ヨシムラヒロムの一階通信 第八階 株式会社TBSテレビ
連載「一階通信」ではエントランス部分から見える企業の顔を取り上げる。1階にエントランスがない企業も多々あるが、それはご愛嬌。受付や入口があるフロアを総じて「1階」と呼び、エントランスから企業を紐解く。今回は、赤坂にあるTBS放送センター通称「ビッグハット」を一階通信させてもらった。
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「赤坂といえば?」と聞かれたら、80%の人は「TBS」と答えるだろう。「赤坂小町(プリンセス プリンセスの昔のバンド名)」と答える人は2%ぐらいか。それほどに、赤坂とTBSはツーカーの仲。1955年のテレビ開局から現在まで、TBSは赤坂から放送を続けている。94年には地上20階地下2階の情報発信基地、TBS放送センター(通称ビッグハット)がお目見え。今回は、そんなTBS放送センターの1階を拝見した。
在京民放5社のうちの1社、当然建物は立派で豪華。広いエントランスは、多くの人が行き来するため、縦と横の導線となる部分には何も置かれない。しかし、イベントまたは地震などで緊急対策本部が必要となった時は例外だという。そんな中央の十字ラインに特別に置かれるのが、TBSのキャラクターBooBoとBoonaの巨大な置物だ。
BooBoとBoonaの置物を触っていると、今回の取材のお世話をしてくれた総務の木村さんに声をかけられた。「まずは、軽く打ち合わせでも」と、スマートにエントランス奥にあるBooBoカフェに案内される。ここで、僕はありまるTBS愛を語った。TBSテレビではない、TBSラジオ愛についてだ。ラジオを聴く習慣がない人に説明すると、ラジオってザッピング(頻繁に番組を切り替えながら視聴すること)はあまりしない。「この1局!」と決めたら、それ以外はあまり聴かないのだ。余談になるがデザイン事務所は、ほぼ確実にJ−WAVEが流れている。
僕は、TBSラジオが大好きで、毎日聴いている。ちなみにTBSラジオはラジオ界の王様、聴取率(テレビで云う視聴率)は約15年にわたりナンバー1である。「なんでTBSラジオってあんな面白いんですか?」と質問すると、「なんせ元々はラジオ東京(TBSの前身)から65年の長い歴史があります。ずっと愛聴してくれるリスナーの方も多いんですね。そして、なんといっても永 六輔さん、大沢悠里さん、伊集院光さん、をはじめとしたパーソナリティの力。それに尽きますね」と木村さん。うーん、納得。
エントランスを見て回ろう。最初に、見たのはドラマのショーケース。ここには、今期放送されるドラマの人物相関図、ドラマの紹介映像を流すモニター、関連商品を置く棚がギュッとまとまっている。高視聴率で話題の「99.9-刑事専門弁護士-」、前田敦子主演の「毒島ゆり子のせききら日記」、出版界を舞台にした「重版出来!(じゅうはんしゅったい)」のものもある。
この「重版出来!」は、僕が久々にハマったドラマだ。毎週の放送を楽しみにしているドラマなんてホント10年ぶりで「早く来週にならないかなぁ、それまで生きてなきゃなぁ……」と次の話を待つ素晴らしさを堪能している。黒木 華演じるマンガ雑誌の新人編集者が良い! たぶん見た人全員が黒木 華を好きになるだろう。隅の隅ではあるが出版界に身を置く僕としても大いに共感し、マンガ家と編集者の熱い共同作業と人間ドラマに胸をときめかせている。
その奥にあるのが、大好きなTBSラジオのショーケース。正直、テレビに比べると目立たない。円柱型のケースには伊集院光さんの新番組「伊集院光とらじおと」「ジェーン・スー 生活は踊る」のポスターが飾られていた。
入口付近になぜかあるのが、UFOキャッチャー。数々のエントランスを見てきたが初めて見る代物だ。景品は、朝番組「あさチャン!」の番組キャラクター・ぐでたまのぬいぐるみ。これもエントランスに遊びに来た人へのサービスだろう。
その横にあるのが待合スペース。人の出入りは多く、32個のイスと3人掛けソファが8つある。壁に備え付けられた5つのテレビからは、TBS関連局の番組が常にオンエアーされている。取材時にTBSチャンネル2で流れていたのは「3年B組金八先生〜第5シリーズ」。ジャニーズ事務所の風間俊介が難儀な中学生を演じた名作だ。「このシリーズ、たぶん3周ぐらい見たよなぁ」と感傷に浸ってしまった。誰にでも1つや2つ、TBSと自分の琴線が触れ合った瞬間があるはずだ。
取材がひと段落したときに、エントランスを偶然通ったのが木村さんの同僚の高橋さん。なんと、TBSの8階で養蜂をしているとのこと。今回は特別に、育てているハチを見せてもらった。2011年から飼育を開始し、赤坂の小学生の環境学習など活用している。「虫も生きている。虫と聞いただけで、殺虫剤を撒く大人になってほしくないからね」と高橋さん。「それに赤坂の街にお世話になっているからね、少しでも恩返しをしないとね」と木村さん。
今回の取材を通してTBSと赤坂の繋がりは「想像以上に濃いなぁ」と再確認。その信頼関係があるから、夜の街を舞台にした「赤坂5丁目マラソン」も開催できる。
そして、最後にこれだけは言いたい。TBSの受付嬢は美人揃いだ。
【ビッグハットのみどころまとめ】
①ドラマのショーケース
②BooBoとBoonaの置物
③TBSの受付嬢