今年も残すところ、あと1か月を切りました。年末が近づくにつれて、気になるのが大掃除。そろそろ始めなきゃと思いながら、なにかとせわしなく過ぎる師走の中で、余裕を持って着手するのは難しいものです。短時間で効率よく大掃除を終えるには、どのように進めればいいのでしょうか?
大掃除を無理なく無駄なく終わらせるためのスケジュールの立て方、段取りの付け方について、整理収納アドバイザーで、生活空間を清潔に保つ「クリンネスト」の資格を持つ綾部奈美さんに聞きました。
大掃除の段取りを決める際の注意点
1. 掃除と整理収納を同時に進めないこと
早めに大掃除を始められたとしても、終わりの見えない状況にうんざりしてしまうことはありませんか? これは、整理整頓と掃除を同時に行おうとすることが、原因だと綾部さんは言います。
「整理収納と掃除は、部屋をキレイに整えるという目的は同じですが、作業はまったくの別物です。頭の使い方が違うので、整理や物の処分をした後で掃除をするというやり方をすると、何度も頭の中を切り替えなくてはいけないので効率が悪くなります。今年の大掃除は、汚れを落とす掃除のみに焦点を当てて、スケジュールを立ててみましょう」(整理収納アドバイザー・クリンネスト / 綾部奈美さん、以下同)
2. 掃除の終了時間を決めておくこと
まずは、今年の大掃除で手を付ける掃除場所と内容を書き出し、タイムスケジュールを作ります。このとき、掃除の終了時間を必ず決めておくこと。
「大掃除は汚れが完璧に落ちるまで掃除を続けるのではなく、時間で区切っていきます。時間内に落ちなかった汚れは、いったんあきらめる潔さがないと、スケジュール通りには終わりません。それに、作業中は気になって仕方のなかったしつこい汚れでも、翌日に見てみると案外、気にならないものです。そして、予定していた作業を終えたら、タスクを消すことも忘れずに!」
2つの注意点をおさえたら、早速、大掃除の段取りを組み立てていきましょう。
大掃除の段取り
1. 普段、掃除の行き届かない場所をリストアップする
大掃除の内容を、“普段の掃除では手をつけられていない場所”に限定すると、優先順位が明確になります。まずは以下のリストの中から、汚れていそうな場所をチェックしてみましょう。そして、チェックの多い場所の上位3か所を、今年の大掃除で作業することに決めます。
「私自身、あまりお掃除が得意ではないので、作業量が多いとやる気が起きません。ハードルをなるべく下げて、確実に予定をこなしていけば、年末までに大掃除が終わります。余力があれば、ほかの場所にも手をつけるのは、もちろんOK!」
【玄関】
・照明
・ドアノブ
・シューズクローゼットの棚
・絵や写真立て【リビングルーム】
・エアコン
・照明
・窓ガラス、サッシ
・ブラインド
・網戸や雨戸
・カーテン
・カーテンレール【寝室】
・照明
・ベッドの下
・クローゼットの床
・空気清浄機【キッチン】
・換気扇
・ガステーブルのパーツ
・冷蔵庫の裏側や床
・電子レンジやオーブンの中【洗面所】
・お風呂と脱衣所の換気扇
・お風呂のフタ
・洗面台の照明
・洗濯機の裏側や床
・洗面台の収納棚【トイレ】
・換気扇
・収納棚
2. “大掃除カレンダー”を作って掃除の内容と所要時間を書き込む
掃除項目を洗い出したら、スケジュールを管理するための“大掃除カレンダー”を作ります。使うのはブロックタイプのマンスリーカレンダーがおすすめ。インターネットで「月間スケジュール」などと検索すると、フリー素材がダウンロードできるので、なるべくシンプルで余白の多いものを用意しましょう。そこに、掃除内容と所要時間を書き込んでいきます。
「せっかくスケジュールを立てるので、年末に余裕があるプランにしたいですね。まずは12月27日くらいまでにすべての項目を割り振ってみます。平日は朝30分間の朝活や、家事の合間に10分ほどの作業を加えていけば、かなりの掃除量がこなせます。掃除の終了時間を決めているので、リモートワークの合間に取り入れても、良い気分転換になりますよ。週末は午前中のうちに掃除の予定を入れて、その後はお出かけや趣味の予定を入れておけば、集中して作業ができます」
3. 掃除が終わった場所をチェックしていく
掃除が終わったら、大掃除スケジュールの予定にレ点やマーカーをしてチェックしていきます。大掃除は12月のイベントなので、クリスマスのアドベントカレンダーのように、カウントダウンできる要素をプラスするのもおすすめです。
「私は部屋の中がすっきりしている状態が好きなので、壁にベタベタとタスクが貼ってあると、とても気になります。そこで、あえて掃除項目を壁に貼り付け、『全部の紙をはがせたら気持ちいい!』という思いを、大掃除のエネルギーにしています。デジタル派なら、掃除スケジュールを管理してくれる無料アプリを活用するのもいいですね。大掃除をいかに楽しむか、ラクにこなすかを考えてみると、ご自身に合うやり方が見つかることでしょう」
アラームでお知らせ!
