アウトドアやキャンプめしなどに人気が集まっている昨今。どこか社会に閉塞感がただようなか、開放的なふれあいが求められている証拠だといえるでしょう。今回紹介するのは、そんな体験を応援する人気ブランド、スノーピークが提供している独創的な宿泊体験ツアー「LOCAL FOOD TOURISM」。

こちらは全国の伝統文化や食、モノづくりに触れ、追体験することでその魅力や産業を未来へ継承していく「LOCAL TOURISM」の、食を軸とした体験型イベントです。筆者が参加したのは、2020年の夏に開業した新施設Snow Peak LAND STATION HAKUBAで行われた2回目の催し。見どころを抜粋してレポートしていきます。
キャンプ初心者でも経験者でも楽しめる仕掛けが満載
Snow Peak LAND STATION HAKUBAは、白馬駅から徒歩10分程度。建物は隈研吾さんが設計した個性あふれる施設となっていて、スノーピークの直営店とレストランのほかにスターバックスコーヒーも併設。アウトドアファンはもちろん、地元住民の憩いの場ともなっています。

今回のツアーは施設目の前の広場が会場で、開会式とトークセッションからスタート。ウェルカムドリンクとスイーツ(この日は焼きいも)が心に染みます。

概要説明やスタッフさんの紹介などがあり、その後はスタッフさんの協力を得ながらテント設営へ。

偶然にも、筆者が持っているテントはまさにこの「アメニティドームL」。とはいえポールを伸ばす順番など初耳のこともあり、教えてもらうとためになることばかり。キャンプ初心者でも経験者でも、この設営は勉強になるはずです。

次はアウトドアクッキング体験。自社レストラン「Restaurant 雪峰」の西本シェフに田舎風パンの作り方を教えてもらい、生地を捏ねたあとはスタッフが焚火で焼いてくれました。

実際に粉、水、酵母を混ぜて捏ねたら、温かくしたシェルター内で発酵させます。そうしているうちにあっという間に陽が暮れ、十分に生地がふくらんだら「コロダッチオーバル」(販売価格は1万2430円)というスノーピークのダッチオーブンで野外調理。


とはいえ夕食が控えているので、ここでの完食はガマン。次は施設に隣接している「みみずくの湯」で入浴。こちらの料金は別途となりますが、大人650円の良心価格で入れます。空気はかなり冷えているものの、「白馬八方温泉」の効果で身体の芯までポカポカに。

風呂を出たあとはツアーの目玉のひとつ、夕食の時間。「信州食材を使用した、暮れの秋特別コース」ということで、地元の恵みをふんだんに使ったご馳走の数々が登場します。

家でも店でも味わえない、野外メシならではのおいしさ
ジャンルは和洋折衷で、すべてスタッフが調理してサーブもしてくれます。コースは3品の料理にデザートとパン3種が付く内容で、ボリューム満点でした。飲み物はビール、日本酒、ウイスキー、ワイン、ソフトドリンクなどが飲み放題で、ホットも充実。


この料理は「スノーピークグローストーブ」(販売価格は5万4780円)と「コンボダッチデュオ」(販売価格は2万6180円)の一部で蒸し焼きにして、皿にのせたら和風だしのあんをかけて完成。フルーティで甘味と酸がほどよくのった、久保田の酒がマッチします。

2品目は、より自然の恵みをダイレクトに味わう料理。「白馬産ニンニクのバーニャカウダ 朴葉の香り」です。採れたての信州野菜を、朴葉の上で焼いたバーニャカウダソースに付けていただきました。

3品目はメインにあたる肉料理「信州牛 頬肉の赤ワイン煮込み」です。ぶどうの名産地でもある信州産の赤ワインで肉をじっくり煮込み、仕上げに地元のじゃがいもを加えたもの。お皿に盛り付けて完成です。

デザートは、「さとうカボチャのプリン リンゴのフランベとチョコソース」。西本シェフが調理シーンから披露してくれました。


大満足の夕食のあとは、場所を移して焚火をしながら食にまつわるトークセッション。先ほど味わった信州サーモンなどの水産業に携わる関 淳さんと、水稲を中心に農業を営む大谷敏也さんが登壇し、スノーピークスタッフとともに地元の食にまつわる話を聞かせてくれました。

そして会場はそのまま焚火ラウンジへ。暖かく照らす炎の明かりと、神々しくそびえる北アルプスの山々。それを見守るハーヴェストムーンと星の数々。かじかむ手を温めてくれるのはホットコーヒーとホットワイン。そして五臓六腑に染み渡る、森が育んだウイスキー。至福のロケーションです。1日目の終了後、ぐっすり眠れたのは言うまでもありません。
本来だれもがもっている人間性の回復がここにある
朝は霜が降りる寒さでしたが、完璧な寝具のおかげでぬくぬく。2日目は、トークセッションで登壇した大谷敏也さんの指導のもと、新米の脱穀体験からスタートです。

脱穀はコツをつかめばどんどん取れていって面白いものの、量が多いとなかなか大変。家庭用に自家栽培している人はいまでも足踏み式を使っているとのことですが、稲を育てて収穫、脱穀、精米、炊飯という作業を経てはじめて食べられるということを改めて実感しました。

脱穀体験の間、調理スタッフは朝ごはんの準備をしてくれていました。脱穀体験の終了後はこれらを堪能。動いたあとに味わうごはんは格別のおいしさです。

朝食のあとはテントや寝具の片付けへ。結露でテントが濡れていたため干して乾燥させてから収納しました。そしてフリータイム。参加者特典として、11時にオープンする前のSnow Peak LAND STATION HAKUBAストアで、10時からショッピングさせてもらいました。アイテムのなかには限定品やセール品もあり、見どころは盛りだくさん。


そして昼食。まずはコンソメで仕立てた大根と人参のポトフから。メインは信州牛を使ったミートソースのラザニア。この日は前日がハロウィンだったため、カボチャをメインに、なすとチーズもたっぷり入ったボリューミーな内容でした。


昼食のあとはイベントのラストを飾る閉会式。そして記念撮影を経て解散となりました。改めて実感したのは、「人生に、野遊びを。」をコンセプトに「人間性の回復」を提案するスノーピークの愛とまごころ。普通のキャンプよりも手軽で贅沢ながら、グランピングほどかしこまってはいない。いい意味でのフレンドリー感、ヒューマニズムがそこにありました。
スタッフさんがほどよい距離感で接してくれる身近さも、大きな魅力です。次回は2021年を予定とのことですが、密を避けた開放的なふれあいを欲している人はぜひサイトをチェックのうえ応募してみてください。想像以上に「人間性の回復」ができますよ。

【SHOP DATA】
Snow Peak LAND STATION HAKUBA
住所:長野県北安曇郡白馬村大字北城5497
アクセス:JR大糸線「白馬駅」徒歩約10分
営業時間:施設による
定休日:水曜 ※定休日・営業時間はイベント等の開催により変更される場合があります。
【LOCAL TOURISM URL】
https://www.snowpeak.co.jp/experience/localtourism/
【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】