなる深夜に自動沸き上げするよう設定されていますが、警報・注意報を受けて自動沸き上げすることにより、実際に大雨や雷などの影響で断水・停電しても、エコキュートの中の温かいお湯がいつでも使えるようになるのです。

 

なお、地震の場合は警報が発令されて間を置かずに発生し、断水・停電する場合も地震発生から短い時間で起こるため、エコキュートを稼働している時間がないことから、地震警報はエマージェンシー沸き上げ機能の対象外となっています。

↑スマホアプリでエマージェンシー沸き上げ機能に連動する警報・注意報は選択できます。なお、警報が解除されるとエコキュートの沸き上げも自動で停止します

 

↑警報を受信するとエマージェンシーアイコンがオレンジ色に点灯し、沸き上げアイコンがアニメーションで稼働中を知らせます

 

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