ライフスタイル
2024/8/28 21:30

2024年上半期に絶大ヒットを爆誕させたファミマ! 絶好調のワケを評論家に聞いた

今期、コンビニ業界で多数のヒットを放ったのがファミリーマートだ。なかには、発売から約1週間で完売した商品もある。なぜファミマは、こんなにもヒットを連発できたのか。その好調のワケをコンビニ評論家に聞いた。

※こちらは「GetNavi」2024年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が解説します!

コンビニ評論家 流通アナリスト

渡辺広明さん

流通アナリストとしてテレビの情報番組等で活躍。コンビニの店長やバイヤー、メーカーのマーケターなどを経験してきた。

 

ズバ抜けたサーチ能力と商品化力がヒットを量産

今年2月期には事業利益が過去最高を記録するなど、ファミリーマートが好調だ。渡辺さんはその躍進について、「ヒットの種を見つけるのがうまい」と話す。

 

「今期、江頭2:50さんのYouTubeチャンネルとコラボしたポテトチップスが即完しましたが、実はこれは同チャンネルを見ていない人にとっては知られざる商品。同社は、そういった局所的かつアツいファンがいる場所を見つけるのが上手な印象です。趣味や普段触れているメディアが細分化した、現代に合った手法ではありますが、着実に当てるのは容易くありません。サーチ力とそれを形にする力の高まりを感じます」

 

さらに渡辺さんは、レジ上のサイネージも優れていると語る。

 

「ほかのコンビニでも実験的に設置しているところはありますが、あそこまで大々的なのは同社だけ。駅で見かける小型サイネージは、その前に立っている人にしか見えませんが、同社のものは店内のどこにいても視界に入ります。店内で販売する商品の売り上げはテレビCM以上に売り上げに直結し、効果は抜群です」

 

もうひとつ見逃せないのが、2020年にマーケティングの最高責任者となった足立 光さんの存在だ。日本マクドナルドをV字回復させた人物で、入社以降、「クリスピーチキン」や「生コッペパン」など数々のヒット商品が誕生した。今期は、前述のポテチや『シャインマスカットボンボン』など限定品が話題だが、実は彼が掲げるのは定番品の強化。なかでも生コッペパンは、ただおいしいだけでなく、定番品に“懐かしいのに新しい”というギャップを持たせたことでヒットした。こういった“攻めの定番品”で、次なるホームランが生まれる日は近そうだ。

↑昨年11月に、東京・代々木で「ファミフェス」を開催。コンビニ業界初となるファッションショーとして、注目を集めた

 

↑今年の2月と4月に発売されるも、ともに1週間でほぼ完売した「エガちゃんねる」コラボのポテチ(187円)。“スリル”あふれる商品だった

 

ワンストップの品揃えを目指しながら新文化も創造

ここ数年、ファミマが目指してきたのは、そこだけで買い物が完結するワンストップの品揃えだ。

 

「レジ横商品、昨年刷新したOB、衣料品など、網羅性を高めています。日用品では、『挑戦価格』と題し値下げも実施。並行して、「FamilyMartVision」で商品情報を魅力的にお届けし、購買につなげています」(同社広報)

 

さらにユニークなのが、新しい文化の醸成にも意欲的なこと。「デザインや機能にこだわった文房具を、身近な場所で手に取ってもらいたい」とコンビニエンスウェア文具を展開し、「コンビニでお気に入りの文具を買う、揃える」という文化の定着を目指しているという。急な泊まりなど、間に合わせ需要が主だったコンビニ衣料品を、コンビニエンスウェアで「目的買い」商品へと昇華させた同社なだけに、期待せずにはいられない。

 

【その①】シャリとろの食感がウケ、発売1週間でほぼ完売!

ファミリーマート
シャインマスカットボンボン
239円 ●現在は販売終了

シャインマスカット味の甘いシロップを、砂糖の膜で包んだお菓子。関東エリア限定で発売され、有名インフルエンサーがSNSで取り上げたところ、発売1週間でほぼ完売に。砂糖のシャリッとした食感のあとに、とろりとしたシロップの甘味が口いっぱいに広がる。

 

【その②】全国販売を望む声を受け販路拡大した快適パンツ

ファミリーマート
コンビニエンスウェア ジョガーパンツ

2990円 ●現在は販売終了

麻布台ヒルズ店限定で発売されたのち、全国発売を望む声を受けて今春販路を拡大。撥水、UVカット、ストレッチが効いた高機能素材による抜群の履き心地と、ファッション性の高さでファッション好きの間でも話題になった。

 

↑昨年1.5か月でほぼ完売した「ショートパンツ」(1998円)が再登場。軽くてシワになりにくく、ストレッチ性に優れているのが魅力。今回新たにベージュが仲間入りした

 

↑洗濯機で洗えるUVカット機能付きのキャップ(1998円)も登場するなど、「コンビニエンスウェア」は、トータルコーディネートが可能なブランドに進化中だ

 

13日間で400万食突破し、「スイーツのファミマ」に進化

最高! プリンスイーツフェア

「スイーツのファミマ」を目指し、スイーツにも注力中。ふわしゅわ新食感でヒットし累計販売数が8000万食を超えた「スフレ・プリン」に続く進化系プリンとして、この春には「プリンサンド」「プリンタルト」が登場。発売後13日間で400万食(2商品の累計)を突破した。

プリンサンド

268円 ●現在は販売終了

 

プリンタルト

298円 ●現在は販売終了

 

老舗や有名ブランドと手をむすび発売1週間で計200万個が爆売れ!

コラボおむすび

2023年の春に発売し好評だった「日清焼そばU.F.O.」コラボを復活。さらに「日清のどん兵衛」とのコラボや、老舗のり店監修ののりを使った贅沢なおむすび企画も展開。コラボおむすびは、発売1週間で累計200万個が売れた。

U.F.O.

ぶっ濃い濃厚そばめし

160円 ●現在は販売終了

 

どん兵衛
天ぷらむすび

178円 ●現在は販売終了

 

文房具カテゴリーの売り上げが前年比120%に伸長

コンビニエンスウェア文具

ウェア同様、人気ブランド「ファセッタズム」のデザイナーの落合宏理さん、コクヨと共同開発。ファミマカラーの「カドがたくさんある消しゴム」など35品を展開し、文房具カテゴリーの売り上げを前年比120%に押し上げた。

キャンパス綴じノート

178円(A6)、228円(B5)

 

ゲルインクボールペン

198円

 

カドがたくさんある消しゴム

348円

 

フードロス削減だけじゃない!ファミマが取り組むSDGs

余剰食品を集めて配給する「フードドライブ活動」をいち早く実践するなど、ファミマはSDGsにも積極的。ほかにも、店員のサポートスキルを見える化したり、多様性への理解を推進したりと、その活動は多岐にわたる。

↑高齢者や聴覚・言語に障がいをもつ人が、買いたい商品や要望を伝えられるように指さし用のボードを導入。コンビニでは初の取り組みだ

 

↑←性の多様性やLGBTQ支援を意味するレインボーカラー(6色)を、ファミチキの袋などに採用。2021年度から、継続して取り組んでいる