秋のお楽しみイベントといえば、ハロウィン。2018年には、東京・渋谷のスクランブル交差点やセンター街を中心に、10万人超がごった返す様子が大きな話題になりました。いまだ新型コロナウイルスの影響下にある今年は、仮装して大勢がひしめくパーティーへ繰り出すよりも、“おうちハロウィン”が主流となりそう。そこで、大人数で集えなくても、手の込んだ料理を作らなくても、自宅でハロウィンパーティーを楽しめるテクニックを、造形教室の講師であり、イラストレーターの佐々木千絵さんに教えていただきました。
ハロウィンっていつ? 本来の意味は?
Halloween(ハロウィン、ハローウィン)とは、本来は「聖夜」の意味。古くはケルト人の祭りで、秋の収穫を祝い、悪い自然霊や魔女などを追い払うために行われていたものです。
ケルト人の暦では、11月1日が元旦。10月31日は大晦日にあたり、悪霊をすべて動物に取り憑かせて追い出すことができる夜とされていました。10月31日の夜、カボチャなどのウリをくり抜いてランタンを作り、仮装行列を行って広場の焚き火の周りに集まり、藁人形や麦の穂で作った動物を燃やす、という一連の行事を行います。
この習俗がキリスト教文化に取り入れられ、11月1日の万聖節「Hallowmass」の前夜祭とされました。やがてアメリカに取り入れられるとイベント的要素が色濃くなり、現代ではおもに子どもの祭りとして、10月31日の夜ににぎやかに騒ぎ、ごちそうを食べる民間行事となっています。子どもたちが近所を巡って「Trick or Treat!」と言ってはお菓子をもらう様子は有名ですね。
※参考=ニッポニカ
ハロウィンパーティーの醍醐味は非日常感を味わえること
赤ちゃんから大人まで幅広い年代を対象にした、不定期開催の造形教室「アトリエゴーゴー」の講師をしている佐々木さんは、毎年、生徒さんと一緒にハロウィンパーティーを楽しんでいるそう。
「ハロウィンといえば、変身や装飾! サプライズ要素がお楽しみポイントになります。家にあるものをベースに100円グッズなどを少し買い足すだけで、ハロウィンらしい世界観はつくれますよ。フェイスペイントをしたり、普段は飲まないような見た目&味わいのドリンクに挑戦したりして、ワクワクドキドキする時間を過ごしましょう!」(イラストレーター・佐々木千絵さん、以下同)
さっそく、佐々木千絵さんプロデュースの手軽に楽しめる”おうちハロウィン“テクを紹介します。
1. 好きなドリンクをハロウィン仕様にしてみよう
ハロウィンの食卓を彩る「コウモリモンスター」
おうちにある無柄のコップに、100円ショップなどで手に入る目玉シールとコウモリの羽を付け、カラフルなドリンクを注ぐだけ。目玉の数や位置やドリンクの色で、何通りものユニークなモンスターが並びます。
「黒ビールを注ぐだけでもいいし、トマトジュース&ビールのレッドアイ、ラム&コーク、カシス&オレンジなどの定番カクテルから、オリジナルアレンジの毒色カクテルまで、モンスターグラスの色味を変身させて、幅広い味わいで盛り上がりましょう。もちろん、ジュース類でもOK。星や丸型にしたゼリーを浮かべるのもいいですね」
【材料・道具(4人分)】
・画用紙(黒・A4サイズ)…1枚
・ハサミ
・色えんぴつ(白)
・マスキングテープ…1~2本
・目玉シール(100円グッズ)…1~2袋
・お好みのドリンク…4種類
・紙ストロー…4本
【手順】
1. 画用紙を半分に折り、コウモリの羽の形にハサミで切る
「羽を広げたコウモリが飛んでいる姿になるように、左上上がりのカーブから、下側をギザギザになるようにフリーハンドでカットします。大きさや形はお好みのサイズでOK。形がいびつになってもかわいいので、ご心配なく!」
2. 色えんぴつ(白)で名前を書く
「グラスの持ち主がわかるように、名前を書きましょう。金や銀のカラーペンやキラキラ光るペンで書くのもいいですね」
3. コウモリの羽と目玉シールをグラスに貼る
「コウモリの羽をマスキングテープでグラスに貼ります。このとき、コウモリの羽を少し傾けた状態で貼ると、パタパタと飛んでいるようでかわいい雰囲気になります。目玉シールの位置や数も自由にアレンジしてくださいね。透明なグラスがなければ、プラスチックカップでもOK。コウモリの羽は紙皿に付けるのもオススメです」
【アレンジテク】
「チョコシロップをグラスの内側上部分に垂らしてから、牛乳を注げば、チョコレートドリンクに。お子さんや、アルコールが飲めない方にどうぞ!」
次に佐々木千絵さんに教えていただくのは、家のなかにイベント気分を高める“フォトブース”を作るテクニック。
2. フォトスペースを作ってみよう
イベント気分を高める「ぷっくりモンスターとクモの巣の壁」
マスキングテープとコーヒーフィルターを使った、フォトスペースにもなる壁のデコレーションです。モンスターに見立てたコーヒーフィルターの中にはお菓子が入っているのも、うれしいサプライズポイントに。「ハロウィン専用のガーランドや装飾アイテムを買い足さなくてもできます。マスキングテープは黒系だけではなく、ピンクやイエローなど、ビビットなカラーを加えるのがポイント。フォトスペースをつくっておけば、うっかり写真を撮り忘れることがなくなるし、撮影回数が自然と増えます。ハロウィン気分も盛り上がりますよね」(イラストレーター・佐々木千絵さん、以下同)
