声を上げるよりも効果のある、まさに“無言の抗議”だった。メジャーリーグ(MLB)の試合で見られた、ピッチャーの“とあるプレー”がSNS上で話題になっている。
先日行われたシンシナティ・レッズ対アリゾナ・ダイヤモンドバックスの一戦。8回の時点で4-4の同点で進行していたこの試合、1アウト二塁・三塁のピンチでマウンドに上がったのはレッズの中継ぎルーカス・シムズ。雨が降りしきる中での試合となっていたため、制球に苦しむシムズは、2連続で死球・四球を与え押し出しに。確かに、この大雨では制球を乱すのも無理はない。ここで、シムズはある行動に出る。
Lucas Sims wanted nothing to do with pitching in the freezing rain pic.twitter.com/GUY36Ql8va
— Barstool Sports (@barstoolsports) April 22, 2021
なんと、審判から渡されたボールをフィールド外に投げて交換を要求。しかし、再度渡されたボールもまた拒否し交換。このやりとりが4回も続く珍事となったのだ。このやりとりにより、審判も試合続行は不可能だと判断。試合は中断となり、翌日再開となった。
この“無言の抗議”ともいえるシムズの行動がSNSで報じられると、「選手の安全を考えての行為だな」「なかなかおもしろい光景だ」といった称賛コメントに加え、「みんな同じ条件なんだから我慢するべきだ」といった批判的な意見など、様々な声が寄せられた。
FWIW, Lucas Sims said he wasn’t trying to make a statement by throwing out each baseball.
“Every single one of them was soaking wet,” he said. “I thought for safety reasons there was no way I was going to throw any of those baseballs.” #Reds https://t.co/U2TOXLLjPo
— Bobby Nightengale (@nightengalejr) April 22, 2021
試合後、シムズは「本当に全部のボールが濡れていたんだよ。安全面を考えると、様々な問題があったんだ。放ったボールが制球できずどこに飛んでいくのか心配だったんだ」とコメント。映像だけ見ると抗議のような形に見えるかもしれないが、ボールが大雨によりすべて濡れていたのは事実で、抗議の意図はなかったのだそう。
日本では比較的早い段階で降雨によるノーゲームやコールドが宣告されるため、こういったシーンはなかなか見られない。しかし、今年の開幕戦でも視界があきらかに悪い降雪の中で、ゲームを繰り広げるシーンが見られた。MLB特有ともいえる悪天候での試合も、観客にとってはひとつの楽しみということだろうか。