「足立 紳 後ろ向きで進む」第53回
結婚22年。妻には殴られ罵られ、2人の子どもたちに翻弄され、他人の成功に嫉妬する日々──それでも、夫として父として男として生きていかねばならない!
『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞、『喜劇 愛妻物語』で東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。2023年のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本も担当。いま、監督・脚本家として大注目の足立 紳の哀しくもおかしい日常。
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8月1日(木)
朝から仕事。夕方、中野の陸蒸気で、上海国際映画祭でお世話になった徐さん、顧さん、映画学校の同期で顧さんと同じコースだった石田と一献。なんと顧さんと石田と私は日本映画学校の同期でもある。顧さんと上海映画祭で出会ったときにそれが分かった。顧さんと石田は卒業以来30年近く振りの再会で話がはずみ楽しかったが、私は遅れている台本を書かねばならないので後ろ髪を引かれながら21時過ぎには退散した。石田に「ほんとに足立は自分が好きだなァ」とニヤニヤしながら言われたので、ニヤニヤしておいた。
8月2日(金)
朝からひたすらに台本書き。学校の研修旅行のようなものでオーストラリアに行っている娘からホストファミリーの大豪邸写真が何枚も送られてくる。ホストファミリー家には5~12歳の子どもが3人いるにもかかわらず、日本から3人の高校生を受け入れて、1人1部屋与えてくれたらしい。ホテルのスイートルームのように広くて豪勢な部屋だ。正直私も行きたい。
いつもクーラーをつけて裸で寝ている息子が夏風邪をひいた。
8月3日(土)
午前中に台本を書いて、午後から別府短編映画の編集最終日。ようやくピクチャーロック。104分の普通の尺の映画になってしまったが、それを受け入れてくださった別府短編映画プロジェクトの皆さまには感謝しかない。ありがとうございます! しかしすぐに仕上げというわけにもならず、11月まで仕上げは持ち越しだ。
夜、映画学校同期の前嶌と、前嶌とよく仕事をされているドキュメンタリーの監督Uさんが来られて家で飲んだ。
風邪をひいた息子はひたすらに具合が悪そう。来週は毎年楽しみにしている塾のキャンプだというのに……。
8月4日(日)
昼過ぎ、ようやく台本の初稿を殴り書き上げて皆さんに送る。夜、妻の実家に息子を預け、『拾われた男』の井上剛監督夫妻と原作者の松尾諭さん夫妻と飯を食う。
良い作品作りができたらお付き合いが細々とでも長くなるのでうれしい。お2人ともとてもワクワクすることをされているようで羨ましい。私もワクワクすることを作り出さねばならない……。
祖母から息子が具合悪そうとLINEが来る。嘔吐と下痢が激しいとのこと。キャンプをめちゃくちゃ楽しみにしていたのに行けるのだろうか……。
8月5日(月)
息子、妻の実家から10時帰宅。まだ具合は悪そうだが、明日からのキャンプに行きたい一心で気合いで寝ている。嘔吐は止まったし、もともと熱はないので何とか行けるような気はするのだが……。ヤクルトを4本も飲んだ。
娘からは、数日間だけ通うオーストラリアの高校の様子がLINEでばんばん送られてきて、こちらは楽しそう。
※妻より
何も食べてないのに吐き気があり、熱はないが寝ているだけでも辛そう。ひたすら背中をさする。具合が悪いと静かでかわいそうになる。元気だとうるさくてげんなりするのに。
8月6日(火)
息子、気持ち良く目覚めてまた起き抜けにヤクルトを4本飲んで「俺、行ける!」とのことなので、キャンプの待ち合わせ場所に送る。数日間寝込んでいたせいもあるのか、かなりのはしゃっぎぷりを見せている……。皆に「俺ずっと吐いてて何も食べてない!」とバカでかい声で報告している。先生に体調を説明し見送る。楽しんで来てほしい。
息子を送ったその足で妻と渋谷に行き『マミー』(監督:二村真弘)鑑賞。久しぶりの映画なのでもう1本観たかったが、その後に9月に撮影するドラマのオーディションがあるので、私はそちらに向かい、妻はもう一本見ると言ってどこかに消えた。
※妻より
『墓泥棒と失われた女神』(監督:アリーチェ・ロルバケル)、面白かったです!
