9月1日は防災の日です。8月8日に南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されたのもあって防災への関心が高まっているいま、できる備えはしておきたいものです。そこで、この記事では地震の際の火災や雷による電気製品の故障を防ぐ機器、より早い避難を可能にする住宅用火災警報器を紹介します。
地震後の火災の過半数を占める電気火災を防ぐ感震ブレーカー
電線から供給された電気を家中に分配する分電盤は、どの家庭にも欠かせない装置です。分電盤には、漏電が検知されたときにブレーカーを落として電源を遮断する機能がついており、火災などのリスクを防いでいます。
地味な存在の分電盤ですが、着実な進化を遂げており、近年ではさらなる防災機能を持った機種が登場しています。そのひとつが、パナソニックが販売している「地震あんしん ばん」です。感震ブレーカーを搭載した「地震あんしん ばん」は、震度5以上の揺れを検知した際、メインの漏電ブレーカーを自動でオフにし、電気火災の発生を防ぎます。
それも、ただ単純にブレーカーを落とすだけではありません。地震感知後3分以内に停電した場合は、電気の復旧を検知してからブレーカーをオフに。停電がなかった場合は、3分間待ってからブレーカーを落とします。
停電した場合にもブレーカーをオフにするのは、電気が復旧した際に起きやすい通電火災を防ぐため。倒れたり損傷した電気製品に急に電気を通すと発火する危険があるため、それを未然に防いでいるというわけです。
また、停電しなかった場合に3分間待つのは、避難の時間を確保するためです。いざ避難をしようとしても、照明のない暗がりのなかでは、素早い対応が難しくなります。「地震あんしん ばん」には、効率的な避難を実現しつつ、火災のリスクも抑えるという、二重の工夫が施されているのです。地震の際に起こる火災の過半数は電気関連によるものなので、それを防げることは大きな安心感につながります。
分電盤に避雷器をつければ、雷が落ちても家電の故障の心配なし
ゲリラ豪雨が増えた近年、増えているのが雷による電気製品等の故障です。特に日本海側では雷が多く、最多の金沢では1991〜2020年の平均で、年に45.1日の落雷が観測されています。雷は、日本人にとってかなり身近な災害といえるでしょう。地震ほどの恐怖はないかもしれませんが、雷による被害は日本全国で頻発しています。パナソニックが1000名を対象に行ったアンケートによると、雷によるなんらかの被害を受けたことがある人の割合は、16%にも及んだそうです。
雷がもたらす災害のうち、99%を占めるのが、雷サージによるものです。雷サージとは、落雷があった地点から地表・建物・電線などを通じて、大きな電流が家庭内の配線に侵入してくる現象。数キロ離れた落雷地点からでも、雷サージは家庭内に侵入して電気製品の内部を破壊、故障を引き起こします。
それを防ぐために開発されたのが、避雷器を装備した分電盤「かみなりあんしん ばん」です。分電盤に取り付けられた避雷器は、雷サージによる電流を地表に逃し、家庭内の電気製品に過電圧がかかることを防ぎます。雷サージの入り口となる分電盤で電流をシャットアウトすることで、被害をほとんど防止できるといいます。
パナソニックでは、感震ブレーカーと避雷器を兼備した「地震かみなりあんしん ばん」も販売。また、同社製の一部の分電盤に、感震ブレーカーや避雷器をあとから取り付けることも可能です。特に感震ブレーカーの設置には補助金を出している自治体もあるので、新築やリフォームなどの際にはチェックしてみるとよいでしょう。
住宅用火災警報器は10年ごとの交換が必須。おすすめはワイヤレス連動型
身近な防災機器のひとつに、住宅用火災警報器が挙げられます。温度や煙によって住宅内での火災を検知し、警報を鳴らしてくれる機器です。消防法によって、原則として戸建・共同問わず500m2未満の住宅の寝室と階段に設置が義務付けられており、台所や居室にも設置が推奨されています。台所や居室への警報器設置を義務とする条例を制定している市町村もあります。
2006年6月に上記の通り設置が義務化され、一気に普及が進んだ住宅用火災警報器。近年では、複数の警報機がワイヤレス通信によって連動するモデルも登場しています。ワイヤレス連動型の警報機が住宅内で火災を検知すると、火元となっている部屋に加え、家中すべての警報機が鳴動するので、家のどこにいても火災の発生を早く知ることができます。また、火元の場所を音声で知らせる機能が搭載されたモデルであれば、火から離れながら避難できます。
ワイヤレス連動型の住宅用火災警報機には、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)と連動するものもあります。たとえばパナソニックの場合、同社製のHEMS「AiSEG2」と連携し、火災検知と同時に家中の照明をオンにして、火災による死者数が特に多い夜間の避難を助ける機能を搭載するモデルが発売されています。
そして、住宅用火災警報器を語るうえで外せないのが、10年ごとの交換が必要だという点。内蔵している電池の寿命切れ、部品劣化による火災検知性能の低下といった事態が起きてしまうため、交換は必須とされています。しかし、交換が必要であることの認知度は低いのが現状。日本火災報知機工業会の調査によると、交換時期を知っているという人はわずか29.9%にとどまっています。実際に交換をしていないという人の割合は、69.8%にものぼるそう。防災への関心度が高まっているいまだからこそ、ご自宅の警報器をチェックしてみてはいかがでしょうか。住宅用火災警報器の設置に補助金を出している自治体もあるため、検討の際はぜひ確認してみましょう。
日本は災害大国です。地震などの災害は、この国に住む以上どうしても避けられません。もしものときの備えとして、ご自宅の防災機器を、いま一度ご確認することをおすすめします。