ライフスタイル
2017/8/8 18:01

50年に一度の「奇跡の開花」に感動! あの「パリピ酒」の原料でもある「リュウゼツラン」の神秘

【竜舌蘭(りゅうぜつらん)】とは、メキシコ原産のリュウゼツラン科の多肉植物。竜舌蘭は、非常に生長が遅く、30~50年に1度しか開花しないと言われています。しかし、江ノ島にある天然温泉スパリゾート施設「江の島アイランドスパ」では、7月時点でつぼみが見られ、めったに見られない開花が迫っているということで話題になりました。

↑江の島アイランドスパの「ドラゴン広場」にあるリュウゼツラン。右写真は7月6日時点
↑江の島アイランドスパの「ドラゴン広場」にあるリュウゼツラン。右写真は7月6日時点

 

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↑メキシコのハリスコ州にあるリュウゼツランの畑

 

竜舌蘭はその名のごとく、竜の舌を思わせるような形状で、巨大なとげを持っているのが特徴。メキシコではマゲイと呼ばれています。また、あまりにも生育が遅く「100年(1世紀)に一度しか開花しない」と誤解されていたため、英語では“Century Plant(センチュリー・プラント「世紀の植物」)”とも呼ばれています。

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↑リュウゼツランの花

 

竜舌蘭が開花する前には、まず中心部から花茎が1日に数センチの急速なペースでニョキニョキと上へ伸びていきます。最終的には数m~10mもの柱になり、そこから横方向に分かれた複数の花柄に、逆さホウキのような形状の黄色い花がつきます。開花期間は2週間ほどで、咲き終わって種を実らせると枯れてしまいます。

 

この竜舌蘭、茎の部分に糖分を多く蓄え、40kg前後にまで大きくなります。この「ピニャ」と呼ばれる茎の部分を収穫し、蒸して絞った汁を発酵させ、蒸留してできるのが「メスカル」というお酒。なかでもメキシコ国内のハリスコ州サンティアゴ・デ・テキーラ周辺で生産されるものを「テキーラ」と呼びます。テキーラといえば、掛け声とともにショットグラスであおられることも多い、パリピ御用達のお酒。よくサボテンが原料と誤解されることもありますが、本当の原料は、この竜舌蘭なのです。

↑ピニャ
↑ピニャ(パイナップルという意味)と呼ばれる茎の部分

 

ちなみに、先述の江の島アイランドスパの竜舌蘭は、開花の期待が高まる7月18日、竜巻によって倒されてしまいました。当初は「再生は厳しい」と診断され、開花が絶望視されましたが、再生処置を施した結果、奇跡的に回復。7月26日に見事に開花を果たしました。

 

このほか、和歌山県の個人宅では今年の7月、約45年前に購入したリュウゼツランが開花したという例も。人と花が長い年月を経て、奇跡的に交わったという事実は、ちょっぴりロマンチックですよね。今夜は、どこかで咲いているリュウゼツランの花に思いをはせて、テキーラを一杯やってみてはいかがでしょうか。

 

【一言まとめ】

竜舌蘭はメキシコ原産の多肉植物で、30~50年に一度開花する。根の部分はテキーラの原料になる。

↑テキーラ。
↑リュウゼツランで作られる蒸留酒、テキーラ。ライムや塩とともにショットグラスで飲まれることが多いです