8月7日(水)
朝から新宿にて『密輸1970』(監督:リュ・スンワン)を観て、そのままシネマートで『コンセント/同意』(監督:バネッサ・フィロ)。感想で妻とケンカになりそうになったがすんでのところでとどまった。
娘も息子もいないので、夜は久しぶりに練馬の江戸銀というお店で寿司を食った。ここは値段も手ごろでめちゃくちゃ美味しいのでおすすめです。が、食べ終わると外は雷雨。
8月8日(木)
朝8時半、新宿で『メイ・ディセンバー ゆれる真実』(監督:トッド・ヘインズ)鑑賞。昨日と男女が入れ替わった関係性。またもや妻と口論になりながら歌舞伎町で韓国料理のホルモン鍋などを食べる。
すると、娘からLINE。本日の夜に飛行機に乗る予定なのだが、現地校での体育の授業中、ほつれた靴ひもを踏んで足を激しくひねり、右足首(中1の時に陸上のハードルでケガしてから癖になっている)が腫れあがったとのこと。今から空港行くが骨折していたら飛行機のれないかも!と泣いている。引率の教師の方に変わると、とりあえずフライトまでの時間がないから空港の医務室へむかうとのこと。
もし、飛行機に乗れなかったら、親が迎えに行くのだろうか……。みんなの前でやらかして落ち込んでいやしないか、それにしてもこの出来事はあまりにも我が娘っぽい……など、いろんなことを考えて悶々としてシナリオ作家協会の講座へ向かう。そして、今晩は息子もキャンプから戻って来る。
講座が終わりスマホを確認すると妻からLINE。娘、とりあえず飛行機には乗れたとのこと。よかった。
家に帰ると、妻が居間で爆睡しており、息子はゲームをしていた。「ママは酔っぱらって寝た」とのこと。キャンプ帰りのママ友とうちで飲んでいたらしい。
8月9日(金)
朝5時、妻は娘を迎えに空港へ行き、灼熱の中、片足を引きずる娘を抱きかかえて、空港から直接整形外科に向かうとのこと。私は午前中から打合わせが入っており行けなかった。
昼過ぎ、妻からLINE。靭帯が切れてはいたが、断裂ではなく、数日間固定していれば歩けるようにはなる。娘は動けないので、シャワーもトイレも妻に手伝ってもらいつつ、相変らず不機嫌。
ケガした上に空港へのバスに乗る間際にパスポートまでなくしたと大騒ぎになって(娘は歩けないので、行った場所を皆に伝え、学校中の生徒、先生とで探して頂き、パスポートは無事見つかった)、ホストファミリー家の小学生2年生の男の子に抱きしめられて「大丈夫だよ」と励ましてもらって号泣してしまったらしい。私の人生終わったでしょと言っていたとのこと。
にしても小2の男の子に抱きしめられて、ギャーギャー泣いているその光景が目に浮かびすぎる……。
そして夕方、私が急遽、鳥取から東京に戻る日時を変更したい(明後日、鳥取に帰るのだが早く東京に戻らなければならなくなった)と連絡したため、妻はすでに買っていた新幹線の切符変更で自転車をかっ飛ばして中野駅のみどりの窓口へ(今日しか動けない日だったらしい)。
19時ジャストに着いたらしいが、はぁはぁしている妻の目の前で締め切られたとのこと。スマホの時間をみせて、今1900ですよね? と言ったが、取り合ってもらえず、仕方がないから新宿のみどりの窓口にむかったら物凄い長蛇の列だったらしく22時ごろ、結局汗まみれで顔を真っ赤にして帰ってきたので寝たふりをした。
※妻より
大変長い一日でした……。
8月10日(日)
今日は妻外出のため、前から予約していた中学体験に早朝から息子を連れて行く。朝からお腹が痛いと言って行きたがらなかったのをなんとか連れていったのだが、体験授業が始まるなりトイレに行くと言って教室を出て行った。
私はトイレの前でイライライライラしながら待つ。たっぷり10分ちょっと息子はトイレに入ってニコニコして出てきた。
