掃除機のカテゴリーで、「安くて使いやすい」とユーザー評価が高いのが家電準大手メーカーが発売するコードレススティック掃除機。安さの理由は、高級機が搭載する多彩な機能のうち、必要十分な性能と機能だけを残して製品化したからです。
今回は、そんな「質実剛健」を売りにするコードレススティック掃除機のなかから、ドウシシャが発売する「DVS-1601」をピックアップ。本機は約2万円の価格帯では珍しく、自走式ヘッドを装備し、ハンディにもなるなどの付加機能が豊富。その性能や使い勝手も含め、5つの項目を立てて、本機の実力を徹底検証しました!
その1 掃除の能力は?
ブラシでかき取るため床のざらつきもナシ
DVS-1601は、低価格コードレススタィックでは珍しい、自走式ヘッドを搭載したモデルです。ブラシなしヘッドを採用する掃除機の場合、静電気などで床に貼り付いたチリを吸引しきれず、掃除してもざらつきが残る場合があります。その点、本機は専用モーターによるブラシの回転でゴミをかき取るため、床のざらつきがかなり抑えられていました。また、カーペットに付いたペットの毛もパワーブラシでかき取るため、ブラシなしタイプよりしっかり集じんできます。
吸引力は「強」と「弱」の2モードを切り替え可能。ちなみに、運転時間は強モードで約15分、弱モードで約34分。フローリングのホコリなどは弱モードで掃除し、カーペット上では強モードに切り替えると、広めの間取りでも対応できると思います。
![↑フロアヘッド裏のブラシが専用モーターで回転し、ゴミをかき上げて吸引。安全スイッチ付きで、ヘッドが床から離れるとブラシの回転を停止させます](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-1.jpg)
その2 掃除機の操作はしやすいか?
吸い付きがちなカーペットでも快適に走行
自走式ヘッドのメリットは、ブラシの回転が推進力になって、掃除機がけをサポートしてくれること。DVS-1601も電源スイッチを入れて取っ手を軽く押し出すだけで、掃除機が勝手に進み出し、直線方向への掃除機がけがとてもラクです。ヘッドが吸い付いて掃除しにくいことが多いカーペットでも、快適に走行できました。左右の方向転換も取っ手を持つ手を軽くひねるだけで快適に行えます。
ただし、DVS-1601は本体重量が約3kgと重いため、細かな動きが苦手。本機を使った掃除は、壁際やテーブルの脚元の掃除を含め、ヘッドを何度も前後に動かすより、ヘッドをゆっくり動かして一度に集じんするのが効率的です。
さらに、本体に厚みがあるため、ラックの下など高さのない空間の掃除にも向いていません。そのため、広くてモノの少ない部屋と相性が良さそうです。
![↑自走式ヘッドのブラシの回転で掃除機が勝手に前に進む感覚。掃除機の前進に身を任せる感覚で掃除すると、しっかりと集じんできました。ちなみに、うしろに引き戻すときに余計に力が必要ということはありません](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-2.jpg)
![↑取っ手を軽くひねるだけで、スムーズに方向転換できます。ですが、細かい動きが苦手なため、椅子の脚回りをサッと掃除するといった使い方はやや不向き](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-3.jpg)
その3 設置性は良いか?
充電台がやや大型で設置場所が限られる
さっと掃除が始められるのが魅力のコードレススティック掃除機は、押入れなどに仕舞わず、部屋置きするのがオススメ。そのため、部屋に置いても邪魔にならない設置性の良さが重要です。
DVS-1601は、掃除終了後は付属の充電台にセット。充電台に置くことで自動的に充電が始まります。ただ、約3kgの本体を安定して設置するため充電台もやや大型に。そのため、部屋の隅のコンセント近くに常駐させるのが最も邪魔にならないでしょう。また、すっしり重い本機を充電台に片手でセットするのは、女性にはやや大変かなと思いました。
![↑DVS-1601の充電台。真ん中のフックに掃除機背面のポケットを引っ掛けて設置します。充電台の左側には付属のすきまノズルやエチケットブラシが収納できるようになっています](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-4.jpg)
![↑収納時の本体の高さが気になるときには、取っ手部分を畳んで収納することも可能。取っ手の付け根にあるボタンを押すと、簡単に折り畳めます](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-13.jpg)
その4 ゴミ捨てとメンテナンスはしやすいか?
