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2022/9/8 11:30

バルミューダの最新トースターは「焦がし」が絶妙! 新機能「サラマンダーモード」の絶品料理を食べてきた

バルミューダ躍進のきっかけとなっただけでなく、日本国内に高級トースターブームを巻き起こすきっかけともなった「BALMUDA The Toaster」(現行モデル2万7940円・税込)。現在までに累計150万台を販売した日本一有名なトースターです。実は、2015年の発売以降は安全性を高めたり、カラーバリエーションを増やしたりと細かなマイナーチェンジは重ねてきたものの、機能・性能に大きな進化はありませんでした。

 

そんなバルミューダが今回、7年目にして初めて新機能を搭載した「BALMUDA The Toaster Pro」(バルミューダ ザ・トースター プロ)を9月15日に発売します。価格は3万5200円(税込)。新機能「サラマンダーモード」を搭載したProモデルはどこまで美味しくなったのか、試食会付きのプレス発表会に参加してきたので、その様子をレポートします。

↑9月15日に発売する「BALMUDA The Toaster Pro」。実売価格は3万5200円(税込)。カラーはブラックのみだが、従来モデルよりも濃い黒色で高級感を醸し出す。取っ手とダイヤル、モードサインにプロの調理器具をイメージしたアクセントカラーを採用

 

あるシェフとの出会いが生んだ新機能「サラマンダーモード」

「2015年のBALMUDA The Toasterの発売に向けて、我々は5000枚ものトーストを焼きました。そうして作り込んだBALMUDA The Toasterに対しては、『もうやることはないだろう』と思っていました」と、バルミューダの寺尾 玄社長は振り返ります。ところが、そんな考えを覆したのが、ある一人のシェフとの出会いだったのだとか。

 

かつて、とあるホテルのバーでワインを楽しんだ際、美味しいおつまみがほしくなった寺尾社長は、自己流レシピでステークアッシェ(挽き肉のステーキ)を作ってくれないかとワガママを言ったそう。これに対して同ホテルのシェフが快諾し、さらには寺尾流レシピを本人より美味しく作ったとのこと。そのシェフがバーを退職すると聞いた寺尾社長は「バルミューダで一緒に仕事をしませんか」と誘い、2021年6月、バルミューダ初のシェフが入社することとなりました。それが岡嶋伸忠シェフです。

↑バルミューダの岡嶋伸忠シェフ(左)と寺尾玄社長(右)。今回の新モデルは岡嶋シェフ考案によるもの

 

岡嶋シェフは現在、バルミューダでキッチン製品のおいしさ体験の品質担保責任者として製品に携わる一方で、レシピの開発も担当しています。その岡嶋シェフが提案してきたのが、BALMUDA The Toasterにサラマンダーモードを搭載するというアイデア。「サラマンダー」とは、高温で料理の表面に焼き目・焦げ目をつける業務用の調理器具で、レストランなどでグラタンや焼き魚の仕上げに使われています。

 

「“命がけ”というには大げさかもしれないが、BALMUDA The Toasterはそれほどこだわり抜いて作った渾身の製品だったので、最初、話を聞いた時は全く魅力を感じませんでした。しかし、実際に岡嶋シェフがサラマンダーモードで作った料理を試食したら、衝撃を受けたのです」(寺尾社長)

 

新搭載した「サラマンダーモード」とは、上ヒーターだけに火力を集中させ、高温で一気に焼き上げるモード。従来から、「クラシックモード」で230℃の高温調理ができるモードがありますが、クラシックモードは上下ヒーターのオン/オフ繰り返し徐々に庫内温度を上げてゆき、庫内全体を230℃に保って食材全体をじっくりと調理するのに対し、サラマンダーモードは上ヒーターだけを一気に230℃の最高温度に引き上げるという違いがあります。従来の1.4倍の熱エネルギーによって、食材の上面だけを高温でパリッと仕上げるのが同モードのメリットになります。

↑追加したサラマンダーモードは従来通りモードダイヤルで選ぶ

 

↑天板のモード説明にもサラマンダーモードが加わった。使用時間は最大3分

 

↑トーストに焼き目をつける様子

 

トーストの食感はさっくりの“さ”に薄い濁点が付いている感じ

サラマンダーモードをトーストに使う場合、まずはいつものようにトーストモードで焼き、いつも自分が設定している時間より30秒だけ短く設定します。いつも3分30秒でパンを焼いているなら、3分に設定してスイッチオン。焼き上がったら次にサラマンダーモードに設定して30秒焼く。

 

ここで注意しなければいけないのが、放ったらかしにせずにトースターの前に張り付いて焼き具合に目を光らせること。サラマンダーモードは一気に最高温度に到達するゆえに、ちょっと目を話した隙に焼きすぎてしまい、焦げて真っ黒になることも。自分の目で判断し、好みの焼き加減になったら30秒を待たずに取り出しましょう。

