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オーブン・レンジ
2016/11/9 12:35

「安い」がウリのシロカが高級トースターに参入! 業界初「ハイブリッドオーブントースター」はバルミューダ機に対抗できるか?

シロカとは、シンプルかつリーズナブルな家電を中心にラインナップしている新興家電メーカー。同社はいままで、新製品の発表会を開いたことがないのですが、11月8日に初めてトースターの発表会を開くとのこと。その発表会のインビテーションもしっかり作られていて、並々ならぬ気合が伝わってきます。また、トースターといえば、昨年バルミューダが発表当時約2万5000円の「BALMUDA The Toaster」を出し、話題をさらったのは記憶に新しいところ。いま出したら絶対に比べられてしまいますが、果たしてこれに対抗しうるのでしょうか? もろもろ楽しみにして発表会に参加しました。

 

急速加熱でパンの中に水分を閉じ込める!

↑ホワイト
↑ホワイト

 

↑ブラウン
↑ブラウン

 

発表会でお披露目されたのは「ハイブリッドオーブントースター ST-G111」。本機は、2つの加熱方式を組み合わせた業界初の技術を搭載し、パンの中に水分を閉じ込めて表面はサクッ、中はモチモチの食感を実現するのだといいます。実売予想価格は2万4300円、発売日は12月10日。

 

同社によると、パンの中に水分を閉じ込めてモチモチにするには、加熱スピードが命。このスピードを実現するうえで肝となるのが、わずか0.2秒で発熱する「遠熱グラファイト」です。遠熱グラファイトの名を聞いて、家電に詳しい人ならピンとくる方もいるでしょう。これはトースターの名機として名高いアラジンの「グラファイトトースター」に搭載されている特許技術。なぜこれをシロカが利用しているのかといえば、同社とアラジンの製造元、千石が共同開発をしたから。つまり、千石の遠熱グラファイトに、シロカが「ノンフライオーブン」で培った「熱風コンベクション方式」を組み合わせ、誕生したのが「ハイブリッドオーブントースター」です。遠熱グラファイトで急激に加熱することで、水分を閉じ込めてパンの中心に移動させ、同時に熱風を対流させることで、より速くムラなく焼き上げる効果をもたらします。

 

ハイブリッドの相乗効果をデータで証明

ここで、パンをおいしく焼くには、アラジンの技術さえあればいいんじゃない? と考える方もいるはず。しかし、実はそれだけでは不十分なのです。食味の検証に協力した工学院大学の山田昌治教授によれば、水分含有率をもとにしたデータを取ったところ、遠熱グラファイトだけで焼いたときより熱風コンベクション方式を組み合わせたほうが、ふんわりモッチリ感の指標が高まったそう。つまり、2つの方式を組み合わせた相乗効果を、データで証明してみせたことになります。

 

ちなみに、前述の熱風コンベクション方式を使ったシロカのノンフライオーブンは、シリーズ累計75万台を売った名機です。つまり、本機はアラジンとシロカを代表する2台の名機の子どものようなもの。いわば、両親の長所を受け継いで、より強く進化したサラブレッドといえるでしょう。

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↑本機の味の検証に協力した山田昌治教授。食品化学工学の研究者で、テレビなどのメディアでも活躍しています

 

直線で構成した筐体も技術者泣かせだった

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次に、開発に際し、どんな苦労があったのか開発者の佐藤一威(さとう・くにたか)さんに聞いてみると、両者の技術を組み合わせる際のチューニングに苦心したとのこと。家庭で使えるコンパクトサイズを維持しながら、庫内は4枚焼けるだけのスペースをキープ。同時に庫内の温度ムラを抑えるべく、ヒーター位置や庫内の形状を最適化するのに苦労したといいます。ちなみに、本機は「普遍的な美しさ」をコンセプトとし、筐体を極力直線で構成していますが、実はこれも技術者泣かせだったそう。よりシビアな設計が求められ、技術者からすると「やめてくれ」と泣きそうになる要求だったとか。

↑通常、背面は板金がむき出しですが、本機は背面もしっかり塗装しています
↑通常、背面は板金がむき出しですが、本機は背面もしっかり塗装しています

 

↑直感的にわかるよう、ツマミにはワンポイント
↑直感的に判別できるよう、ツマミにはワンポイントの挿し色を入れています

 

トーストもウマイがチーズトーストも最高!

さて、実際に試食させていただきましょう。焼きたての食パン(コンビニにあるありふれた銘柄)を食べてみたところ、通常のカリカリ、パサパサのトーストとは確かに違います。外側はこんがり焼けていますが、中はしっとり、ふわっと焼きあがっていて、小麦の香ばしさを強く感じる味わい。何もつけなくてもおいしく食べられました。次に、2枚の食パンの間にチーズとハムを挟んで焼いたチーズトーストも頂きましたが、これがウマイ! グラファイト&コンベクションの効果なのでしょうか、2枚のチーズがムラなくキレイに溶け、ハムがしっとり絶妙に加熱されていました。これはぜひ、みなさんにも味わってほしいところです。

↑両面がしっかり焼けているのに、中はしっとりの見事な焼き上がり
↑トースト時間はわずか2分。両面がしっかり焼けているのに、中は白くてしっとり。見事な焼き上がりです

 

↑本機で焼いた絶品チーズトースト
↑本機で焼いた絶品チーズトースト

 

調理家電のレシピ開発を担当する溝上直枝さんに、その他のポイントを聞くと、トーストを焼くのと同時に庫内でベーコンエッグや焼き野菜など、副菜も同時に調理できるそうです。さらに、アヒージョなど火力が必要な料理も、通常のオーブンより格段にスピーディに調理できるのだとか。もちろん、前身のノンフライオーブンの能力もしっかりと継承しており、ヘルシーなノンフライ調理が可能なうえ、揚げ物もサックサクに温め直すことができます。トーストだけでなく、幅広い調理に対応するのも本機の魅力ですね。

↑本機で調理した料理。煮込みハンバーグやアヒージョなどがあります
↑会場では、本機で調理した料理も振舞われました。煮込みハンバーグやアヒージョなどバラエティも豊か

 

さて、そんな魅力たっぷりの本機だけに、さぞかしシロカ陣営も強気のはず。そこで力強い言葉を期待し、開発の指揮をとった安尾雄太副社長に今後の展望を聞いてみると、意外にも「どうなるかはわかんない」との答えが返ってきました。たしかに、初のジャンル、初の高価格帯への参入、初の発表会と、同社にとってすべてが初めて尽くしなわけで、結果が見えるほうがおかしいですね。ただ個人的には、極めて面白い製品に見えました。なかでも特許技術をベースにした希少な技術を搭載する独自性と、幅広い料理も可能な汎用性の高さが魅力。そう考えると、実売2万4300円という価格はむしろ安いといえます。

 

課題を挙げるなら、「シロカ=高級トースター」のイメージがまったくないといった点でしょうか。お笑い芸人も、ある程度顔を覚えてもらわないとウケないといいますし、その意味で今後のイメージ作りが重要になってきそうです。ちなみに、安尾副社長によると、近々には次なる挑戦も控えているとのこと。同社には、どんどん面白いことをやってもらって、家電業界をまるごと盛り上げていただきたいですね!

 

【SPEC】●消費電力:1350W●付属品:焼き網、トレー用焼き網、レシピブックなど●サイズ/質量:W350×D36.2×H22.9mm/約4.2kg