真空断熱構造のステンレスボトルで有名なサーモスが、発売されたばかりの「サーモス アウトドアシリーズ」の性能や活用方法を紹介する「サーモスアウトドアシリーズ新製品体験会」が開催されました。サーモスといえば、ケータイマグ、スープジャーや保温調理鍋など、日常で使用する魔法びん用品で知られていますが、通称「山専ボトル」などアウトドア向けアイテムも多くのユーザーに愛されています。
キャンプなどのアウトドアでは、料理や飲み物などをどのように充実させるかが課題のひとつ。その点、「サーモス アウトドアシリーズ」がどのように活用されるのか? キャンプや登山などをよく行う立場からじっくりとチェックしたいと思い、一泊二日の体験会に参加してきました。
爽やかな高原の空気のなか、実際にサーモスのアウトドア製品を使う体験会
会場となったのは、山梨県にある「小田急山中湖フォレストコテージ」。都内は汗ばむほどの暖かい日でしたが、会場に着いた際に感じた空気は、涼しく爽やかな高原のものでした。
設備の充実したコテージやBBQ場のほかに、テントを張れるスペースもあり、テントスペースの近くの湖畔からは、山中湖と富士山を臨むことができます。参加者は、コテージかテント泊かを選べたので、筆者はせっかくなのでテント泊を選択。ゆるキャン気分を楽しむことにしました。
体験会では、クラブサーモス「T’sコラム」の執筆陣でもあり、アウトドアプロデューサーの長谷部雅一氏によるサーモス製品を使用したデモンストレーションや、Day Drip Coffeeの黒田悟志氏による美味しいコーヒーを入れるドリップ講座などが行われました。
ひと工夫が施されたボトルの新製品をチェック!
まず、最初にサーモスの製品担当者より今回のサーモス アウトドアシリーズの紹介が行われました。
サーモスといえば、雪山でも一日中お湯が冷めないという保温力の「山専ボトル」(上写真)が登山愛好家に人気なアウトドアの定番アイテムです。そのほかのサーモス製品も真空断熱構造の高い保温・保冷力を持っており、アウトドアシーンで使用するユーザーが多かったため、今回、よりアウトドアシーンに適した新製品として、サーモス アウトドアシリーズが発売されたのです。
まず紹介されたのは、真空断熱タンブラーを始めとするステンレスボトルシリーズです。「サーモス 真空断熱タンブラー ROD-001」(上写真・3240円※公式オンラインストア価格・税込 以下同)は、470mlの容量で高い保温力を持つタンブラー。ボトルキャップにはティーフックが備わっており(下写真)、ティーバッグの紅茶やお茶などを作るのにも便利な工夫が凝らされています。
続いて紹介されたのは、「サーモス 保冷缶ホルダー ROD-002」(上写真・2700円)です。ビールなどの缶飲料に装着することで、最後まで飲みごろの温度をキープできるもの。付属の飲み口をつければタンブラーとしても使えるので、1年中使えます。
「サーモス ステンレスボトル ROB-001」(上写真・4320円)は、1.2リットルの大容量。家族全員分をまかなえる容量で、保温力も高いのが特徴。キャンプでお茶やコーヒーを飲みたいという時に、多くの場合はヤカンなどで沸かすことが多いのですが、あらかじめ沸かしてステンレスボトルに入れておけば、ほしいときにすぐ飲むことができるのです。ハンドルもついており、持ち運びや注ぐ際も使いやすいのがポイントです。
手が熱くならず、料理が冷めない真空断熱プレートが便利
続いて紹介されたのが「サーモス 真空断熱ステンレスボウル ROT-001」(上写真・1620円)と「サーモス 真空断熱ステンレス深型プレート ROT-002」(以降すべて上写真・1950円)および「サーモス ステンレスプレート ROT-003」(1300円)「サーモス ステンレスプレート ROT-004」(1405円)です。お皿やボウルに熱々のスープやシチューなどをよそった場合、熱さでしっかり持てないこともあって危なっかしい…ということもよくありますが、真空断熱のボウルやプレートは、素手で持っても熱くならず、安心して使えるのがいいところ。サーモス ステンレスプレート ROT-003およびROT-004は真空断熱ではありませんが、シンプルで美しいデザインに統一され、スタッキングもしやすい仕様になっています。
