みなさん、こんにちは。中曽根陽子です。ここでは、子育てをがんばっているみなさんにぜひ知っておいて欲しい、「子どもの力を伸ばすためのヒント」をお伝えしていきます。今回のテーマは「スマホとの付き合い方」です。
中学3年生の5割、高校生の9割弱が自分専用のスマホを所有
みなさんのお宅では、子どもに携帯電話を持たせていますか?
ある調査※1によると、中学3年生の5割、高校生の9割弱が自分専用のスマートフォンを所有しています。高校生のほとんどが、スマートフォンを所有していて、インターネットやSNS、メールを友だちとのやりとりや趣味、勉強の調べものなどに幅広く活用しているようです。
使い始める時期も早まっていて、スマホ以外の携帯電話も含めると、2012年(平成22年)以降は、はじめて使い始めたのが小学校という人が、中学校からという回答を上回っています。デジタル機器利用の低年齢化が進んでいますね。※2
スマホの利用時間が長い子どもは、学力テストの成績が低い!?
では、実際どのくらいの時間利用しているのでしょうか? 文部科学省が発表した調査※3では、普段(月~金曜日)、1日当たり1時間以上、携帯電話やスマートフォンで通話・メール・インターネットをしている児童生徒の割合は、小学校で約15%、中学校で約48%だそうです。
また、携帯電話やスマートフォンでの通話やメール、インターネットの利用時間が長い子どもほど、学力テストの平均正答率が低い傾向があることがわかっています。
スマホで削られるのは勉強時間と睡眠時間
実際、総務省の「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」※4でも、「スマートフォンの利用開始により減少した時間」の上位に「睡眠時間」「勉強時間」があがっています。また、中高生の約1割はメールやLINEなどのSNSに4時間以上も費やしているというデータもあり、子どもたちの心身への影響もはかりしれません。
生まれた時からインターネットが普及している環境で育つデジタルネイティブと呼ばれる子どもたちにとっては、スマートフォンやタブレット型端末はあるのが当たり前。しかし、これらの調査でもわかるように子どもの成長に大きな影響を与える可能性があるので、与える時期を慎重に見極めることが大事。
便利で機能が充実しているだけに依存しやすく、またLINEなどのSNSが原因のいじめなども問題になっているので、子どもがどんな使い方をしているか、注意が必要ですね。
子どもが小学生以下であれば、前述のように依存しやすい機器であることを親がきちんと理解した上で、機能や使い方を制限したほうが良いでしょう。
中学生以上であれば、便利さの裏にある危険性を子どもにも理解させ、与えるのであれば、最初に子どもといっしょにルールを作ることが大切です。
※1ベネッセ教育総合研究所 「中高生のICT利用実態調査 2014」
※2総務省「平成25年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書(HTML版)」
※3文部科学省「平成26年度全国学力・学習状況調査の結果について(概要)」
※4総務省「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」
【著者プロフィール】
中曽根陽子
教育ジャーナリスト
教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。 “お母さんと子ども達の笑顔のために”をコンセプトに数多くの本をプロデュース。近著に『1歩先行く中学受験成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などがある。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザ インする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。公式サイトhttp://www.waiwainet.com/