大掃除の進行管理に便利な無料アプリ
綾部さんはアナログ派だそうですが、今は無料アプリの中にも大掃除をスムーズに進めるための便利な機能があります。そこで、大掃除のスケジュールをスマホで確認できたり、家族でやるべきことを共有できたり、ごみの日を忘れないように通知してくれたりなど、便利な機能をもった無料アプリを紹介します。
iOS
おそうじログ
無料
「玄関」「洗面台」「ベランダ」など、掃除場所ごとに「何日前に掃除をしたか」「次はいつ掃除をする予定か」を記録できます。空気清浄機のフィルター交換日などをメモしておけるのも魅力的。あらかじめ決めた掃除スケジュールを登録しておけば、リマインドで知らせてくれるので、掃除忘れがありません。
iOS
ごみの日アラーム
無料
「毎月第1、第3水曜日は資源ゴミ」など、隔週にあるゴミの日は、うっかり忘れがちです。さらに、年末年始はゴミ回収が休みになってしまうのも要注意。こちらのアプリでゴミの日を設定しておけば、ウィジェット機能でスマホ画面にごみの日が表示される上に、前日と当日の2回の通知が可能です。
大掃除の作業効率を上げるアイテムと習慣とは?
「汚れたぞうきんをすすぐために、脚立から降りる」「掃除内容が変わる度に洗剤を変える」というのは、けっこうわずらわしいもの。綾部さんは、とことん作業をスリム化するために、拭き掃除は使い捨てタイプのウェットシートを、汚れ磨きには小さなブロックタイプのメラミンスポンジ、汚れを落とすのは洗剤代わりに電解水を使うなど、3アイテムで家中の掃除をこなしているそう。
「ほかにも、掃除のテンションを上げてくれる音楽とイヤホンを用意したり、掃除箇所のビフォーとアフターの写真を撮影したり、キッチンタイマーをセットして時間を区切ったりして大掃除を進めています。また、いろいろな洗剤や道具を使い分けるのは面倒なので、掃除道具を最小限にしてひとつにまとめておきます。掃除アイテムをシンプルにすると、物が減らせるのも魅力ですね。ストッキングや穴の開いた靴下などを、掃除の際の雑巾に代用すると便利ですが、わたしはあらかじめストックしておくのではなく、捨てるたびにその場で、真っ黒になるまで拭き掃除をしています」
【三種の神器】
・使い捨てタイプのウェットシート
・ブロックタイプのメラミンスポンジ
・電解水【掃除の際の習慣】
・テンションを上げる音楽とイヤホン
・ビフォーアフターの写真を撮って成果を可視化
・キッチンタイマーで時間を区切る
・ストッキングを捨てる際にその場で掃除する
余力が出たら、ほかの場所にも着手!