授業に復帰できるかな? と不安だったが、詩を作ってみようという授業で息子はたぶんいちばん最初に書き上げた。自分の子どものころを思い出すと、早いときはいいかげんなのではないかと思ってしまうのだが、息子は短いながらもとてもカワイイ詩を書いていてすごいなと思った。
昼食を食べたあとは説明会と親子面談。2人でクタクタになったが、私は息子を練馬でおろすとそのまま銀座に行って脚本会議になだれこむ。終電過ぎても終わらず久しぶりにタクシーで帰宅。
骨の髄まで疲れた1日だったが、明日は朝6時半に息子と家を出て鳥取に戻る。飛行機がとれずに久しぶりの新幹線だ。考えただけで疲れが倍増した。
8月11日(日)
朝6時半にぐずる息子と家を出て鳥取に向かう。妻と娘は妻の仕事の関係で4時間後の新幹線だ。私は夕方から同窓会があるので余裕を持って鳥取に着きたいのでこの時間に家を出た。
ところが、地震の影響で新幹線が遅れ、姫路で予約していた「スーパーはくと」に乗れなくなってしまった。みどりの窓口に並ぶも、次の「はくと」も完売でその次になってしまった。つまり妻と娘の乗る列車と同じになってしまったのだ。4時間も姫路で時間を潰さねばならない。姫路城にでも行ってみようかと思ったが地獄のように暑いので駅近くのマンガ喫茶に入る。息子は大喜び。私は仕事をしたりスマホで大社高校vs報徳学園を見ていた。
そして妻と娘と合流して「スーパーはくと」に乗って倉吉についたら父親が迎えに来てくれていたが、私はその足で同窓会へ。高校を卒業して以来会う人たちもいてとても楽しい時間だった。
8月12(月)
今日は倉吉市の市民ホールで『雑魚どもよ、大志を抱け!』の上映があるため、9時半に家を出る。同級生のI君とH君が企画してくれた。彼らは脚本を書いた『百円の恋』や『モンゴル野球青春記』などの上映も企画してくれていた。
今回の上映会には300人くらいのお客さんが来てくださってとても有難かった。上映後、同級生I君の司会で、プロデューサーでもある妻と登壇。広田市長ともトークをさせて頂いた。
その後、お手伝いをしてくれた中学や高校時代の友人たちと打ち上げ。私よりも妻のほうが同級生たちとしゃべっていた。そして私の同級生とともに妻だけが二次会に行き、私は疲れきっていたので帰宅した。
※妻より
Iさんの息子と友達に、『春よ来い、マジで来い』の販売を手伝っていただき、大変ありがたかったです。
打ち上げの二次会で地元の場末感満載スナックに連れて行って頂きました。皆さまお話が面白すぎてついつい飲み過ぎてしまいました。翌日、自分が余りに酒臭くて、辟易しました。
8月13日(火)
早朝仕事。朝食後、今日は朝から妻、娘、息子、I君の息子で私の息子と同級生の子を連れて東郷湖にある温浴施設へいき死ぬほどくつろぐ。
15時I君に迎えに来てもらい、私はI君のワーキングスペースを借りて再び仕事。妻と娘はI夫妻とBBQの買い出し&準備へ。18時からもう1家族集まってI君の家の庭でBBQ。高校生から小学生まで子どもたち6人は数年ぶりに会うのに、瞬く間にコミュニケションが取れている。BBQ後、真っ暗な田んぼの中で肝試ししていた。息子は昨日に続き、I君の家に泊まった。
8月14日(水)
レンタカーを借りて、妻の(数年ぶりの)運転で倉吉散策へ(※超、緊張しましたが大丈夫でした! by.妻)まずは三徳山投げ入れ堂。かなり恐怖の壁面に久し振りに登るつもりだったが娘がスカートなのでダメとのこと(実際はキュロット型になっているし中にスパッツも履いていたが、それでもNGだった。男子は短パンでも毛むくじゃらでもOKなのに……)
