アメリカに本社を置くW. L. ゴア&アソシエイツ社(ゴア社)が製造販売する防水透湿性素材が「GORE-TEX ファブリクス」。開発までには幾多のストーリーがあり、そちらは意外に知らない「GORE-TEX(ゴアテックス)」のうんちくという記事でまとめました。さて、GORE-TEXというとアウターやアウトドアシューズのイメージが強いですが、実はそんなこともありません。近年ではビジネス用コートやシューズにも採用されるなど、その活躍の幅を広げています。
そんなGORE-TEXですが、採用される製品をみると、「ランニングで使えるギア」も充実しています。特に、冬場の時期のランニングでより集中できる環境を構築できそうだと確信。本記事ではGORE-TEXを採用した注目プロダクトを紹介していきましょう。
【本論の前に】GORE-TEX メンブレン、GORE-TEX ファブリクスとは何か?
一般的にGORE-TEXという言い方で会話は通じますが、GORE-TEXにはいくつかの用語があり、それらを知ると一層理解が深まります。
そのひとつがGORE-TEX メンブレン。これは、GORE-TEX 製品のテクノロジーの要で、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の非常に薄い膜で、1平方センチメートルあたり14億個以上の孔(あな)がある素材です。水滴の2万分の1という微細な孔で水を通しません。反対に、水蒸気の700倍という孔の大きさで汗の水蒸気を通します。製品によってGORE-TEX メンブレンを様々にチューニングすることで、ユーザーのニーズを満たしているほどのこだわりようです。
一方のGORE-TEX ファブリクス。こちらはGORE-TEX メンブレンを高品質な生地に張り合わせて完成した、防水性、防風性、透湿性を確保を持つ実際の生地のこと。製品として出てくるときにはGORE-TEX プロダクトという言い方になっています。また、GORE-TEX ファブリクスを採用したシューズはGORE-TEX フットウェアという呼び方になります。フットウェアの場合、水たまりにも臆さず飛び込めます。水も寒風も通り抜けないので、足冷えを防ぐことができます。
なお、本記事後半で登場する「GORE-TEX SHAKEDRY™プロダクトテクノロジー」は、透湿性に優れ、持続的な撥水性を持ちアクティブなシーンでの使用に適した技術。こちらはのちほど詳説しますので、まずはGORE-TEX フットウェアからみていきましょう。ちなみにGORE-TEX フットウェアは、ブーティー状にGORE-TEX ファブリクスが内蔵されています。
【その1】衝撃緩衝性に優れた「GEL」をかかと部に搭載
ASICS/GEL-PULSE 11 G-TX(ゲルパルス11 ゴアテックス)
1万450円(税込)
ABC MART大型店、ABC MARTオンラインストアで主に販売されている、アシックスの「ゲルパルス11 ゴアテックス」。履いた際の心地よさを損なわない構造にするため、かかと部に衝撃緩衝性に優れたGELを搭載し、着地時の衝撃を和らげます。アッパーには軽量で通気性の優れたメッシュを使用しており、靴内にこもりがちな湿気を放出し、走り続けても不快感がありません。防水透湿性に優れているので雨天時のランニングでも快適です。シューレースホール近くにはGORE-TEX 製品の証、ロゴが印字されています。
【その2】優れたグリップ力やクッション性、 精密なフィット感!
Salomon/SPEEDCROSS 5 GTX
1万9800円(税込)。カラーは3色展開
サロモンのベストセラーシリーズ。新たに
【その3】滑りやすい条件下の路面でもしっかりグリップ
HOKA ONE ONE/SPEEDGOAT GTX(スピードゴート)
2万4000円(税込)。カラーは2色展開
ホカ オネオネの「SPEEDGOAT 4」の機能に、業界をリードするGORE-TEX ファブリクスを搭載し、雨の山道でも雪の積もった道路でも足をドライにキープする「SPEEDGOAT GTX」。柔軟性のある前足部のアッパーと3Dプリントのオーバーレイが中足部をしっかりサポートします。滑りやすい条件下でも路面をグリップし、雪のある地域などでも安心して走れる、なおかつクッション性のある走りを実現。シューレースホール近くにGORE-TEX ロゴがデザインされています。2月3日発売予定。
続いては、ランニングなどに最適な「GORE-TEX SHAKEDRY™ プロダクトテクノロジー」を採用したウェアを紹介。
同素材はこれまで必須だった表生地を取り除き、GORE-TEX メンブレンと裏生地のみという2レイヤーの構造を実現。水が浸透しないメンブレンが露出し、生地の表面についた水を粒状にして直接弾くため、生地を揺らすだけで水滴を飛ばすことができます。一方で、裏生地が吸い上げた内側の汗(蒸気)が表生地に遮られることなくダイレクトに拡散されるため、透湿性を従来より格段に向上させることに成功しているのです。メリットは以下の通りです。
■GORE-TEX SHAKEDRY™ プロダクトテクノロジーを採用したウェアのメリット
GORE-TEX SHAKEDRY™ プロダクトテクノロジーは、ゴア社が2016年から展開している素材技術。主にランニングやサイクリングなどのジャケットなどに採用されています。一般的なレインウェアよりもしなやかな着心地でシャカシャカして突っ張ることがないため、ストレスなく快適に走ることができます。
①持続的な撥水性:GORE-TEX メンブレン(防水透湿性素材=1平方cmに14億個もの微細な孔が空いており、水蒸気は通すが雨は通さない画期的な素材)が表面にでているため、水は染み込まず、水分は表面で水滴となって流れ落ちます。
②優れた透湿性:持続的な撥水性のため、表面が濡れた状態を防ぐことができるため、透湿性も向上します。
③軽量性:表地を取り払いGORE-TEX メンブレンが露出しているため、軽量に。撥水性があるため水分でウェアが重くなることも防げます。
④防水耐久性:ゴア社の厳しい試験に合格した優れた防水耐久性を提供します。
【その1】ランはもちろん、荷物の少ない軽登山やスピードハイクなどにも最適
mont-bell/ピークドライシェル
2万5080円(税込)
日本発祥のアウトドアブランドのモンベルの「ピークドライシェル」の素材感は柔らかく、
【その2】トレイルランニングから、あらゆるアウトドアまで汎用性の高さがウリ
GORE® WEAR/GORE® R7 ゴアテックス シェイクドライ™ トレイル フーディッド ジャケット
4万4000円(税込)
「GORE® R7 ゴアテックス シェイクドライ™ トレイル フーディッド ジャケット」は、GORE-TEX SHAKEDRY™ プロダクトテクノロジーを採用した軽量ランニングジャケット。持続的な撥水性があり、水分は表面で水滴となって流れ落ちるため、冷えを感じにくく、ウェアが濡れることによって重くなることもほとんどありません。裏地にわずかな厚みを持たすことで、クッションのような働きが生まれ荷物を背負ったときの負荷を吸収します。
耐摩耗性の向上から軽量のバックパックであれば背負うことも可能で、トレイルランニングからあらゆるアウトドア活動まで使える汎用性の高いモデルです。同テクノロジーは透湿性に特にすぐれるので、汗などの湿気も排出され快適なランニングを行えます。
「寒くても屋外を走りたい」、「できるだけインナーが濡れずに走りたい」、「雨天のレースでもベストコンディションで走りたい!」というランナーには、GORE-TEX 製品をぜひとも試してほしいです。
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