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2022/10/27 11:30

バルミューダ最新トースターの新機能「サラマンダーモード」を徹底レビュー! 4つの料理で「メイラードおじさん」も大満足

「BALMUDA The Toaster」(バルミューダ ザ・トースター)といえば、「スチームテクノロジーと完璧な温度制御によって誰でも簡単に、驚くほどおいしいトーストを作ることができる」とされるバルミューダの看板商品。その新モデル「BALMUDA The Toaster Pro」(バルミューダ ザ・トースター プロ)が9月15日に発売され、編集者から筆者にインプレッション依頼が舞い込んできました。しかも、ちょっと変わった方向性で。

↑「BALMUDA The Toaster Pro」は実売価格3万5200円。プロ仕上げの火入れを実現する「サラマンダーモード」が最大の特徴です

 

編集者いわく、「中山さん、レビュー記事でよく“メイラード反応”という言葉を使いますよね。正直、なんだよメイラードって。誰もが知っていると思うなよ……と苦々しく思っていたんですが、バルミューダの新作トースターがまさにメイラードなトースターなんですよ。発表会のプレゼンで、社長がその言葉を口にしていまして。そこで、ぜひ中山さんに『メイラードおじさん』として『BALMUDA The Toaster Pro』のメイラードっぷりを試してほしいんです」とのこと。

 

メイラードおじさんとは一体……(苦々しく思われていたのか……)。ともあれ、メイラード反応とトースターとの関係が深いのは確かですし、まあいいでしょう。

 

「メイラード反応」とは、焼き目をつけると美味しくなること

まずは、さっきから話に出ている「メイラード反応」(英語でMaillard reaction)について説明していきましょう。これは、糖とアミノ酸を加熱することで、褐色物質の「メラノイジン」などが発生する反応のこと。食材を加熱すると茶色くなる現象であり、これに伴って香りやうまみも生成されます。要は、「焼き目をつけると美味しくなる」ということですね。

 

例えば、「おこげが好き」「炙り寿司が好物」「ベーコンはカリカリ派」「プリンは蒸しより膜がある焼きプリンがイイ」といった人は、メイラード反応の恩恵を受けているといえるわけです。

↑左右の違いがメイラード反応の強弱です

 

メイラード反応を存分に楽しめる「サラマンダーモード」

そして、このメイラード反応を存分に楽しめるのが「BALMUDA The Toaster Pro」の新機能「サラマンダーモード」。火力を上火に一極集中させることで、数秒のうちにこれまでの1.4倍もの熱エネルギーを食材に届けます。これにより、短時間で食材の表層に強い焼き目をつける=メイラード反応を起こして美味しくしながら、本来の食感や風味を活かした調理が可能となるのです。

↑モードダイヤルの右下に見えるのが、新たに追加されたサラマンダーモード

 

↑本体上面には各モードの解説が記載されています

 

ちなみにサラマンダーというのは、ゲームやファンタジー小説などで登場することもある火の精霊のこと。おじさんたちにはコナミ「グラディウス」シリーズのシューティングゲーム「沙羅曼蛇」でもおなじみですね。

 

一方で、料理業界でサラマンダーは料理の仕上げに焦げ目をつける調理器具として知られ、フレンチレストランを中心に重宝されています。「BALMUDA The Toaster Pro」は、この調理器具の機能を搭載したトースターというわけです。

 

サラマンダーモードのトーストは明らかに香ばしい

まずは定番のトーストでその真価を試してみました。4枚切りの厚切り食パンを用意し、そのうち2枚をトーストモードで3分焼き、片方はさらにサラマンダーモードで15秒仕上げました。

↑「BALMUDA The Toaster」でもおなじみの、水を入れる所作。これによって庫内にスチームが充満し、サクふわ食感に焼き上がるのです。なお、サラマンダーモードやクラシックモード(170℃、200℃、230℃で焼く)では水を入れません

 

焼き上がりは下の写真の通り。サラマンダーモードを使ったほうが明らかに香ばしいビジュアルです。また、しっかりとしたメイラード反応によって香りもワイルド。味の違いはどうでしょうか。

↑写真右がサラマンダーモードを使用したトースト。香ばしさの違いは一目瞭然。これぞメイラード反応の妙!