靱帯損傷からだいぶ復活していた娘、大変悔しがる。悔し紛れに三徳山で食べた高級ふわりかき氷が美味しかった。かき氷を食べている間も、外国から来たと思われるスカート姿の旅行客がガンガン歩いている。あの人たちみんな受付で帰されるんだなーと思うと気の毒だ。タイの寺院でも似たようなことがあったが(確か露出の多い服は入場禁止)、タイでは無料で布を配ってくれていた。三徳山もそんな風にやればいいのに。
※妻より
ほんと、そう思います。せっかくあんな山奥まで来た人たちを“スカートを履いている”って理由だけでわざわざ帰すのはもったいないです。凄い建物ですし。
その後は関金温泉の温浴施設に行くことにした。ここは食堂もあるし、温泉も多いし、無料休憩所もあるし良かった。休憩所で息子と将棋をしたら、睡魔が襲ってきて爆睡。極寒冷房の中、身体を縮めて、ひたすら仮眠。
スーパーで買い出しして、地元では美味しいと噂の回転寿司屋さんでお寿司を受け取り、実家で晩餐。
8月15日(木)
朝ご飯を食べてから倉吉駅へ。11時40分倉吉発、姫路乗換、17時21分代々木着。娘、息子がお腹が空いたとのことで、昔、代々木駅でちょいちょい行っていた中華屋に入ろうとしたらなくなっていた。そのうち娘と息子が何を食べるかで小競り合いが始まり、ジャンケンで決めさせて息子が勝ってナポリタン専門店で夕食。意味もなくドカ食いしてしまった。
8月16日(金)
なにやらものすごい台風が来ていると大騒ぎしていた割にはまったくたいしたことがなかった。一日中仕事。
8月17日(土)
※今、夫が連ドラの撮影準備に入っており、物凄いバタバタなので今日から私(妻)が代わりに書きます。たまに夫も出てくるかもしれません。
夫は朝からワークショップ。9月中旬から夫が脚本&監督で撮影に入るのですが、メインロケ地が我が家になったと先日決まったようで(夫が我が家で撮りたいと言い出した。自主映画かっ!)、慌てて仮住まいを見つけるべく、奔走しました。プロデューサーの方々が近所の物件を見つけてくれたので、灼熱地獄の中自転車で5か所内見に。頭が働かなくて、帽子もかぶらず、ノースリーブで回ったため、脳天は禿げそうに暑いし、二の腕はカンカンに赤くなってしまいました。
3か月の限定貸しということでかなり個性的な物件が多く、水道周りの空気が淀んでいたり、畳やじゅうたん張りの床が歩くと凹んだり……。湿気に弱い私は「ううむ……」と悩んでいたのですが、最後の5件目のお家が比較的新しく、湿り気も70%くらいだったので、そこに決めました。
家で撮りたいと言い出した夫のせいで今のバタバタに輪をかけたバタバタな日々が始まりそうな予感がします……。ロクでもない予感です。
8月18日(日)
夫は本日も朝からFさんのワークショップ。昨日頂いた塩水漬けにした梨がおいしかったとご機嫌で出発。娘は朝から自分の部屋で映画なのかドラマなのかをずっと見ている。毎夏恒例の配信見続け引きこもり状態。
10時から息子レンタル先生。普段は気のいい子なのですが、勉強をしなくちゃいけなくなると何かが憑依したように人格が変わり、エクソシストの子どものようになります。
公立の中学校に入ったら、皆と同じリズムで、同じように勉強に向き合わねばいけないのはかなり苦しむと思われ(あんなにユルい小学校でさえ、彼にとっては辛い場所になっているので)、そのためにも自由度の高い、皆と一緒にやることを強く求められない学校に進学したいのですが、そのためには大嫌いな勉強に向き合わねばいけないという……。難しいです。
レンタル先生が終わった後、予約していた初めて行くフリースクールの体験会へ。今、体験しまくっている中学校にご縁がなくて、近所の公立中学に行くことになった時、学校が合わなくても逃げられる先があるのであれば、息子も少しは不安を感じないかもしれないと思いまして。