↑サラマンダーモード使用中にトーストを見守るのは、自分好みの焦げ目、食感を得るための大切な儀式。寺尾社長いわく、これにより「調理する喜び」を感じることができるとのこと

 

というわけで、通常のトーストモードで焼いたバタートーストにサラマンダーモードを追加したバタートースト(ゴールデンブラウン・トーストと呼ぶそう)を食べ比べてみました。通常のトーストモードは、いつものバルミューダの味。美味しいです。一方、サラマンダーを加えたバタートーストは、不思議な食感です。トーストの上面だけが歯ざわりが増しているのですが、硬いわけじゃない。サクッとしているのだけど、とても軽い食感なのです。一般的なトースターで追い焼きをした場合は全体的に硬くなって焦げ気味になりますが、サラマンダーモードは違う。焦げてはおらず、新たに薄い香ばしい層が加わった感触です。ああ、言葉でうまく説明できない!(笑)

↑サラマンダーモードで焼き上げたバルミューダ推奨レシピ「ゴールデンブラウン・トースト」。染み込んだバターの香りと濃厚な味、こんがり焼けたパンの香ばしさとサクッとした食感がミックスした極上のトーストでした

 

トーストについて寺尾社長は、サラマンダーモードで短時間焼くことで、表層にメイラード反応(加熱によって糖やアミノ酸が反応して褐色に色づき、旨みや香りが出ること)の層がわずか0.55mmプラスされ、それが食感の違いを生んでいるといいます。

 

「さっくりの“さ”に薄い濁点が付いている感じ。さっくりとざっくりの中間くらい。それでいて中の水分は失われていないのでモチモチ感が残っています。これまでのバルミューダは、自動制御によっていかに簡単に食べる喜びを提供できるかに挑戦してきました。サラマンダーモードは最後に自分自身が関与することで、自分だけのオリジナルレシピを作る喜びを提供します」

↑左がトーストモード+サラマンダーモード、右が通常のトーストモードのみ。左のトーストの上面にだけごく薄い焦げができており、サクッとした不思議な軽い食感が加わる

 

発表会ではこのほか、「The ニューヨーク・ピザ」「The オイスター」(牡蠣のエスカルゴバター焼き)、最後にデザートとして「クレーム・ブリュレ」が振る舞われました。いずれもサラマンダーモードで最後に上面の表面だけをパリッと焼いたもの。素材本来の味・食感を損なうことなく、香ばしさだけをプラスした絶品でした。

↑The ニューヨーク・ピザは、230℃のクラシックモードで4分半焼いた後、サラマンダーモードで約1分加熱。仕上げに上火だけで加熱したので、ピザ生地が焦げてカチカチにならずに表面さっくり中もちもち。上にかかったチーズはちょっと焦げ目がつきながらトロトロ、サラミはアツアツと、絶妙のバランス

 

↑The オイスターは200℃のクラシックモードで4分加熱後、サラマンダーモードで1分加熱。魚介類は火が通り過ぎると硬くなって美味しくなくなるが、サラマンダーモードは上火のみでパン粉と香草を炙るだけなので、香ばしい風味と生牡蠣のみずみずしさを同時に味わうことができる

 

↑最後のデザートにクレーム・ブリュレ。一般的には、上面にまぶしたグラニュー糖をガスバーナーの炎で炙るが、サラマンダーモードなら約5分の加熱でパリパリに仕上げられる

 

↑見よ、この表面パリパリ、中トロトロのクレーム・ブリュレを! 美味しそうでしょう?(美味しかったです)

 

新たなキッチン家電にも期待が高まる

バルミューダのこれまでの製品開発は“横跳び展開”でした。他の家電メーカーのように既に発売した製品のバリエーションを作ったり、改良・進化した製品を毎年発売したりすることはなく、基本的に1ジャンル1製品として、次々と別ジャンルに挑戦していくスタイルだったのです。しかし、既にクリーナーでは「Lite」の名前でバリエーション展開したほか、今回初めて「Pro」の名を冠したバリエーションを発売しました。今後も、こうした1ジャンルでのバリエーション展開はあり得ると寺尾社長は語ります。

 

また、「BALMUDA The Toaster Pro」は岡嶋シェフ考案によるものでしたが、同じく岡嶋シェフ主導による新製品を来年にも発売すべく開発を進めているとのこと。「それ作るの? って最初は驚いたのですが、美味しさが半端ない。岡崎シェフによって、“The作る喜び”という企画が育っています」と寺尾社長は自信をうかがわせます。一体何が出てくるのか、そちらも楽しみですね。