間もなくクーラーがフル稼働する季節が到来します。気象庁の3か月予報では、今年の夏は猛暑になる可能性が高いとか! 暑くなるのと悩ましいのが、電気代が一気にアップすることではないでしょうか。
冷蔵庫、クーラー、扇風機に除湿機……。涼しさを確保するには、それなりのコストが必要になりますよね。でも、近い将来一家に一台の発電機が普及し、電柱と電線が激減する時代がやってくるかもしれません! いま、オーストラリアで開発されている発電システムが斬新すぎて「これ、ホント!?」と話題になっているのです。
酸素と水素を生み出しながら電気をつくる発電機が登場間近
オーストラリアのニューキャッスル大学とインフラ企業・Infratech Industries(インフラテック インダストリーズ)が、発電システム「CLES」を共同開発しています。
発電機とバッテリーの両方の機能を兼ね備え、発電の際に生じた熱でシャワーのお湯を供給したり、部屋の温度を整えたり、さらに商用可能な酸素や水素を生み出したりすることができるという多機能な発電システムで、数々の海外メディアが「革命的」と報じています。
このシステムの基盤は、酸化還元反応。独自に開発した粒子混合物が酸化する際に生じる熱を用いて蒸気を発生させ、タービンを駆動させることで電気が発生する仕組み。
このシステムには天然ガスが必要になるといい、電気・給湯・暖房に必要なエネルギーを都市ガスで供給する日本の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」と類似していますね。
しかし、「エネファーム」では、発電していないときには電気を購入しなければならず、蓄電機能が万全ではありません。一方の「CLES」は蓄電機能があり、24時間オンデマンドで電力が供給できるシステムであり、企業秘密といわれている粒子混合物を用いている点がちょっと違うポイント。
今回の「CLES」はよくあるソーラー発電とどこが違うのか?
現在の「CLES」試作品では、30~40世帯分の電力に相当する720 kWhを発電することが可能。今夏、シドニーのデンタルクリニックでのデモ発電期間を設ける予定だそうです。
そして、うまくいけば今年中の商品化を狙っている、とのこと。今後の課題は各家庭で使えるように冷蔵庫程度の大きさまで小型化し、1年半後に完成させること。副産物として発生する水素や酸素についても活路を見出したいところです。
「CLES」の研究者は、「電気性能はテスラと同等で、コストは75%に抑えられる」と自信満々。テスラといえば、自動車のイメージがありますが、太陽電池のホームバッテリーでも高い評価を得ています。
太陽エネルギーが基盤となっているテスラのホームバッテリーは、初期投資としてパネルやソーラールーフ設置に加え、さらに6000ドル程度(約66万円)かかりますが、家庭用の「CLES」はもっと価格を抑える予定だそう。
ただ、世間の反応はやや厳しめ。たとえば、「このシステムは、聞こえはいいけれど、まだグーグルで調べてもほとんど情報がないな。専門家は評価しているのかな」「なんだか話ができすぎているな」「一般家庭には訴求しなそう」などとシビアなコメントがいくつも寄せられています。
家庭用の発電システムの構築には、少なくとも1年半はかかりそうですが、電力が自由化された今、少しの初期投資でクリーンな電力を安く自給自足できるという時代は待ち遠しくもありますね。