体験会に来たのは我々1組だったため、息子は在校生と先生と理科の実験の授業をして、その間私は2人の先生と面談しました。集団生活に馴染みにくい発達に特性を持った子に理解がある先生方だな、という印象を受けました。息子は1歳年上の在学生とゲームの話をしたり学校の様子を聞いたりして「部活にゲーム部とかeスポーツ部があるんだって! 毎日5時間で終わるんだって!」と興奮(小学校でもほぼ6時間授業です)。
帰り、池袋のドン・キホーテに寄りました。息子の好きなYouTuberが食べている韓国の辛ラーメンやブルダックやタバスコやデスソースなど辛い系をたくさん買って帰宅。暑いのと、人込みが大嫌いな私はクタクタでしたが、息子がフリースク-ルという道があると知れて元気になっていたので行ってよかったと思います。
灼熱の1日の終わりにYouTuberを真似して動画を撮りながら、娘と息子と辛い韓国ラーメンを食べて、汗を沢山かいて風呂につかりました。
夜、ネットで引っ越し業者さんへの手配事務作業。冷蔵庫、洗濯機は置いてはいくものの、テーブル、椅子、ベットやテレビや子どもの学校道具一式、その他ごみと思われるガラクタ(でも、夫は絶対に捨てないで!と言い張る品々)の運送費を確認し、8月後半で予約が取れるかを確認。
それと共に、仮住まいでレンタルする洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどの手配している最中に気絶。夫が家で撮影したいと言い出したもんだから、あー、大変だ大変だ。
8月19日(月)
夫は朝から仕事で喫茶店。でも、多分どっかで高校野球を見ているに違いありません。娘、バイト。息子、漫画三昧。
午後から9月撮影の美術部打合せのため、また家の片付け。美術の方が家の中を見つつ「なるほどねえ、なるほどねえーー」と繰り返し言っていた口癖が妙に面白かったです。こんなゴミ屋敷をロケ地にして、片付けるのが大変ではないんだろうか……。
8月20日(火)
夫、午前中仕事。午後は打合せ。娘、バイト。息子、友達と遊べなくて大変退屈そう。自宅にある漫画を何周かしているようで、テレビ、ゲームの時間が終ると、途端に息子はどう過ごしてよいか分からず執拗に絡んできます。
私は仕事が全然終わっていませんが、息子があまりに時間を持て余しているのが気の毒で、パソコンを持って、息子と漫画喫茶へ。息子は寝っ転がりながらマンガをかなり早いペースで貪り読んでいます。私はその横で猛烈に仕事。漫画喫茶は静かだし、薄暗いし、なんか仕事が捗った気がしました。気のせいかもしれませんが。
8月23日(金)
夫、朝から仕事とか言って出て行きましたが、どこかで甲子園を見ているに違いありません。今日は決勝だし。娘、バイト。息子、行きつけのブックオフに買い物&立ち読みしてくるとのこと。暑さに弱い息子が自ら家を出ることに喜んで追い出し(昨日の漫画喫茶のお蔭かもしれません)、私もひたすら仕事。
午後から田端の映画館CINEMA Chupki TABATAで『リッチランド』(監督:アイリーン・ルスティック)と『PLAY!~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』(監督:古厩智之)鑑賞。eスポーツという物を全然知らなかったのですが、娘も息子も興味を示していたので、勉強のために見ました。
なるほどこれは面白いし、身体の大きさや筋力、持久力や経済力も関係ないし、なんだかうちの子ども達でも楽しめるな、これが部活にあったら楽しいだろうな、などと好感を持ちました。劇場で去年お世話になった方と偶然再会。立ち話をしてから、表参道に向かい、一件打合せ。
19時、別府ブルーバード劇場の森田真帆さんと大樹さんに誘われた、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんの単独ライブへ。
