繊維の凹凸がきめ細やかな泡を生む
パナソニックの開発者にも話を聞きました。対応してくれたのは、先行成形技術開発部の峯 英生さん。
「弊社では家電を中心に『高濃度セルロースファイバー成形材料』のさらなる広がりも考えていますが、タンブラーとしての開発には興味深い発見もありました。それがビールの泡立ちです。内側は一見ツルツルなのですが、電子顕微鏡レベルで見るとファイバーなので凹凸になっているんですね。アサヒビールさんによると、これがきめ細やかな泡を作るそうで。ビールのプロも納得する、素晴らしいタンブラーができてうれしいです」(峯さん)
アサヒビールは初期開発時以降何度も改良を重ね、よりビールをおいしく飲める形状を追求したとか。そのひとつがグラスのサイズ。490mlになっているのですが、これは利用者が自宅に持ち帰って飲んだときのことを想定したから。缶ビールを注いだ時に7:3になるように設計されているそうです。
リユースカップは10年以上前からあり、ライブハウスやイベントなどで採用されてきましたが、よりエコな素材というのは画期的。しかもビールメーカーが開発したタンブラーということで、性能もお墨付き。ビール好きにとってはうれしい限りです。
使い捨てカップはこれまで無償が当たり前で、タダだからこそ捨てられてきた背景も。「森のタンブラー」のような取り組みが広がっていけば、エコバッグがそうであるように、イベントなどにマイグラスを持参することが普通になっていくのでは、と思いました。今後の拡大が非常に楽しみです。
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