【材料・道具】
・マスキングテープ…数種類
・コーヒーフィルター…数枚
・目玉シール(100円グッズ)…1~2袋
・ハロウィンのお菓子…適量
【手順】
1.マスキングテープでクモの巣と文字をつくる
「描きたいクモの巣の大きさを決め、その大きさになるように色柄違いのマスキングテープ2〜3種類を使って、4本の線が中央でクロスするように貼ります。線と線の間をつなげるように、マスキングテープを横に貼り、クモの巣を完成させます。『HALLOWEEN!!』の文字も同時につくっていきましょう」
2. コーヒーフィルターに目玉シールを貼る
「コーヒーフィルターに、目玉シールを1~3個程度、貼り付けてモンスターの顔にします。中にお好みのお菓子を詰め、開封部分が上になるように、クモの巣をつくった壁部分にマスキングテープで貼り付けましょう」
最後に佐々木千絵さんに教えていただくのは、家のなかにイベント気分を高める“フォトブース”を作るテクニック。
3. フェイスペイントに挑戦してみよう
【クール編】目元で魅せる「スパイダーウーマン」
普段使いのアイラインや赤系リップですぐにできるフェイスペイント。「片方の目元に細いラインでクモの巣を、反対側の頬に赤いハートを描きました。ハートを頬ではなく、クモの巣横に小さく描いて片側にアレンジを寄せれば、控えめで大人っぽい雰囲気に。クールな表情で撮影をしてインスタにアップすれば、いいね! がいっぱいつきそうです」(イラストレーター・佐々木千絵さん、以下同)
【道具】
・口紅(赤)
・アイライン(黒)
【手順】
1.口紅で片方の頬にハートを描く
「口元に塗った口紅と同じ色で、鼻横くらいの位置に3cm程のハートを描きます。右利きの方は右目側の方がクモの巣を描きやすいので、ハートは左頬にしましょう。ハートが口元になったり大きすぎたりすると、笑いジワで崩れやすくなるので、ご注意を!」
2.口紅で上まぶたにラインを描く
「目尻側1/3くらいの位置から、目尻に沿って口紅を動かし、そのままややつり目になるように約1cm伸ばし、反対側にも同様のラインを引きます。口紅がクレヨンのような形状ならそのまま描けますが、そうでないタイプは、リップペンシルを使いましょう」
3.アイラインで片方の目元にクモの巣を描く
「ハートとは反対側の目元下に、中央から目尻までの横幅の間で4本のアイラインを引きます。下にいくほど広がるような放射線状に描きましょう。それら4本の縦線の間をつなげるように、アイラインで3本の横線を引けば、クモの巣の完成です」
【キュート編】笑顔が可愛い!?「口裂け吸血鬼」
口紅とアイラインに、アイシャドウとフェイスペイントキットを加えたアレンジです。「ハロウィンが近づくと、100円ショップや雑貨を扱うショップにはフェイスペイントキットが並ぶので、そういったものを活用するのも楽しいですよ。ここでは、フェイスペイントキットを使って頬に星を描きました。口元にしたたる血が、ニコッと笑うといい感じです(笑)」
【道具】
・口紅(赤)
・アイシャドウ(オレンジ系)
・アイライン(黒)
・フェイスペイントキット(ハロウィン用)
【手順】
1.口紅で口元に血を描く
「口元に塗った口紅を使って、口びる右側に数本の縦線を描き、血のしたたりを演出します。口紅の形状によっては、直接描きにくいことがありますので、リップペンシルを使うのがオススメです」
2.アイラインで口横に縫い目を描く
「目元にアイシャドウを塗ります。次に、左の口角から、笑ったときに口角の上がるラインに沿うように3cmほど横ラインを引き、4〜5か所、均等幅の短い縦ラインを描きましょう」
3.アイラインで目尻に縫い目を描く
「左の目尻からやや上カーブになるようにアイラインで2cmほどの横ラインを引きます。次に、3ヵ所ほど均等幅で短い縦ラインを描きます」
4.フェイスペイントキットの黄と白で右頬に星を描く
「フェイスペイントキットのチップで黄、白の星をやや重なり合うように左頬に描けば完成です。フェイスペイントは、お好みの色味とデザインで自由に描いてくださいね」
赤リップやアイシャドウ、目玉シールやマスキングテープなど、すべて100円ショップで手に入るので、オリジナルのアレンジにも気軽に挑戦してみましょう。オンラインでのハロウィンパーティーやSNSなどを通じて、おうちハロウィンのアイデアを共有するのも楽しいですよ!
【プロフィール】
イラストレーター / 佐々木千絵
イラスト旅エッセイスト。独特のタッチと鋭い視点で描くイラストやエッセイが人気で、雑誌やweb、書籍などで活躍。著書に『LOVE台南 台湾の京都で食べ遊び』、『ジジ連れ冥土のみやげ旅inパリ』、『子連れソウル』(すべて祥伝社)などがある。高校生と中学生姉妹のママ。
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