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2022/12/8 19:00

幸福学研究者が説く、脳の“勘違い”から幸せな感情を引き出す習慣

「幸福学」とは、幸福について研究する学問のこと。世界中で「幸せとはなにか」「人はどうしたら幸せになれるのか」など、「幸せ」に関する研究や実験が日々おこなわれています。つまり、科学的に証明された「幸せになれる方法」はたくさんあるのです。

 

幸福学の研究者、前野隆司さんと前野マドカさんのふたりが導き出した、日々の暮らしに取り入れられる「幸せになるための習慣」とは? 忙しい毎日に疲れてしまった人へ、ふたりの共著『そのままの私で幸せになれる習慣』から、お届けします。

 

【関連記事】「幸福学」研究者に聞く、幸せ格差が広がる時代のコミュニケーション術とは

 

習慣8.小さなことに声をあげて笑う

「ほほえめば幸せを感じ、怒鳴れば怒りを感じる」という研究結果があります。

 

一見、当たり前のことに思えるかもしれませんが、メカニズムが逆です。いま、ほほえみたいと考えていない人も、無理やりにでもほほえむ表情をつくれば、幸せを感じるという研究結果なのです。

 

つまり、表情や表現が、感情に影響するということ。ただし、その影響は10秒〜5分の短い時間に限定されます。

 

ところが、この短い時間のほほえみが、ポジティブな過去の出来事や言葉を思い出させるきっかけとなり、幸福感が持続されるということも、同じ研究でわかっています。

 

さらには、声をあげて笑えば、その効果は膨らみます。声をあげて笑うことで、体内の酸素摂取量が増え、脳から放出される幸福ホルモンのエンドルフィンが増加します。緊張がほぐれ、心拍数と血圧が低下することも科学的に証明されているのです。

 

友達と笑い合ったり、本や映画やネットサイトやテレビで、大笑いする時間が幸せなことは、皆さんもご存知のとおり。笑顔の場に身を置くことも幸せを感じる秘訣です。

 

もしも、少し気分が落ちている気がしたら、呼吸を整え、口角を上げて、ほほえんでみてください。ほほえむことで、脳が幸せと勘違いするともいえるでしょう。

 

人間の頭って、意外と単純。ほほえみや大笑いから幸せを感じ、そこから過去の幸せを思い出す。幸せのループが回り出すのです。

 

出典=R.L.アダムス『幸せな人たちが毎日欠かさない11の習慣』

 

科学が明かした「幸せ体質」になる50の習慣

●いつもと違う習慣で楽しみを見つける習慣
1. 小さなことに声をあげて笑う
2.少しだけ上を向いて、いつもより大股で歩く
3.きれいな植物やかわいい動物と触れ合う
4.一杯のお茶をじっくりと味わう
5.頭をからっぽにして、散歩やジョギングをする
6.スマホとテレビから少し離れてみる
7.お気に入りの音楽を聴く
8.7〜8時間の質のいい睡眠をとる
9.誰かのために小さな親切をする
10.自分のためよりも、人のためにお金を使ってみる
11.なんでもないことを「満喫」する
12.自分だけの“オリジナル作品”をつくってみる
13.あえて、いつもと違うことをしてみる
14.誰かと、またはひとりでハグをする
15.「やってみたかったこと」をやってみる
16.「最後のひと月」であるかのように過ごす

●人とのつながりで温かさを感じる習慣
17.会いたい人に連絡してみる
18.「ありがとう」を記録する
19.自分と違うタイプの友達を持つ
20.人のいいところをうわさする
21.なんでもいいからグループ活動に参加する
22.嫌いな人にうそでも同情してみる
23.周りの人を信じて「期待」する
24.悩んでいる友達の話を聞いてあげる
25.いつもの店員さんにひと言かけてみる
26.感謝している人に気持ちを込めた手紙を書く

●合格点を下げてラクになる習慣
27.小さくて、できそうな目標を立てる
28.「やらねばならないこと」をやめてみる
29.結果は気にせず、その過程を楽しむ
30.100%を目指さず、70%くらいでよしとする
31.迷ったときは「これでいっか」と妥協してみる
32.「没頭」できる仕事をする
33.こだわりすぎず「適度」にこなす
34.ネガティブなことをポジティブにとらえてみる

●自分の素直な気持ちを受け止める習慣
35.今日あった「いいこと」を3つ書き出す
36.ほほえんでしまうようなことを思い出す
37.「自分の持っているもの」を数える
38.子どもの頃にワクワクしたことを思い出す
39.人生のターニングポイントを振り返る
40.前向きにやろうと思うことを3つ挙げる
41.素直になれていないことを並べる
42.今日あった「いいこと」「悪いこと」を書き出す
43.わからないことは「わからない」と受け入れる
44.イライラ・もやもやしている自分を受け入れる
45.どんなに小さなことでも「夢」を3つ挙げる
46.いちばん大切にしている「価値」を探る
47.目の前の「やるべきこと」をはっきりさせる
48.自分にとって「最高の未来」をイメージする
49.楽しかった日々を再現して味わう
50.ポジティブな思い込みをする

 

全50の習慣は、こちらの本で網羅されています。

 

Book Info


『なんでもない毎日がちょっと好きになる そのままの私で幸せになれる習慣』(WAVE出版)

前野隆司さんと前野マドカさんの共著による最新作。「幸せになれる」と科学的に証明された方法の中から、日々の小さな習慣で「幸せ」を感じとれる、誰でも簡単に実行できる50の習慣を紹介しています。

 

プロフィール

慶應義塾大学大学院教授 / 前野隆司

1962年山口生まれ。1984年東工大卒。1986年東工大修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長を兼任する。著書に、『錯覚する脳』(筑摩書房)、『幸せのメカニズム―実践・幸福学入門』(講談社現代新書)、『幸せな職場の経営学』(小学館)など。妻である前野マドカさんとの共著も多数ある。

 

慶應義塾大学大学院研究員 / 前野マドカ

EVOL株式会社代表取締役CEO、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員、一般社団法人ウェルビーイングデザイン理事、国際ポジティブ心理学協会会員。サンフランシスコ大学、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て現職。著書に『月曜日が楽しくなる幸せスイッチ』(ヴォイス)、『家族の幸福度を上げる7つのピース』(青春出版社、2020年)などがある。