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2025/2/21 20:00

ぬくぬくこたつで美食三昧、ストーブ列車で雪見酒! 冬だから乗りたい名物列車7選

冬の鉄道旅は、春や秋とはひと味違う崇高な美しさにあふれている。立春を過ぎても、まだまだ冬景色が残っている場所は日本のあちこちにある。

 

旅の途中には、秘湯や冬ならではの味覚も満載だ。今回は食べ鉄ライター・澄田直子さんに、本州・四国・九州の魅力いっぱいな鉄道旅を紹介してもらう。

 

今こそ行きたい北海道の鉄道旅!冬の釧路湿原やオホーツク海岸線を走る、絶景&味覚体験

 

【青森・津軽鉄道ストーブ列車】ダルマストーブが温めるレトロな車内で雪見酒

↑ストーブは1両に2台。譲り合って座ろう

 

90年以上愛され続ける、津軽鉄道の名物列車

昭和5年の津軽鉄道全線開業時から現在に至るまで、戦時中の物資欠乏による運行中止を除き、冬の津軽の雪原を運行する人気列車。津軽五所川原駅から津軽中里駅までの約45分の区間を1日3往復する。竹かごに地元の食材を使ったお総菜が詰まったストーブ弁当は予約での販売。ダルマストーブで炙ったスルメや日本酒を片手にノスタルジックな鉄道旅を満喫しよう。

↑地吹雪のなかを進むDD352ディーゼル機関車

 

↑石炭が燃える匂いも郷愁をそそる

 

↑現在は4代目の客車が活躍する

 

↑ストーブ弁当は3日前までに予約(2個〜)

 

<ここに注目!>
名物のスルメはもちろん、車内販売が楽しみ!

「この列車のハイライトはダルマストーブの上で炙るスルメ。車内で販売されているのでぜひ購入して炙ってもらってください。日本酒やリンゴのスナック菓子、石炭クッキーもありますよ」(澄田さん)

↑炙りスルメと日本酒で乾杯

 

DATA
運行区間:津軽五所川原駅〜津軽中里駅
運行日:2025年3月31日まで1日3往復運行(12月中は本数が異なる)
問い合わせ:津軽鉄道
URL:https://tsutetsu.com/

 

【岩手・三陸鉄道こたつ列車】冬の三陸鉄道リアス線の旅は、ぬくぬくこたつで美食三昧

↑ビューポイントのひとつ、大沢橋梁では速度を落としてくれる

 

車内イベントも満載の景色と味覚を楽しむ列車

3月23日までの土日と祝日に、三陸鉄道リアス線の久慈駅〜宮古駅間を1日1往復する観光列車。4人掛けのこたつが12台設置され、風光明媚な海岸線を眺めながら暖かな鉄道旅が楽しめる。予約で味わえるウニやアワビ、ホタテなど海の幸をふんだんに使用したお弁当やスイーツも美味。車内では、岩手北部の小正月の行事に現れる“なもみ”が登場するイベントも。

↑全席指定。人気なので予約は早めに

 

↑突如現れる“なもみ”に車内は騒然

 

↑大漁舟唄御膳3500円(要予約)

 

↑宮古駅発便はスイーツが予約できる

 

<ここに注目!>
洋風こたつ列車に乗って釜石〜久慈間を制覇

「釜石駅からの『洋風こたつ列車』に乗車すると宮古駅で『こたつ列車』に乗り継ぐことができます。両方のこたつ列車に乗ってのんびり1日かけてリアス線を満喫するのもイイですね」(澄田さん)

↑洋風こたつ列車にも予約販売のお弁当がある

 

DATA
運行区間:久慈駅 〜 宮古駅(洋風こたつ列車は宮古駅〜釜石駅)
運行日:2025年3月23日(洋風こたつ列車は24日)までの土・日曜、祝日
問い合わせ:三陸鉄道
URL:https://www.sanrikutetsudou.com/

 