外苑前の料理屋さんでお酒を飲みながら、お弁当を食べながら、生のスタンドアップコメディは大変面白かったです。放送できない話ばかりで笑えました。
ライブに付き合ってくれた大学の映画研究部友達のガメラと、ガメラの夫と、森田さんと大樹くんと外苑前の北海道居酒屋で打ち上げ。森田さんは大学の映画研究部の後輩で、ガメラとも共通の友達がいたので懐かしい名前が出て楽しかったです。
8月24日(土)
夫、ドラマの主役のお2人と本読み。場所は我が家とのことで朝から大掃除。大掃除したところで、床などはきれいになるが、物は捨てられないのでゴミ屋敷なのは変わりません。
夫も結構緊張している様子で、ファブリーズを部屋中に振りまいています。親が慌ただしくしているなか、娘はマイペースでバイトへ。バイトは楽しいらしいです。私は息子と8時に家を出発。今日は電車で1時間半ほどかかる中学校へ学校見学。
大変暑いし、朝も早いし息子は動けないかもな……と思っていましたが、家に居てもお客さんが大勢来ると分かったからか、今日はギリギリにのそりのそりと動けました。しかし食欲がないとのことで飲まず食わず。
本日行った学校は校則はほとんどなく、決めねばならぬことができたときは生徒と先生が話し合って決めるとのこと。子どもがとても生き生きとしていて好感を持ちましたが、個人面談で話した先生に「この学校は書く授業が多いです。もちろん入試も書かせます。作文が苦手だと難しいかも」と言われ凹む。息子は字を書くのがとても苦手なのです……。
本当にクソ暑い炎天下、バス停で20分ほどバスを待ち、最寄り駅に向かいます。あまりの暑さと空腹に倒れそうになりながら、駅前で一番最初に目に入ったサイゼリヤに入店。
朝からの遠出と暑さと緊張と空腹に疲れ、息子はパスタ&
帰り、息子から珍しくお買い物しようと言うので(
8月25日(日)
夫、大阪心斎橋大学で講義のため8時半ごろ出発。娘、バイト。息子は保育園友達とそのママたちと池袋ナンジャタウンへ向かいました。
私は明日引っ越しのため、本日不動産屋さんから鍵を受け取り、仮住まいのガスの開栓の立会いへ。諸々終わると、その足で息子とママ友がいる池袋のナンジャタウンへ。本日も猛暑、汗だく。ナンジャタウンは涼しいし、ビールも飲めるから少しゆっくりできてよかったです。夜になるとゾンビやおばけがウロウロするらしいので、今度はその時間に行ってみたいと思いました。
池袋の人の多さに酔い、なんか疲れた身体に酒が染みてヘトヘトで帰宅。子ども達に飯を作って風呂入ってすぐにでも寝たかったのですが、明日が引っ越しなのに全然片付けられていないので、重い体を持ち上げて、焼酎片手にとりあえず、すぐに使うものを段ボールにボンボン詰める。そして案の定、途中で気絶。
8月26日(月)
夫、朝から仕事。午後打合せ。娘は友達と映画に行き、息子は暑さに負けて動けず、冷房部屋で漫画タイム。
私は引っ越し業者さんが12時ごろ来るとのことでとりあえず、ベットやダイニング机を解体し、布団などをまとめます。物の多さと埃とカビと、そしてなによりもあまりの暑さに弱りながら、どうにか引っ越しの荷造りが完了。そして、やはりというか身体の使い方が悪かったのか腰を痛めてしまいました。これからもっと作業が発生するのに……と焦りつつ、汗だくの身体に湿布を張る。
夕方色々片付けてから、18時過ぎに息子の習い事のお迎えにスポーツセンターへ。その後、センター内のプールに入るのが毎週月曜日の流れですが、今日はお迎えに行くとスポーツセンターの受付の人と息子が一緒に居り、息子の顔が強張っています。
話を聞くと「
私が遅れたのは5分ほど……。施設の外は灼熱地獄だし、
ソファーに座って長時間ゲームしていた訳でもなく、
プール中、息子が「嫌な言われ方をして悲しかった」と話す。