ゴミ捨てはやや煩雑だがフィルター周りが水洗いできる
集じん容量が少ないコードレススティック掃除機はこまめなゴミ捨てが必須。さらにダストカップやヘッドなどのメンテのしやすさも重要です。
DVS-1601のゴミ捨ては、本体からダストケースを外し、中からフィルターユニットを取り出してケースに溜まったゴミを捨てます。サイクロン方式を採用しているせいで、ゴミ捨てはやや煩雑になっています。
メンテに関しては、プリーツフィルター、スポンジフィルター、フィルターケース、ダストケースと手入れするパーツの数が多め。ただ、これらフィルター周りがすべて水洗いできるのは大きなメリットです。
![↑ダストケースの中にはフィルターケース、スポンジフィルター、プリーツフィルターが入っています。集じん力維持のためにも、これらを定期的に掃除する必要があります](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-5.jpg)
その5 独自機能はどうか?
自走式ヘッドやLED搭載など付加機能が盛りだくさん
必要十分な機能に絞った低価格コードレススティックにあって、DVS-1601はかなり多機能な1台となっています。
なかでも最大の特徴といえるのが、この価格帯では珍しい自走式ヘッドの搭載です。これにより、フローリングに貼り付いたチリや、カーペットや絨毯のホコリもしっかり取り除くことができます。ヘッド前面にLEDランプを装備しているのも魅力で、暗い廊下やベッドの下などの掃除をする場合、LEDの光でゴミが浮き出て見え、掃除がとてもしやすいです。自走式ヘッドやLEDランプといえば、これまで高級モデルにのみ採用されていた機能。それがこの価格帯に投入されたというのは、うれしい驚きです。
また地味ながら便利なのが、本体のみで自立する構造になっていること。掃除機を少し全面に押すように傾けるとヘッドがロックされ、自立することができます。掃除中にちょっとイスやモノを移動したいと思ったとき、いちいち本体を床に寝かせる必要がないので、掃除の快適さが大幅にアップします(ただしヘッドが自走式なので、自立させるときは忘れずに電源を切ってください)。
さらに、本機はスティックとハンディの「2in1」タイプで、本体集塵部が独立した掃除機として使えるのも便利です。
![↑ヘッド全面にLEDランプを6個搭載。暗くてホコリの有無が判別しにくい場所の掃除に大いに役に立ちます。なお、LEDランプの消灯スイッチはなく、走行中は常に点灯しています](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-6.jpg)
![↑幅広のヘッドと低重心構造により、スタンドなしでの自立が可能。掃除中にちょっとモノを動かしたいときなどに重宝します。ちなみに電源を入れたまま自立させると、自走してしまうので要注意](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-7.jpg)
![↑掃除機から集じんユニットを外してハンディ機として使用できるのが便利。ボタンひとつで簡単に外れるので、掃除中にサッと取り出してソファやテーブルなどの掃除に使えます。なおハンディで使う際は、運転モードは強モードのみになります](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2016/11/20161107-s3-9.jpg)
まとめ
部屋中の掃除に対応しメイン使いできる貴重な1台
自走式ヘッド搭載のDVS-1601は、家具などをあまり置かないすっきりしたレイアウトの部屋を好む人には最適の1台。集じん力も申し分なく、メインの掃除機としても十分使えます。さらにハンディ機を取り出してテーブルや机、棚などの掃除をすることも可能です。
一方、家具がそれなりに多い部屋に住む人には、ヘッドの小回りの効きにくさがネックとなるかも。ただしそういう人でも、室内の空きスペースをまず自走式ヘッドで掃除、細かい家具の隙間などは、内蔵のハンディ機にすきまノズルをセットすることで、部屋中をしっかり掃除できるはずです。
ゴミ捨てとメンテナンスがやや面倒ですが、本機1台のみで部屋中の掃除にある程度対応できるのは大きなメリット。この価格帯ではメイン使いできる貴重なモデルであり、ひとり暮らしなどで購入する最初の1台として、有力な候補に挙げていい製品です。