このたび株式会社作島が、「大切な人とずっと一緒に」というコンセプトの新たな仏具「香る遺骨ペンダント」のクラウドファンディングプロジェクトをMakuakeにてスタートさせました。
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プロジェクトページはこちら!
この「香る遺骨ペンダント」は、大切な人との思い出を感じさせ、また癒し効果のあるフレグランスを香らせるペンダント。ペンダントの中には、故人を偲ぶ遺骨を収納できる、今までにないコンセプトの仏具です。木製と真鍮製、2つのパターンが用意されておりあらゆる人の生活になじむデザインが選べます。
京都で長らく仏具の製造をしている作島さんが、その技術をふんだんに投入した意欲作となっています。そして、プロジェクトページに記載の通り、実はGetNavi編集部が「香る遺骨ペンダント」のコンセプト、デザイン案作りをプロデュースしているのです! 本記事では、プロジェクトの制作ヒストリーを制作を担当しました玉造の目線で追っていきたいと思います。
初めての製品開発、しかも仏具という初めての領域…。何はともあれ、まずはリサーチだ!
作島さんと初めてお会いしたのは、遡ること約3年ほど前になります。「新領域かつ、生活の中で身近に故人を感じられる仏具を作りたい」というご相談を頂いた時、率直に申し上げますと相当な不安がありました。GetNaviで日々最新のグッズに触れて、様々なメーカー様の声を間近に聞いている立場ですが、自身で開発の方向性を示すのはほぼ初めて…。しかも、私自身はいつもデジタル・ガジェットの担当をしており、アナログなフィジカルプロダクトである仏具とは真反対側の領域にいる人間だったから、「こりゃあ、あかん」と思ったのが正直なところでした。
ただ、GetNaviには他にも様々な分野のモノ・コトに触れている編集部員が所属しています。同じチームである編集部員の知恵を総動員させることで、まずは製品の方向性を絞っていきました。
編集部総出で出した案は、以下の5案。
・磁気治療器×仏具(遺骨ペンダントをイメージ)
・香り×仏具(遺骨ペンダントをイメージ)
・デジタル×仏具(スピーカー内蔵の仏壇などイメージ)
・インテリア×仏具(インテリアライトにもなる位牌をイメージ)
・文房具×仏具(万年筆×遺骨入れなどをイメージ)
GetNavi編集部の中で様々なアイデアを出し合いました、本当に。今見ても「これ実現できるの?」と思われるアイデアも入っているように見えるかもしれませんが、すみませんこの段階では我々もそこは度外視させて頂きました! 夢はでっかく…ではないですが、新しい領域を攻めるとなると、まずは常識の枠組みを超えなければいけません。そういった考えのもと、当時の「遺骨ペンダント」などの流行も取り入れつつ上記の案をひねり出したわけです。
ただここで、我々は日々最新のモノ情報に触れている中でこういったアイデアを生み出せるわけですが、同時に「実際に誰がどれを欲しいの?」という疑問も常に付きまとうわけです。編集部もですが、もちろん我々に本件を依頼して頂いた作島さんもそれは同様。ということで、ユーザーのニーズ調査をしよう!ということで、月間PV1200万(2018年当時)の総合サイト・GetNavi webでユーザーアンケート施策を行いました。その記事が以下。
こちらのアンケートをとったところ、約数百名の回答データを集計することができました。そうした結果、最も需要のあったカテゴリは「仏具×アロマペンダント」が圧倒的多数で支持を集め、その理由としては「愛着を持って使えそう」「故人を身近に感じられそう」「故人を思い出す頻度が増えそう」という声が多く聞かれました。
方向性は「仏具×香り」で決定! どんなモノにしていくか、有識者にヒアリングを重ねた
こうして、「仏具×香り」のコンセプトでプロジェクトを進行することに決定しましたが、ではどんな形にするか? どういった香りにして(そもそもどう香らせるか?)など、考えることはてんこ盛りです。方向性決定と同じくGetNavi webのアンケート調査で、アロマペンダントでどういったモノが求められるかも掘り下げました。
