イタリアの人気ラジオDJ、ラ・ピーナさんをご存知ですか? 彼女は2017年にイタリアでベストセラーになった「I ♡ TOKYO(アイラブ東京)」という東京のガイドブックの著者。この本はイタリアで5万部以上を売り上げ、ノンフィクション部門で9週連続1位を記録した大ヒット本です。そんな話題作の日本語訳版が4月27日に発売されました。
ラ・ピーナさんは、イタリアのメジャーラジオ局「Radio Deejay」でレギュラー番組を持つ人気DJでミュージシャン。キャッチーな発言とキュートなキャラクターで人気なのだとか。
そんな彼女は現在47歳。彼女の夫、エミリアーノ・ぺぺさんは6歳年下のミュージシャンで、ナポリ出身のナイスガイ。彼女の経歴を聞くだけでもパワフルな印象を受けますが、一体どんな人なのか会ってみたい!
先日、ラ・ピーナさんとエミリアーノさんが来日すると聞きつけ、早速取材を申し込むと、快くOKのお返事がもらえました。取材場所に指定されたのは都内の民家です。リビングのソファに座ると、アサヒスーパードライ&キリン 氷結、そして柿ピーのおもてなし。もうすでに日本のことを熟知している様子が伝わってきますよね。そんな和やかな空気のなかで取材がスタートしました!
大人なのに子どもの心が見え隠れする”小さな人形”信仰にビックリ
もともと、ラ・ピーナさんが日本を大好きになったのは、ご両親の影響とのこと。建築家だったお父様に連れられて80年代に来たのが最初で、すでに50回以上日本に訪れているのだとか。そんな彼女にとって、東京は「サプライズでいっぱいのプレゼントみたいなもの」なのだそう。
「私の本がイタリアでヒットしたのは、日本に興味を持っているイタリア人がたくさんいるからです。イタリア人にとってはまだ日本はミステリアスな国。そんな日本を出発準備から細かく紹介した本はあまりなくて、これが評判の高い理由のひとつではないでしょうか。そして、私が今回、日本でも本を出すことになって一番気になっているのは、日本を”おもちゃの国”だと書いたところですね。これについて日本人はどう思うのかしら?」(ラ・ピーナさん)
そう、キャラクターやマスコットといった小さな人形たちに囲まれて暮らす日本人が、イタリア人の彼女には不思議だったのです。言われてみれば、私たちは年齢、性別に関係なく、何かしらのキャラクターグッズを持っています。それは、早く大人になろうとするヨーロッパでは考えられないことなんです。
「ヨーロッパでは子どもっぽいまま大人になるのは良くないことだとされるので、みんな早く大人になろうとします。でも、そんなことしなくて良かったのかもしれないと、いまになって思うんです。日本のように子どものままでいるのは、繊細さやデリケートさを持ったまま大人になることなので、それはいいことなのかも。日本人はそうした部分にもっと誇りを持つべきですよ!」(ラ・ピーナさん)
また、小さなものをかわいがるという気持ちが心を助けてくれることもあるのではと話してくれました。「もしかすると、お守りに近い感覚なのかもしれませんね。日本人はたくさんの規則のなかで早く大人になるから、心の中は子どものままというのがそういう部分に現れているのかも?」と、ラ・ピーナさんは考えているそうです。
エミリアーノさんは、この”小さなモノ”をリスペクトする日本人の習慣を、テクノロジーにも感じています。その代表は“喋るエレベーター”。「あんなふうに喋るエレベーターを蹴ったりできないよ。だからこそ日本人は礼儀正しくいられるのかもしれないですね」。
そんなエミリアーノのさんの話を受けて、ラ・ピーナさんはこう話します。「ヨーロッパと違い、日本は住宅環境が狭いぶん、心地よく使うための工夫を感じます。だからこそ、エレベーターが話すといった、強いこだわりがあるのかもしれません」。