【青森〜秋田・リゾートしらかみ】荒々しい日本海の絶景を望む、冬の五能線を走る観光列車

↑雪景色のなかを走るリゾートしらかみ「青池」

 

雪と氷が彩る、冬の東北の魅力を満喫できる列車

日本海の絶景ポイントが集中する五能線を走る列車。青森駅~秋田駅間を「橅」「青池」「くまげら」と名付けられた3つの車両が運行する。車内では津軽三味線の演奏や津軽弁の語り部による実演、特産品販売も。沿線には十二湖、千畳敷、青池などの見どころが多く、冬ならではの神秘的な風景やアクティビティも魅力。冬の北東北の魅力を味わい尽くせる路線だ。

↑雪と氷に覆われた千畳敷駅

 

↑岩館から陸奥赤石まで絶景が続く

 

↑「橅」に設置された展望室

 

↑個室感がある「橅」のボックス席

 

<ここに注目!>
途中下車して入りたい海辺の絶景露天風呂

「見どころの多い路線ですが黄金崎不老ふ死温泉は特にオススメ。日本海の波打ち際に露天風呂があり、潮騒を聞きながら湯浴みが楽しめます。ウェスパ椿山駅から送迎もあって便利です」(澄田さん)

↑混浴と女性専用の露天風呂があり日帰り利用も可
↑混浴と女性専用の露天風呂があり日帰り利用も可

 

DATA
運行区間:青森駅〜秋田駅
運行日:運行日はHPで確認
問い合わせ:JR東日本
URL:www.jreast.co.jp/railway/joyful/shirakami.html

 

【山形〜新潟・海里】新潟と庄内の食を味わい、日本海の景観を楽しむ

↑1、2号車はお弁当を事前にウェブで予約できる

 

夕日や新雪、車窓の景色を楽しむスタイリッシュな観光列車

新潟〜酒田間を運行する、美食と日本海の景観が楽しめる列車。4両編成のハイブリッドディーゼル車両は、日本海の夕日のオレンジと新雪の白を、グラデーションカラーで表現した車体が印象的。1、2号車は乗車券と指定席券をみどりの窓口などで購入する。3号車は売店、4号車は食事、ドリンクがセットになったダイニング車両で、旅行会社が扱うチケットが必要となる。

↑4号車の最後尾にある展望スペース

 

↑1号車は2人掛けのシート

 

↑新潟駅で人気の雪だるま弁当

 

↑モノクロームの世界を走り抜ける

 

<ここに注目!>
日本海に打ち寄せる笹川流れの波の花は必見

「日本海の荒波が岩にぶつかり、白い泡が空中に舞う現象を『波の花』といい、新潟の海岸沿いの冬の風物詩になっています。海里では『波の花』が見られるスポットで停車してくれるので、観賞できるかもしれませんよ」(澄田さん)

↑波の花は笹川流れあたりでよく発生する

 

DATA
運行区間:酒田駅〜新潟駅
運行日:金〜日曜、祝日を中心に運行
問い合わせ:JR東日本
URL:http://www.jreast.co.jp/railway/joyful/kairi.html

 

【兵庫〜島根・あめつち】日本文化のルーツをたずねて神話のふるさと、山陰地方へ

↑山陰の山並みとたたら製鉄の日本刀の刃文を表した車体

 

自然や神話を彷彿させるメタリックブルーが美しい列車

城崎温泉駅から鳥取駅、鳥取駅から出雲市駅、米子駅から出雲横田駅と3つの路線を走る観光列車。神社、酒、歌舞伎、相撲など、さまざまな文化のルーツがあると言われる山陰地方の美しい風景を巡る。風光明媚なポイントでは徐行運転を行い、車窓の景観が堪能できる。山陰の味覚が楽しめるお弁当やスイーツが予約できるほか、車内アテンダントによる解説も。

↑2号車の車内。カウンター席も人気

 

↑車内を地元の工芸品が彩る

 

↑名湯、城崎温泉に立ち寄るのも良い

 

