ライフスタイル
2020/2/10 19:00

再々発売となった「ピース・リトルシガー」にみる、ブランドとユーザーの理想の関係性

リトルシガーという嗜好品があり、そのカテゴリーでいま特に注目されている商品があることをご存知でしょうか。その名は「ピース・リトルシガー」。2017年に限定発売され、大好評を受けて翌年再発売。そして先日、2度目の復活となった銘柄です。

 

↑1月29日から全国の一部たばこ販売店で数量限定発売されている「ピース・リトルシガー」。20本入りで550円

 

その名の通り、たばこの名門「ピース」のシリーズですが、同ブランドはなぜここまで愛され続けているのでしょうか。販売前に開催された特別イベント「Peace Aroma Lounge 2020」の取材を通して、商品の特徴とともに作り手の想いや愛煙家との関係性を探りたいと思います。

 

限定品を中心に全種のテイスティングやウイスキーとのマリアージュも

同イベントは、抽選で当たったピースファンを招いて、復活する限定商品を中心にピースの魅力にふれるというもの。会場には関係者を含めた100人以上が集い、大きなにぎわいを生み出していました。

 

 

「ピース・リトルシガー」についても紹介しましょう。まず、リトルシガーというのは葉巻の一種で、紙巻たばこと似たルックスでありながら、紙ではなくシートたばこで巻いていることが大きな特徴です。

 

↑シートたばこは、葉たばこの微細原料をパルプに混ぜたシートのこと。紙に比べて質感は自然なタッチ、色は茶系になります

 

同商品はピースのDNAであるバージニア葉100%のブレンドにこだわり、まろやかで華やかな香り立ちと、ほのかに香ばしい味わいに仕上がっているのが魅力。前回、前々回に好評を得たテイストはそのままに復活する形となります。

 

会場内は全エリア喫煙可能。この日はそのうえ、特別なテイスティングルームも用意されていました。そこではピースの全ラインナップを味わえたり、ウイスキーとのマリアージュを試せたり。

 

↑用意されたウイスキーは、2016年設立のクラフトディスティラリーである、滋賀・長濱蒸溜所の「AMAHAGAN」から4種類

 

↑このウイスキーにはどのピースがベストマリアージュですか?という贅沢なアンケートも実施されました

 

ウイスキーのなかには、ピート(泥炭)による燻香が効いたスモーキーフレーバーが魅力の銘柄もあります。その意味では、たばことの相性がいいお酒といえるでしょう。

ファンに受け入れられながらも、新規性ある香りを探求

イベントでは、ピースブランド開発責任者の小澤義美さんが登壇。「ピースは、バージニア葉を100%使うというコンセプトをもつ、香りを極めた最高級ブランドです。そのうえで、お客様のゆったりとした時間と空間がより心地よく、深く、素敵なものになる香りと味わいをイメージしたのが『ピース・リトルシガー』です。本日も心ゆくまで楽しんでいってください」と乾杯のあいさつをしました。

 

↑小澤義美さん。一般参加者のなかに交じって談笑する姿も印象的でした

 

小澤さんに話を聞くと、「ピース・リトルシガー」の開発は、バージニア葉から紡ぎ出されるピースならではの香りをどこまで深化できるのか。ピースのファンに受け入れられながらも、新規性ある香りとは何か。ピースの高級感や上質さをどこまで高められるか。といった自問自答から始まったとか。

 

「その実現のためには、従来の紙巻たばこの枠を超える必要があると思いました。そこで出てきたのが、リトルシガーという選択肢です。さらに理想の葉たばこの組み合わせを探求し、バージニア葉の香りとシガーのゆったり感を醸し出す、香りの融合にたどりつき、豊かでまろやかな味わいが完成しました」(小澤さん)

 

「Peace Aroma Lounge」は、2018、2019年にも開催されています。こうしたファンイベントはリアルな感想を聞く機会でもあると思いますが、開発者としてどのようにとらえているのでしょうか。

 

↑参加者のなかにはファンの同伴者もいて、「ピース・リトルシガー」は初体験という愛煙家も。香りの豊かさに驚く声も聞こえてきました

 

「ピースに対するお客様一人ひとりの思いは、共通項もあれば、個々それぞれの受け取り方をされている方もいらっしゃいます。気づかされることは非常に多いですね。そういった感想や意見から得た知見を、次の商品展開に生かしていくことが私の役目だと思っています。私がピースの開発担当になったのは2016年の春なのですが、たとえば今回の『ピース・リトルシガー』はそれまでのピースとはやや異なる、挑戦的なアプローチなんですね。でも、お客様に受け入れていただくことができたのは、様々な声を頂戴できたからだと思います」(小澤さん)

 

2019年5月には「ピース・アロマ・ヴィンテージ」という、赤いパッケージで20本1000円という意欲作も限定発売した同ブランド。この商品の開発にも、ファンからの声が生かされていると小澤さんは言います。

 

「ピースは格式があり、歴史も長いブランド。“らしさ”という部分をはじめ、超えてはいけない一線はあります。そこは守りつつも、これからも様々な意見に耳を傾けながら、新たな開発にも少しずつ盛り込んでいきたいですね。とはいえ、新商品はなかなかすぐに出せるようなプロダクトでもないですから、既存品のリニューアルにも目を向けていきたいです」(小澤さん)

 

 

ピースとファンの間には、伝統を重んじつつも挑戦心をもち、ユーザーへの問いかけとレスポンスを大切にしながら新商品を創造し、ともにブランドを育てていく――そんな理想の関係性がありました。この絆も、ピースを“マスターピース”たらしめている所以なのです。