家から仕込んでいけるので安心感が違う! 真空保温調理器「シャトルシェフ」
「サーモス 真空保温調理器シャトルシェフ ROP-001」(上写真1万4040円)は、家庭用にも展開されている「シャトルシェフ」のアウトドア対応モデル。高い保温力と、フタをロックする機構を持つなど、屋外に持ち出しやすく、持ち運びやすい設計になっています。キャンプなどの際に、家から仕込んで行けば、現地に着いたときにはすでに一品出来上がっているわけですから、安心感が違います。バタバタしがちなアウトドアでの調理も、余裕をもって行うことができますね。
折り畳めて保冷効果も高いソフト素材のクーラーボックス
最後に紹介されたのは容量22リットルの「サーモス ソフトクーラー ROC-001」(上写真左・実売価格4105円)と容量26リットル「サーモス ソフトクーラー ROC-002」(上写真右・実売価格4320円)。5層の断熱構造によって高い保冷効果が得られます。ソフトタイプなので使わないときは折り畳んでおけるほか、インナーボックス(下写真)が付属しており仕分けや中身の取り出しが容易なのもポイント。ハードクーラーボックスの予備としてだけでなく、メインのクーラーボックスとしても十分な性能といえます。
シャトルシェフで保温したアツアツのぜんざいを真空断熱ボウルで頂く
そのほかにも気になる製品は展示されていましたが、まずは新商品の紹介ということで、紹介が終わると早速デモンストレーションとなりました。
デモンストレーションを行うのは、アウトドアプロデューサーの長谷部雅一氏。7000メートル級の山々を渡り歩く一方で、自然体験教室なども運営されています。今回は、経営する会社のスタッフとともにデモンストレーションや食事のサービスをしていただきました。
デモンストレーションでまず紹介されたのは、先述の「サーモス 真空保温調理器 シャトルシェフ ROP−001」。こちらは、温かいおやつや前菜をあらかじめ自宅で仕込み、保温調理することで、キャンプサイトに到着した時には出来上がっているというイメージ。ここでは、アツアツの白玉チョコぜんざいを「サーモス 真空断熱ステンレスボウル」でいただきました。
お汁粉(あん)と白玉(団子)を別々のシャトルシェフで仕込んで、出来上がりのタイミングで提供してもらいます。シェラカップなど1層の金属カップでは、熱が伝わってきて長時間持つのは難しいですが、真空断熱のボウルでは素手で持ち続けても全く問題ありませんでした。
コーヒーのプロが美味しく淹れるポイントを伝授
続いての体験は、コーヒーのドリップ講座。コーヒー豆の焙煎、販売や飲食店への卸、ドリップセミナーやコーヒー書籍の監修などを行う「Day Drip Coffee」の黒田悟志氏が講師を務めます。黒田氏によると、美味しいコーヒードリップのコツは、熱湯を使わないこと、良い豆を選ぶこと、蒸らしをしっかりすること、などいくつかのポイントを教えてもらいました。また、熱湯を使うと豆のえぐみが出やすいこと、円を描くようにゆっくりとお湯を注ぐが、フチまでお湯を回さずに注ぐのがおいしく入れるためのコツとのことです。
ドリップは、ドリッパーをのせた「サーモス 真空断熱タンブラー ROD-001」に直接注ぎます。同じ豆、同じフィルターを使っても、ドリップの仕方によって味わいが変わることに驚きました。何回かにわけてドリップ体験が行われましたが、真空断熱タンブラーによって、飲み比べる際にどのコーヒーも熱いままで飲むことができました。
体験会がひと段落の後は、夕食まで自由時間となりました。参加者は、紹介されなかったアイテムの詳細をサーモスの担当者に質問したり、製品の撮影などを行ったりと、思い思いの時間を過ごします。筆者はこのタイミングでテントを準備。15分ほどで整えた後は気になっていたアイテムのチェックを行いました。
