日本人史上3人目のツアー優勝を成し遂げた、プロテニス選手・杉田祐一。普段、テニスのニュースが一般的に報道されることは少ないのだが、さまざまな媒体で取り上げられ、一躍時の人になった。以前から杉田選手をよく知る筆者は、彼が芝シーズンを終えて帰国した際、さっそくインタビューを申し込んだ。その様子を一問一答形式でお伝えしたい。
Q.フェデラーにおめでとうって言われたと聞きましたが?
杉田「ナダルにも言われました。試合も練習も、何も関わったことがないんですけど、いきなりトレーニングルームにいたら近くに来てくれて」
Q.すごい巻き舌で?
杉田「すごい巻き舌で(笑)」
Q.西岡良仁くんがTwitterであなたについて書いていましたね。
杉田さんツアー優勝はエゲツないですよ(@_@)
正直、この結果見てめっちゃテニスしたくなって来た…復帰後目標が更に増えたのはめっちゃやる気出る。
この勢いで日本勢がウィンブルドンて勝てるよう応援してます。— YOSHIHITO NISHIOKA (@yoshihitotennis) July 1, 2017
杉田さんお疲れ様でした。
杉田さんの頑張りで僕も以前以上にやる気が湧いてます。
怪我した時に杉田さんが僕に言ってくれた言葉を有言実行してる姿を見て感動してます。
長いシーズンお疲れ様でした。次のシーズンもよろしくお願いします。— YOSHIHITO NISHIOKA (@yoshihitotennis) July 6, 2017
杉田「ああ、僕のことを良く言ってくれて、可愛いですね。2014年のアジア競技会で一緒だったんですが、すごくいい影響をもたらしてくれましたね」
Q.ロンドンオリンピックのとき、あなたのライバルと言われている日本人選手たちが出場しているのを見て、私はすごく辛かったんです。「先を越されたな」とか「悔しいな」という気持ちはありました?
杉田「その前からいろいろあったので『うわ! やられたな』とは思っていましたね。でも資格を得られるランキングにいるんだから出られて当然。ただ純粋にすごいなと思っていました。自分はまだいろいろ見えてなかったでしょうね。もがいていた時期でした」
Q.去年の夏あたりから結果が出始めて、リオオリンピックでも1回戦突破しましたね。そして今年、ゲリー・ウェバー・オープンでフェデラーと戦ってどうでした?
杉田「うれしかったですね。興奮しました。僕がプロになったとき、圧倒的な強さを持ったナンバー1でしたから。いままで一緒の大会にも出られなかったんですが、ふと戦うチャンスが巡ってきたので」
Q.プロの目で見ると、フェデラーってこういうプレーをするだろうなとか、こういうところが嫌だろうなっていうのが素人よりいっぱいわかると思うんです。実際に自分が予想して戦ってみてどうでしたか?
杉田「みんなもちろん、ペースやタイミングが速いのは感じていることだと思います。僕もテレビで見て『すごく速いな』と思っていたんです。でもそれをさらに上回る速さで展開されました。サーブの精度もいいですし、なかなか自分の展開に持っていけなかった。すさまじかったです」
Q.杉田選手はタイミングが速い選手の代表だけど、その杉田選手がそう思うんだからすごいですね。ところで去年の前髪だけ金髪という髪型は衝撃的でしたが。
杉田「あ~。伝説の」
Q.伝説の。
杉田「毎回同じ髪型だし面白くないなというのと、アメリカの子どもたちはああいうのが好きそうだし、インパクトを残すのにいいかなと思って。盛り上がってましたね」
Q.では、ここからは編集部からリクエストされた質問を。試合の前によく食べる勝負飯は?
杉田「オリーブオイルのみの素パスタ」
Q.「素パスタ?」
杉田「消化が非常に弱くて、ほかの物を食べるとダメなので一時期死ぬほど食べてましたよ。たぶん摂取量ナンバーワンですね」
Q.移動中どのように過ごしている?
杉田「(低い声で)過去を振り返る」
Q.過去を振り返る?
杉田「低ボイスで『過去を振り返る』って書いておいてください(笑)」
Q.集中力を高めるにはどうしてる?
杉田「オフコートで集中をしない」
Q.(笑)メリハリですね! ありがとうございました!
8月28日からは、全米オープンが始まった。杉田選手は本戦からの出場だ。順当に勝ち進めば2回戦でリシャール・ガスケ、3回戦でラファエル・ナダルと当たるドロー。錦織 圭選手を欠くいま、日本テニスを牽引する1人として奮闘してほしい。
撮影/石上 彰