覗けば深い女のトンネルとは? 第31回「男は付き合い出すと途端に女に対する集中力がなくなる」
男の人って全然女の話を聞いてないですよね……。というネタで執筆しようと編集くんにお知らせしたら「背筋がスーッとなりました」と返事がきたので、ぜひスーッとしていただこうと思います。
何年か前に釜山に行ったときのことです。現地で留学中のインド人男性と仲良くなったんです。で、帰ってから数か月後、彼からメールがきました。「5月に日本に行くから会いたい」と。
やだ……、なんかめちゃくちゃ好かれてる? 追いかけてニッポンまで? なんてちょっとワクワクしてましたが、ちょうどその年の5月はずっとトルコに行く予定だったんですよ。
なので「×日から×日まで日本にいないんだ」と返事をしました。彼からは、オー残念みたいな返事がきました。運命の恋に発展するチャンスを逃しちゃったかしら……。
その後、1週間くらい経った頃でしょうか。彼からメールがきました。「5月に日本に行くから会いたい」と。
……えーっと。
「×日から×日まで日本にいないんだ」と返事をしました。
彼から返事がきました。
「オー残念、5月に日本に行くから会いたいな」
……。
「×日から×日まで日本にいないんだ」
「×日から×日まで日本にいないんだ」
「×日から×日まで日本にい・な・い・ん・だーっ!」
叫んでやろうかと思いました。気があるのかないのかどっちなんだ、一度言ったら覚えとけ!
それから連絡していなかったのですが、1年後にまたメールが来ました。
「留学を終えてインドに帰ることになった。君とは交流を続けたい。ゲストハウスビジネスは上手くいってる?」
……えーっと。和久井は過去にも現在にもゲストハウス運営に関わったことはありません。いったい彼は誰と話をしているのでしょうか。
返事をしようにも、どうしたらいいのかよくわからなかったので放置してしまった。まあ、普通に考えたら気があるわけじゃなくて、適当に声かけた10人のうちの1人って感じですよね。
ところがですよ。このどうでもいい対応、世の多くの男性が当てはまるんじゃないでしょうか? 特に付き合い出すと途端に女に対する集中力がなくなりますよね。
男「土曜日に映画に行こうよ」
女「あ、ごめん土曜は友達と約束してるからダメなんだ」
男「そうか残念」
――3日後――
男「土曜日に映画に行こうよ」
女「土曜は友達と約束してるって言ったよね」
男「そうだったそうだった」
――さらに3日後――
男「土曜日映画に行こうよ」
ど・よ・う・は、い・ね・え・ん・だってばっ!!!
みたいな。なんなんですかね、これは。たいていの男の人って、せいぜい明日の約束くらいしか覚えてないようなのです。
これが「土曜は約束があるって言ってたよね、楽しんできてね」「コーヒー嫌いだったから紅茶にしておいたよ」とか、女の話をちょっと覚えておくだけで「あなたを思ってますよ」ってサインになって、うまくいくのになあ。モテる男性って、こういうカンタンな気遣いがちゃんとできるんですよね。
と思ってある脳科学の本を読んだら、男の人って自分の周りの人たちに対してフェアを心がけるので、付き合った女には距離が近いぶん、心を砕かなくなるんですって。なんですとー!?
でも、なんだか納得。だから男性の失恋ソングには「おざなりにしてごめん」たら反省して謝ってるのが多いんだ。一方で女は特別扱いイコール愛情だと思っているから、少女マンガに登場するイケメン男子たちはめちゃくちゃ主人公に時間と気持ちを費やしてくれるんですよね。ゾッコン命、もう君しか見えないみたいな。だけどこれも女子の妄想だったわけですか、がっくりだ。
その上、付き合っていると男性ってどんどん女の話を聞いてくれなくなりますよね。なにか話しかけても「ムー」みたいなどうでもいい返事で上の空。なのでこっちも早く話の結論を言わなくちゃいけない気がしてきたり、この話は興味がないかもとグルグル考えたりして、どんどん話が単調になってしまいます。結果、お互い一緒にいてもつまらなくなってくる。なんかいつもこのパターンです。
で、「最近、彼(夫)が私の話を聞いてくれないの」なんて誰か知りあいの男性に相談を持ちかけると、そいつはまだその女性との距離が遠いので、真剣に話を聞いてくれます。「この人のほうが私を思ってくれてるんだわ」と女は思うでしょう。そうやって鳶に油揚さらわれちゃった男性って、この世に何人いるんでしょうか。
女の話は、多少間延びしてても、オチがなくても、愛があるなら少し我慢。しっかり聞いて、覚えておいたほうがよさそうです。