家電
2023/4/17 19:00

パナソニックが掲げる「新たな商売基準」とは? 新サービスで提案する新たな家電価値

パナソニックは4月11日、国内B to Cマーケティングの取り組みについてセミナーを開催した。同セミナーでは、IoT家電とサービスの新たな取り組みについて発表。同社は「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」を両立し、顧客にとってのベストパートナーとなっていくことを目指すという。その一環として、IoT家電の保証が計3年無料になる「IoT延長保証サービス」の拡大が順次スタートするほか、4月から地域密着型のエリア体制再編なども行われる。

 

同社はこれまでに国内家電への取り組みとして、家電連動による「音声プッシュ通知」をはじめとする、IoTを活用した「ちょうどいいくらし」サービスを提供してきた。顧客からは「電気代の見える化で省エネの意識が高まった」「家電の切り忘れを外出先で操作できた」などの声があったことが紹介され、当該サービスがくらしの環境の変化にともなう顧客の意識改革につながっているとした。

↑サービスにおける顧客の声の一例

 

こうしたなか、1年のメーカー保証に加えて、2年の延長保証サービスを無料で適用する「IoT延長保証サービス」の拡大が4月21日から順次行われる。当該サービスは、既に2月から冷蔵庫(9WPX、9HPX、9MEXシリーズ)を対象としていたが、この度の発表で新たにエアコン、ドラム式洗濯乾燥機、スチームオーブンレンジ、自動調理鍋、テレビ、レコーダーも保証対象になる。

 

パナソニック 執行役員、コンシューマーマーケティングジャパン本部長兼くらしアプライアンス社 副社長 国内マーケティング担当兼パナソニック マーケティング ジャパン株式会社 代表取締役社長の宮地晋治氏は、「今後も対象商品は拡大していく予定。購入後も安心して長く家電を使用していけるようサポートしていきたい」と語った。

↑パナソニック 執行役員、コンシューマーマーケティングジャパン本部長兼くらしアプライアンス社 副社長 国内マーケティング担当兼パナソニック マーケティング ジャパン株式会社 代表取締役社長の宮地晋治氏

 

サポートの一環である専用アプリにおいて、エアコン、洗濯機のアプリを例に、利用していない人と比べて利用者の満足度が相対的に高かったことも述べられた。この結果について宮地氏は「家電、ハードウェアだけでは、ユーザーの行動や意識の変化を促すことはできなかった。アプリの進化によるくらしのライフステージの変化への対応が、ユーザーの満足度の高さへとつながった」と語った。

 

「長く大切に使う」家電のための取り組み

また、電気代高騰、電力ひっ迫など、昨今の社会課題にも向き合っていくという。宮地氏は、「コロナ禍を経て、顧客のニーズは大きく変化しました。節約や節電、そして『長く大切に使いたい』といったニーズが高まっています。時代の転換期にあたる今こそ、ひとりひとりの変化に向き合っていきたい」とした。

 

同社の製品は、サニタリー、リビング、寝室、キッチン、外出時など、幅広い暮らしのシーンや居住空間に接点を持つことが強みだ。これらの接点をIoTでつなぐことで、ソリューションを最適な形で提供できる可能性があるという。そして、IoT連携を強化したサービスを提供し、「くらしの質を高める」ための新しい商売基準に、「ひとりひとりのくらしを守る」「くらしの基盤である地球・社会を想う」を掲げた。

 

そのためには顧客と “つながり続ける” ことが重要であるという。例えば、従来の家電は「売り切り型」で、顧客満足度は購入後がピークとなり、経年と共に徐々に下がっていくことが一般的だった。しかしこれからは、同社の専用アプリを介して顧客とつながり続け、ソフトのアップデートなどで暮らしの変化に対応し、価値と満足度を高め続けることを商売の新基準としていく。

 

例えば、エアコンにおいてはメンテナンス情報の発信や、メーカーならではのクリーニングサービス、また新たにIoTデータを活用した故障時の問い合わせ、出張修理などのサービスも展開される。その際、蓄積データをもとに原因特定から修理までを迅速に対応することで、ユーザーの不安を解消するとともに、納得度を高め、ストレス軽減も望めるのだそう。

 

この新たな取り組み実現のために、マーケティングの組織体制も変わる。4月から、「パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社」から「パナソニック マーケティング ジャパン株式会社」へ社名変更。専門店や量販店などの商流軸体制から、全国7社のエリア体制にし、地域への密着度を高めていくとした。

 

パナソニックでは、「IoT家電比率6割」「1000万の顧客と深くつながる」を2024年度の目標としている。IoT家電比率は非開示だが、白物家電においては前年比110%を超え、また利用者も現在800万人に達しているという。同社は、引き続き取り組みを加速させていき、1000万人達成を目指していくとのことだ。

 

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