↑鳥取県のブランド米「星空舞」を使用したスイーツセット

 

<ここに注目!>
予約制のお弁当は必須!麗しい料理が旅を彩る

「列車を予約したら、ぜひお弁当やスイーツも予約してみてください。区間によって予約できるアイテムは異なりますが、どれも地元の食材や名物を盛り込んだ充実の内容です。4日前までに専用のサイトから予約できます」(澄田さん)

↑鳥取〜出雲市区間でオーダーできる「山陰の酒と肴」※下りの出雲市駅行きの場合「山陰の酒と肴」の提供は松江駅発車後になる

 

DATA
運行区間:鳥取駅〜出雲市駅、米子駅〜出雲横田駅、城崎温泉駅〜鳥取駅
運行日:運行日はHPで確認
問い合わせ:JR西日本
URL: http://www.jr-odekake.net/railroad/kankoutrain/ametuchi/

写真提供:JR西日本

 

【愛媛・伊予灘ものがたり】たおやかな伊予灘を走る、美食と絶景の特別な鉄道旅

↑海岸線に映えるあかね色の車両

 

沿線のおもてなしに心温まる!景色と味覚を楽しむ列車

松山駅から八幡浜駅までを時間帯ごとに、4つのルートで運行する観光列車。それぞれ趣向を凝らした食事を用意しており、予約すれば風光明媚な車窓の景色を眺めながら車内で味わうことができる。3両編成で、カウンター席や4名利用のボックス席、2名にちょうど良いペアシートとさまざまなシートタイプがあり、どの席からも大きな窓からの眺望が美しい。

↑1号車「茜の章」。伊予灘に沈む夕日をイメージした

 

↑「双海編」でオーダーできる食事

 

↑下灘駅で停車して伊予灘の美しい景色を撮影できる

 

↑旅の後は道後温泉で疲れを癒やして

 

<ここに注目!>
鉄道旅の憧れの最終形1両丸ごと貸し切り!

「伊予灘ものがたりの3号車はなんと1両丸ごと貸切車両となっています。定員は2〜8名で、利用料金は人数分の乗車券、特急券プラス個室料金3万3600円。記念日などに最高ですね」(澄田さん)

↑専属アテンダントやウェルカムドリンクのサービスも

 

DATA
運行区間:松山駅〜伊予大須駅、松山駅〜八幡浜駅
運行日:土〜日曜、祝日を中心に運行
問い合わせ:JR四国
URL:https://iyonadamonogatari.com/

 

【福岡〜大分・或る列車】100年の時を越え蘇る、唯一無二の豪華列車で粋を知る

↑故・原 信太郎氏の模型を元に設計された車両

食と空間、もてなしを楽しむ至福のトレイン・ジャーニー

↑2号車は落ち着いた雰囲気の個室

 

明治39年、当時の九州鉄道がアメリカのブリル社に発注したものの、活躍する機会のなかった豪華列車、通称「或る列車」。その幻の列車が、100年の時を経て2015年に九州の地に復活した。黒を基調にゴールドで彩られた優美な車両は、内装もクラシカルで格調高い。博多駅から由布院駅までの約3時間の車内ではコース料理を提供。本格的な豪華列車の旅が楽しめる。

↑1号車には2人席、4人席を用意

 

↑雪を抱いた由布岳が美しい

 

↑冬の早朝、金鱗湖に立ち上る朝霧

 

<ここに注目!>
九州各地の食材を用い地元の器を使って提供

「乗車料金に含まれるコース料理は南青山の『NARISAWA』のオーナシェフ成澤由浩氏が監修したもの。九州各地の食材を中心に、オリジナルの器で提供される料理は美食家にも絶賛される味わいが楽しめます」(澄田さん)

↑料理に合わせて地元のワインや焼酎も用意する

 

DATA
運行区間:博多駅〜由布院駅
運行日:土〜月曜の運行
問い合わせ:JR九州
URL:https://www.jrkyushu-aruressha.jp/

※「GetNavi」2025月2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです

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