昔ながらの味にホッとする! 正統派「ちらし寿司」の作り方
それではここからは、ちらし寿司の作り方を見ていきましょう。こういった飯台(はんだい)を持っていなくても、お皿に盛り付けることで、見栄えよく美しく仕上げられます。
【材料】
[酢飯に混ぜる具]
・蒸しエビ…5尾
・にんじん…30ℊ
・しいたけ…2枚
・たけのこ…20g
・だし汁…100ml
・きび糖(砂糖でも可)…大さじ1
・酒…大さじ1
・しょう油…大さじ1
[飾りつける具:調理が必要なもの]
①蓮根の酢漬け
・蓮根…30ℊ
・すし酢…蓮根がかぶるくらい
②錦糸卵
・卵…1個
・きび糖(砂糖でも可)…小さじ1/3
③青菜のお浸し
・菜の花…20g
・こごみ…10g
・煮切りみりん…小さじ1
・うすくちしょう油…小さじ1
・だし汁…小さじ1
[飾りつける具:調理が必要ないもの]
・煮穴子(刻んでおく)…20
・きざみ海苔…適量
・桜でんぶ…10g
[酢飯]
・米…1合
・すし酢…大さじ2(ボウルで作る場合は少なめから)
[酢飯に混ぜる具]を作る
甘じょっぱく煮つけた野菜は、保存もききます。「たくさん作って冷凍庫に小分けして保存しておけば、普段でも手軽にちらし寿司が楽しめます。また、煮つけた汁が残ったときは、白米を炊くときに入れて炊き込みご飯にしましょう」
1. 野菜を切る
にんじん・しいたけ・たけのこをそれぞれ千切りにし、たけのこの穂だけは飾り用に大きめにスライスしておきます。
2. 野菜を煮る
にんじん・しいたけ・たけのこを鍋に入れ、すべての調味料を入れて10分ほど煮ましょう。火を止めてからもこのまましばらく置いておくと、味が馴染みます。
[飾りつける具]を作る
たくさんの具材を準備するのは大変ですが、ひとつずつの工程は少ないので、トライしてみてくださいね。「蓮根の酢漬けは冷蔵庫で一週間くらい持ちますから、普段のつけあわせ用に作り置きしておくのもおすすめです。すし酢で漬けるので、ちょっとしょう油をたらして炒めれば、おいしいきんぴらにもなりますよ」
①蓮根の酢漬け……蓮根を花蓮根にして下茹でし、すし酢に浸けておく
皮をむきながら蓮根の穴に沿って花形に切っていきます。「薄くスライスしてからではやりづらいので、太めに切ってから花形に飾り切りをして、最後に薄くスライスしてみましょう」
②錦糸卵……錦糸卵を焼く
たまごにきび糖をよく溶き、フライパンに薄く卵液を広げて両面を焼きます。「大きなフライパンで作るよりも一人用の卵焼き鍋などで焼き、小さく何枚も焼くと失敗がありません」
小さく焼けたものを重ねて、細かく千切りにしていきます。「必ず冷めてから行いましょう。温かいまま重ねてしまうと、卵がくっついてしまったり、きれいに切れなかったりしてしまうんです」
③青菜のお浸しを作る
青菜はいずれも1分ほど茹でてから、調味料に浸しておきます。「春の香りのする山菜を用意すると、季節感のあるちらし寿司に仕上がります。今回は、アク抜きなどが必要なく、茹でるだけで食べられる菜の花とこごみを使いました」
[酢飯]を作る
酢飯を飯台で作ると、ごはんの水分が適度に飛び、おいしく仕上げることができます。「飯台がない場合は、水気のおおい酢飯になってしまう可能性があるので、酢の量を調節しながらボウルで作りましょう」
1. 炊いたごはんにすし酢を混ぜる
ごはんが熱いうちに、すし酢を入れてよく返して混ぜます。「ごはん粒が潰れてしまわないよう、切るようにしゃもじを動かして混ぜていきましょう。うちわであおぐとよいのですが、少量(2合くらい)なら、あおがなくてもすぐに冷めるので大丈夫です」
ちらし寿司を作る
1. 酢飯に〔ちらし寿司の具〕を混ぜる
酢飯と具材が準備できたら、合わせていきましょう。まずはちらし寿司の具を酢飯にさっくりと混ぜ合わせます。
2. [飾りつける具]をのせる
穴子→海苔→錦糸卵→海老→青菜→れんこん→桜でんぶの順番で、色が濃く地味なものから盛りつけていき、最後に華やかな色のものを飾っていきましょう。
錦糸卵は塊にならないよう、ほぐしながら錦糸のように飾っていきます。
桜でんぶは散らすのではなく、小さなスプーンなどで山にして飾っていきましょう。
黄色とグリーンが映える、春らしい華やかなちらし寿司ができあがりました。「今ではお刺身を飾ることも多いちらし寿司ですが、冷蔵の技術がなかった江戸時代は、山や海から材料を集め、乾物をじょうずに使ってちらし寿司を仕上げたそうです。昔ながらのおいしさを味わってみてください」
2021年の雛祭りは水曜日。週の中日でちらし寿司の準備が大変だなと感じた方は、ぜひ余裕があるときに“ちらし寿司の具”を作り置きしてみてください。冷凍しておけば、当日は酢飯に混ぜるだけで食卓を彩ることができますよ。
【プロフィール】
和ごはん研究家 / 麻生怜菜
全国を転々とした幼少時代を過ごし、旅行好きの両親の影響もあり47都道府県全ての地域食材、郷土料理を食べて成長する。結婚後、夫の実家がお寺であったことをきっかけに、お寺の行事食に関わり、伝統的な和食(特に精進料理)に興味をもつ。日本の伝統食、特に精進料理の考え方や調理法、食材などに感銘を受け、伝統的な調理法や食材を、現代のトレンドと融合した食文化の発信する場として、2011年より「あそれい精進料理教室」主宰。日本大学生物資源科学部非常勤講師(日本食文化史/おいしさの科学)に就任。全国の厳選のオススメお料理教室を紹介するサイト「全国料理教室協会」代表理事や、女性支援団体「Welle Me」のアドバイザーも務める。また、2019年からは、寺社振興・地方創成を目的に宿坊・体験プログラムを展開する「和空」の宿坊施設の食事アドバイザーとして活動。レシピ本に『寺嫁ごはん』(幻冬舎)『おからパウダーでスッキリ腸活レシピ』(主婦の友社)などがある。
http://shojinryori.jp/
https://www.instagram.com/reinaasou/
『寺嫁ごはん』(幻冬舎)
『おからパウダーでスッキリ腸活レシピ』(主婦の友社)