 

トーストモードだけで焼いたほうはサクサクのふわもちで、これはこれで十分なおいしさ。一方のサラマンダーモードで「追い焼き」したほうは、ふわもちの弾力はそのままに、表面がザクザク食感に。断面をチェックすると、サラマンダーモードを使ったほうが、メイラード反応によるサクサクの表層が深くなっていることがわかります。

↑断面を見ると、サラマンダーモードを使ったほう(右)がサクサクの層が深いです。サラマンダーモードを使うレシピは、「ゴールデン・バタートースト」として公式サイトに載っているのでご参考ください

 

どちらがおいしいかは好みによると思います。前述したような、おこげが好きな人、香ばしい風味が好きな方はサラマンダーモードのほうが好きと感じるかもしれません。

↑香ばしい風味がバターにマッチ

 

ピザは生地と耳がクリスピーな食感に

「BALMUDA The Toaster」シリーズは、パン以外もおいしく調理できるのが魅力のひとつ。続いて、パン以外をサラマンダーモードで焼いたらどうなるのかを試してみました。まずはピザのリベイク(焼き直し)から。

↑チーズトーストモードで4分焼いたのち、サラマンダーモードで15秒追い焼きします

 

サラマンダーモードは一気に最高温度で焼くので、焦げすぎてしまうこともあります。そのため、前面パネル(窓)から目を離さずに見守ることがオススメ。ピザではいい感じにサラミ表面の脂がジュワッと浮き立つ様や、メイラード反応によってチーズがほどよく焦げるシーンも見ることができました。美味しいものが出来上がっていくのを見守る時間って、ワクワクしますよね。

↑好みの焼き加減になったら、既定の時間を待たずに取り出してもOK

 

サラマンダーモードで焼いたピザは、耳を含むクラスト(生地)がカリッとクリスピーに。一般的なピザはクラストがふにゃっとなりがちですが、このリベイクでは土台がほどよくハードでしっかりした食感でした。メイラード反応による香ばしさも加わって、食欲を刺激する仕上がりとなりました。たった15秒でこの差が出るのはサラマンダーならではですね。

 

パーティに出せそうなおしゃれなタパスもカンタン

次はマッシュルームのガーリックグリルを作りました。調理はカンタン。ヒダの部分に刻んだ生ハムとニンニクをのせ、オリーブオイルを適量かけて焼くだけです。

 

「BALMUDA The Toaster Pro」では、クラシックモードの230℃で8分焼き、仕上げにサラマンダーモードで2分。これだけで、スペインバルのタパス(小皿料理)のような一皿が完成しました!

 

イイ感じのメイラード反応で見た目はもちろん、味のほうもばっちり。マッシュルームはジューシーで、生ハムとニンニクはカリカリのナイスなメリハリ食感に。きのこ特有のうまみに、ニンニクのコクと生ハムの塩味があるので、味付けしなくても十分ウマいです。

↑マッシュルームの調理には、オリジナルの別売アクセサリー「野田琺瑯ホワイトバット 21取(ロゴ入り)」1760円(税込)を使いました。もちろん、他社のバットでも代用できます

 

↑白ワインやビールが飲みたくなる味。パーティのフィンガーフードに最適なサイズ感もナイス

 

「2段攻め」で魚はふっくらパリパリのレストランレベルに!

ラストは魚料理。こちらはもう、素材だけで挑戦してみようと思い、鯛の切り身にオリーブオイルと塩こしょうだけでシンプルにいきました。身はふっくら仕上げるため、通常の火入れにはトーストモードを活用します。

↑これはまだノンメイラードな状態。まずはトーストモードで15分、じっくりふっくらと焼いていきます

 

焼き上がったら、サラマンダーモードで2分30秒追い込んでいきます。すると、ラストは皮目がパリッとしたビジュアルに。ナイスメイラード! これは期待できます。

↑皮目がぷっくりと丸くふくれ上がり、間違いなく美味しい仕上がりに!

 

こうして鯛のポワレが完成。味わってみると、身のふっくらとしたみずみずしさと、香ばしい皮のパリパリ感が絶妙なコントラスト。最適なメイラード反応が功を奏し、レストランレベルといっても過言ではないウマさ。魚を手軽においしく焼くなら、トーストモードとサラマンダーモードの2段攻めで決まりでしょう!

↑レストランレベルに仕上がりました!

 

今回、メイラード反応にアツく焦がれる「メイラードおじさん」として「BALMUDA The Toaster Pro」をインプレッションしてきましたが、どの料理もナイスメイラード! おじさん納得の仕上がりでした。サラマンダーモードで表面をサッと炙るだけで、料理の風味だけでなく、シズル感も大幅アップ。表面がカリっと焼けていく視覚効果も相まって、料理がより楽しく、美味しくなりました。みなさんもぜひご自宅で、極上のメイラード体験を味わってみてはいかがでしょうか。