困ったときは掃除のプロに頼むのもひとつ
換気扇のギトギトになった油汚れやお風呂のカビとりなど、作業の労力が高く、掃除のコツがわからないものはプロにお願いするのが一番、と話す綾部さん。実際に、リモートワークの時間を使って、月に2回、家事代行サービスを利用しているそうです。
「私はタスカジさんの1回3時間コースのお掃除サービスを活用しています。定期的に掃除をしてもらうことで、水回りやキッチンが大きく汚れることはありません。大掃除で力を入れるのは、玄関をスッキリ整えるくらいです。月に1万円未満の費用で掃除の負担が大きく減り、その間にリモートワークで仕事ができ、同時にプロの掃除術が見られるので満足です。ほかにもエアコンや洗濯機などのクリーニングは、くらしのマーケットで検索してプロの方にお願いしています」
綾部さんおすすめの掃除のプロ
家事代行マッチングサービス「タスカジ」
https://taskaji.jp
多彩な家事スキルを活かして働くハウスキーパー(タスカジさん)と、家事をお願いしたい人をつなぐ、シェアリングエコノミーの家事代行マッチングサービス。掃除や洗濯だけではなく、料理や整理収納、チャイルドケア(保護者同席)、ペットケア(室内)など、家事のあらゆることの依頼が可能。ユーザー登録をし、お願いしたい家事の内容に合わせて、依頼したいタスカジさんを自分で見つけて直接連絡を取るシステムです。
・料金=1時間1500円~2990円(ハウスキーパーにより変動)
・利用時間=1回3時間固定
くらしのマーケット
https://curama.jp
ハウスクリーニングや家事代行、不用品回収や引越しなどの暮らしのサービスを一覧で比較・予約できるサイトです。「エアコンクリーニング」「水回りクリーニング」「窓・サッシの掃除」などお願いしたい掃除の内容とエリアを選択することで、依頼先を見つけられます。
・料金=サービスや出店者により異なる
・時間=サービスや出店者により異なる
ミッションを終えたら整理収納にも着手!
大掃除の中では、同時に整理収納を行わないのが鉄則ですが、時間的にも体力的にも余力があれば、年末のうちに不用品を処分したり、モノの整理を進めたりできるといいですよね。
「大掃除と整理収納を別にすることは大切ですが、掃除をしていると、不用品整理をしたくなる方も少なくないはず。そんなときは、大掃除のタスクを終えた後の時間を整理収納の見直しタイムにしていきましょう。収納棚からモノが溢れている状態は、モノが多すぎるサインです。モノを全部出して、使っていないモノやいつか使うかもしれないと思って保管しているモノは思い切って処分してしまいましょう! 大掃除スケジュールの中に年内最後の資源ゴミ収集日も書き入れておくと、整理収納をいつまでに終えるのがよいのか把握でき、やる気がアップすると思います」
大掃除といえば、部屋の中の整理やモノの処分に大半の力を注いできた方は少なくないでしょう。今年の年末は、隠れた汚れやホコリ取りに注力し、空気がスッキリする感覚を味わってみませんか? 無理なくこなせる大掃除スケジュールを立てることで、リズムよく作業がはかどり、波に乗って、部屋の片付けまでスムーズに終えられそうです。
【プロフィール】
整理収納アドバイザー / 綾部奈美
神奈川県の湘南地区を中心に活動している整理収納アドバイザー。Goodwave代表。整理収納アドバイザー以外にも、住宅収納スペシャリスト、整理収納教育士、企業内整理収納マネージャー、クリンネスト、ベーシックコーチング、前整理アドバイザー、キャリアチェックリーダーの資格を持つ、1児のママ。物をため込む性格の母の元で育ち、大人になってから知人のすっきりした部屋の気持ちよさを実感したことがきっかけで整理収納アドバイザーの道へ。個人宅の整理収納に関するアドバイスを中心に活動。「運をアップするお片付けセミナー」「夢を叶える子を育てるお片付けセミナー」など、企業主宰のセミナー講師も手がけている。
HP http://goodwave.work/about.html