こちらの調査では、「デザインがシンプルで控えめなこと」にニーズが強いことや、ペンダントの長さに関しては50~60cmの「マチネタイプ」が求められてることや、素材においては真鍮や樹素材が人気であること、香りの傾向は比較的好みがばらけることなどがわかりました。
こうしたウェブアンケートによって一般的なユーザーニーズは図れましたが、では実際にどんな方向性にするかは企画者、メーカーの意思によって固めていかねばなりません。その最後の一押しを絞り込むのに、今度はプロフェッショナルの力が必要です。「仏具×香り」のコンセプト自体は新機軸であり、そのコンセプトそのもののプロフェッショナルはおそらく存在しませんが、香りとペンダント(=小物アクセサリー)の専門家は存在します。
そこで、アクセサリーの専門家である、⽂化服装学院ジュエリー専任講師の⼤⼯原睦先⽣と、アロマセラピストの豊島頌子先生の2名それぞれにご意見とコメントを頂きました。
お二人ともに大変親身にコンセプトを考えて頂いたのですが、それぞれ方向性を決定づけたアドバイスは以下です。
●大工原先生コメント
・アンティークジュエリーの中で、モーニング・ジュエリー(mourning jewelry)というものが存在した。モーニング (mourning)とは死に対する悲嘆、哀悼の意で、死者を悼む気持ちを素材やデザインで表現したジュエリーで、ビクトリア中期に夫アルバート公の喪に服したビクトリア女王を見習って流行した、というのが通説。そのため、本企画のコンセプトはジュエリーとしての本来の役割の一つとも合い、いろいろな方に受け入れられる発想であると思う
・ジュエリーアイテム、特にネックレスは基本的にトレンドにあまり左右されないもの。誰にでも似合い、さりげないおしゃれさと、上品さを与えられるような「シンプル&カジュアル」アイテムがニーズを集めている。特にペンダント・トップ、ペンダント・ヘッドと呼ばれる吊り下がり部分の付いた「ペンダント・タイプ」のネックレスが定番である
●豊島先生コメント
・作島様は京仏具の伝統を守り続けている、というところからも古来からの和を感じさせる上品な⾹りをベースに、「仏具×⾹り」の新しい提案を表現する、時代に合わせた軽やかな⾹りが合うと思われる
・仏具であるため、最終的な⾹りの仕上がりは、あまり華やか過ぎる⾹りよりも、「安らぎ」を感じる柔らかい⾹りがふさわしく、ユーザーのニーズにも応えるかと思います。ウッド系や、柑橘、ハーブ系の⾹りなどが、⽇常のアイテムとして取り⼊れる際に⼤切なポイントになる
お二人には上記コメントのみならず、ペンダントを作る際や香りを扱う上での注意点なども細かくアドバイス頂きました。他にも適した素材や、本コンセプトの意味合いに合わせた香りの考え方など、幅広くコメントを頂いています。
そうして、最終的に素材を「真鍮」「樹」と定めて、いくつかのデザインコンセプトへと絞り込んでいき、最後にデザインラフ案に起こしていきました。ここから最後の仕上げです。
使うユーザーをイメージしてデザインラフ案を仕上げ、デザインコンセプト決定
様々な調査とプロの知見を集合させて、いざ最後にラフ案を仕上げていきます。大工原先生に頂いたデザインコンセプト案をもとに、プロのイラストレーターに依頼し、イメージを具現化させていく。大工原先生と豊島先生のお二方に、香りの実現性を確認しつつ機構についてもブラッシュアップしていく(ここが大変だった…)。
本記事では、デザイン案の一部をお見せします。
これらのイメージは、最終的に以下のようにまとめて頂いています。
こちらのラフ案もなんと、下記の形で実現!
と、正直自分からするとイメージしたものを絵で提出させて頂いたまでで、以降は全て作島さんの熱意と長く仏具を作られてきた伝統ある技術があってこそ成しえたプロジェクトだと思っています。
あらためて、初めてのトライアルではありましたが、こうして年月をかけてついに世に出るところまで本プロジェクトがたどり着いたことが嬉しいです。また、今一度トレンド情報メディアに携わるものとして、この「香る遺骨ペンダント」に関してとても新しい切り口のプロダクトだと確信を持って言えます。
確かな調査とトレンド情報メディアの視点、そして何よりもプロの皆様の知見と技術を結集したこの製品は、新しくみなさまの生活に寄り添う仏具になるはずです。ご興味ある方はぜひMakuakeのプロジェクトページにて応援購入を!
プロジェクトページはこちら!