8月28日(水)
夫、朝から仕事。午後、シナリオ作家協会にて脚本家の高田亮さんとの対談とのことで、緊張して出かけて行きました。私は高田亮さんのファンなので対談にこっそりついて行きたかったのですが、仮住まいに洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなどの搬入立ち合いをしなければならなかったので行けませんでした。
レンタル家具が届いてから、引っ越しでは運べなかったこまごまとしたもの(仕事道具とか洋服とか)を自転車で5往復。自転車で8分ほどの距離なのですが、余りの暑さに心身共にダメージがデカくて、頭がまとまらなくて、何を運ぶべきなのか、今一番重要なのものが何かが分からなくなりました。挙句、全く必要ないものを運び、最も重要なものを忘れました。もう脳が溶けていると思います。
8月30日(金)
朝から片付け。仕事が全然終わらなくて、頭の中がパニックになっております。仮住まいは古い家なので、お風呂の排水がかなり遅く、毎回水たまりになるので、どうにか策を練りたいと思います。
歩くと凹む寝室の畳にはすのこを引いて、しのぎました。そんなことをしていると、息子が保育園友達の家にお泊りに行く時間になったので、近所まで送りました。いま、自分がかなりキャパオーバーのため、息子の相手が全然できないので、一晩預かってくれるだけで本当に助かります。
やるべきことは山ほどあるのですが、息子がいないのでレイトショーを観に行けるということに気づき、見逃していた『99%、いつも曇り』(監督:瑚海みどり)を観に、テアトル新宿に行きました。発達特性のあるあるが沢山描かれていて、近い人がいる私は「そうそう、それそれ」と楽しめました。主人公の夫のようなよき理解者が、娘にも息子にも見つかるといいな、と祈りながら観ました。
8月31日(土)
夫、午前中本読み。その後、打合せ。
娘、台風で9月2日の始業式がなくなりますように、と朝からずっと言いながら配信ドラマ三昧。この夏休みでかなりの連ドラを網羅したよう。日本では野木亜紀子さんと堤幸彦さんのドラマが好きとのこと。父親の作品にはあまり興味はなさそうです。
夕方、友人宅から息子、元気に帰宅。帰るなり、「台風で始業式が休みになりますように」と娘と同じことを言っています。
夜はなんだか熱くて辛い物が食べたくて、大量のスンドゥブを作って、3人で食しました。またもやYouTubeごっこをしながら。
【妻の1枚】
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【プロフィール】
足立 紳(あだち・しん)
1972年鳥取県生まれ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書き始め、第1回「松田優作賞」受賞作『百円の恋』が2014年映画化される。同作にて、第17回シナリオ作家協会「菊島隆三賞」、第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。ほか脚本担当作品として第38回創作テレビドラマ大賞受賞作品『佐知とマユ』(第4回「市川森一脚本賞」受賞)『嘘八百』『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』『こどもしょくどう』など多数。『14の夜』で映画監督デビューも果たす。監督、原作、脚本を手がける『喜劇 愛妻物語』が東京国際映画祭最優秀脚本賞。最新作は『雑魚どもよ、大志を抱け!』。著書に『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』などがある。最新刊は『春よ来い、マジで来い』(双葉社・刊)。