あるとき、「ねえ、日本人がよく言う“あ”の意味はなに?」とイタリア人に聞かれて、ポカン。
日本語を流暢に話す日本人の皆さん! お気づきでしょうか? 話し始めるときに、何気なく発している、あの小さな小さな「あ」を。「なんの“あ”?」と聞き返せば、「ほら、話し始める前にみんな言うよね、「あ、ありがとー」とか「あ、すみませーん」って。あの“あ”だよ」
日本を旅行するイタリア人も急増し、日本はなんだか以前より、ぐっと身近なものになりました。日本人と触れ合う機会も増え、日本人と話してみたいと思うイタリア人は多いようですが、日本語の難しさたるや……。まずABCではない奇妙なアルファベート・ジャポネーゼ(カタカナ・ヒラガナのこと)に怖気付き、イデオグランマ・チネーゼ(漢字のこと)で語学としての習得は、諦める人がほとんど(笑)。
会話さえできれば読めなくたって、書けなくたって! さすがコミュニケーション力の高いイタリア人です。なんとなく真似しながら会話気分を味わおうと考える、浅はか、いや、手っ取り早く物事を進めようとする人も結構います。まあ、外国語の習得方法としては、それもアリです。正しいです。
一応、「コンニチワー」「サヨナラー」「アリガトー」のような基本挨拶をとりあえずマスターしたその後(ちなみに、「ドウイタシマシテ」は習得を諦めるイタリア人多し)、イタリア人がよく真似する日本語ワード、つまり、日本人がよく発すると思われるワードは、「へぇ~」「ふ~ん」「エー」「オォ~」などの感嘆詞。言葉にするまでもないような適当な相槌とも言えますが、思いのほか日本人は多用しているようです。
あら、もしかしたら、これらをちょいちょい会話に挟めば、日本語会話はほぼほぼ成立するんじゃ……? と思ったこともありました。というのも、私がとある日本人と会話していた時、同席していたイタリア人(日本語知識ゼロ)が会話の合間に「へぇ~」「ふ~ん」を絶妙なタイミングでぶちこんでいたら、相手の日本人に「あ、日本語話せるんですね〜!」と言われたことがあったのです。いえ、話せません(笑)。
お、そう、この「あ」です。この「あ」!(ここではあえて“お”から始めてみました)
まあ、このケースでは、ちょっと驚いたときの「あ」であると説明できますが、たいして驚くシチュエーションでもないときの「あ」が難しいんですよ~。「あ、ありがとう」「あ、そうですよねー」「あ、すみません」「あ、はい」…etc。この「あ」はなんでしょうか?たまに、イタリア語の前にも「あ」がついている日本人がいたりします。「あ、グラッツェ」。
大げさに言ってる…と思ったアナタ!ちょっと気をつけてまわりの会話(特にやや緊張が伴う初対面同士や上司との会話)を聞いてみてください。聞き逃しそうな小さな小さな、「あ」。日本語を全然知らないイタリア人には、よく聞こえるようです。「日本人は、いつも「あ」「あ」って驚いてるよね。そのたびドキッとして心臓に悪い」とまで言っていたイタリア人もいますが、いや〜驚いてませんよね?
日本人は遠慮がちなので、話し始めのタイミングを推し量るための「あ」なのだ。聞いてもいないのにグイグイ会話に入ってくるイタリア人とは国民性が違うのだ。などと説明してみたりしていますが、どうでしょうか?
この「あ」の説明求ムw。