筆者は自分でも燻製を作るので、気になっていたのが「サーモス 保温燻製器イージースモーカー RPD-13」(1万2960円)です。家庭で行う燻製には直接チップを加熱して高温で燻製をする「熱燻」と、ウッドに火をつけて線香のようにゆっくり燃やした煙で燻す「温燻」があります。熱燻は、チップを加熱し続けるため、火加減や加熱時間の見極めが難しいので、加熱が足りないと燻製が不十分、加熱しすぎると炭化が進みすぎて炭っぽく(酸っぱく)なってしまうなど、チップの分量や加熱時間のバランスが難しい。一方、イージースモーカーは、一定時間加熱したあと、保温容器で燻製に適した温度を維持するので、火加減が難しい熱燻を簡単に作れるというわけです(ちなみに、筆者は体験会から帰宅後、早速購入)。
サーモス製品をフル活用した夕食を楽しむ
夕食でも、サーモス製品を活用したメニューがふんだんに用意されていました。
メインディッシュは「ポークのマッシュルームクリームソース」で、付け合わせが「ガーリックマッシュポテト」で、いずれも「サーモス 真空保温調理器 シャトルシェフ ROP−001」で保温調理されたものです。日も落ちてだいぶ肌寒くなった気候には、温かい料理が余計においしく感じました。もちろん器は真空断熱ステンレスボウルや深皿プレートで、談笑しながら食事しても、最後まで美味しく食べることができました。
キャンプでの食事は、コンロ(バーナー)を使用したり、焚き火を使用することが多いと思いますが、その場合、火加減が難しいのが難点。特にスープやシチューなど煮込みや保温が必要なものは、焦がさないように注意しなければならず、冷めたらその都度加熱するといった手間が必要になります。その点、シャトルシェフのような保温調理の場合には、煮詰まったり焦がしたりする心配がほとんどないので鍋もキレイなまま。翌朝のために調理器具を洗う際にもサッとゆすいでふき取るだけでOK。使用する水も手間も少ないので、オートキャンプなどの場合にはこの手法が有効だなと感じました。
ちなみに、夜も更けて、同行したメンバーのコテージで語らいの時間を楽しんだのですが、ソフトクーラーに入れて持ち込んだ缶飲料は、お開きの時間まで冷たさをずっと保ち続けました。(保冷のための氷は、翌朝まで溶けずに原型を保ち続けていました)
朝食では「シャトルシェフ」で調理したミネストローネが沁みる!
余談ですが、筆者は湖面に面したテントサイトで一人だけテント泊を選び、早朝の富士山を撮影できるかと楽しみにしておりました。しかし5時に目覚ましをかけて外を見たところ、霧で真っ白……。テントを撤収しているとようやく霧も晴れてきたのですが、完全には晴れず、残念な結果に。
そして、朝食の時間に。夕食は、お代わりするほどたくさん食べたつもりでしたが、炭火でトーストを焼くほのかな香りを嗅ぐと空腹を覚えるのが不思議です。ここでもシャトルシェフで保温調理されたミネストローネが用意され(上写真)、真空断熱ステンレスボウルで頂きました。朝の肌寒い気温に、熱々のミネストローネが沁みました。おしゃべりしながらだといつの間にか冷めてしまうような気温でしたが、シャトルシェフのおかげでアツアツでした。締めには、先述の黒田さんが淹れたコーヒーを頂いて、体験会は終了。
キャンプの一部に取り入れるだけでもまったく違う
今回の体験会では、あらゆるシーンでサーモス製品を活用したデモンストレーションが行われました。しかし、今回のように、すべてのシーンで使用しなくとも、製品とアクティビティがマッチする部分に取り入れるだけでも、今より手軽で楽しいキャンプになると思いました。
たとえば、キャンプならではの準備や片付けの手間が煩わしかったり、そのために子どもが小さいうちはキャンプに連れて行けない……と諦めてしまうご家庭もあるかもしれません。あるいは、バーベキューの予定が準備中から雨続きで、食事の用意が遅れてしまう……といったトラブルがあるかも。そんなとき、すでに使える状態のお湯があったり、一品だけでもすぐに食べられる料理があったりするだけでも違うのかな、と。特に、ずっと火の番をしていなくとも調理が進み、手入れもカンタン、これにより、キャンプを楽しむ時間が多く取れるという、シャトルシェフ(下写真)の活用法が目からウロコでした。
今回紹介したものをいきなり全部を揃えるのはムリですが、今後のキャンプライフに少しずつでも取り入れて行きたい…そう思わせてくれた体験会でした。