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2016/11/18 15:00

“第2の本田圭祐”を探しにきた! イタリアの名門サッカークラブACミランが東京にオフィシャルサッカースクールを開校

ACミランといえば、サッカー日本代表フォワードの本田圭祐選手が所属するイタリア屈指の名門サッカークラブ。1899年のクラブ創設以来、イタリア最高峰リーグのセリエA優勝18回、ヨーロッパ制覇7回、クラブ世界一のタイトルを4回獲得している。

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ACミランが積極的に日本でスクールを開校するワケは?

その名門クラブが11月21日に東京都江東区にて、「ACミランアカデミーサッカースクール東京」を開校することを発表。今回の開校は、愛知県、千葉県、石川県に続いて日本国内で4校目となる。このサッカースクールは世界中に計12校あり、約9000人の子どもたちが練習に励んでいるというが、1/3が日本ということになる。なぜACミランは、これほどまで日本でのスクール開校に積極的なのだろうか?

 

その理由について、実際のスクール運営を手がける株式会社Calcio Sport(カルチョ・スポルト)代表取締役の平林孝昭氏は次のように語る。

 

「私どもとしましては、第2、第3の本田圭祐プロを東京に探しに来たというのが正直な気持ちです」

↑スクール運営を手がける株式会社Calcio Sport代表取締役・平林孝昭氏
↑Calcio Sport代表取締役・平林孝昭氏は、第2の本田圭祐選手を探しにきたと力説

 

本田選手は2013年12月にACミランへ移籍。アジア人として初めて名門クラブで背番号10をつけたことは、世界中で大きな注目を集めた。その本田選手も今年の6月に30歳となり、サッカー選手としてはベテランと呼ばれる年齢に差しかかっている。本田選手に代わる優れた才能を日本で発掘・育成し、そしてACミランに送り届けるという青写真を描いているようだ。

 

また、ACミランで育成部門の競技技術責任者を務めるフィリッポ・ガッリ氏は、いまの日本のサッカー市場をどのように見ているかという問いかけに対して、「東京という都市には大きな可能性がある。日本のサッカーの成長を助けることにもつながるだろう」と語る。

 

スクールの育成方針は人間性を育成させること

イタリアは日本と比べて間違いなくサッカー大国だが、人口で比べると日本が約1億2700万人であるのに対して、イタリアは約6070万人と、約半数しかいない。その国で世界最高峰のチームを築き上げていくためには、サッカー大国である欧州や南米だけではなく、アジアやアフリカなど全世界に目を向けて選手の発掘・育成を手がけていく必要があると感じているのだろう。そのなかでも、アジア有数の大都市である東京に大きな期待を寄せているようだ。

↑クラウディオ・ゾラACミランアカデミーサッカースクール石川テクニカルディレクタ
↑クラウディオ・ゾラ氏は、ACミランアカデミーサッカースクール石川のテクニカルディレクターを務めている

 

ただ、ACミランのサッカースクールでは選手の発掘よりもむしろ育成に重点を置き、“ACミランの教育哲学”なるものを掲げている。それは「楽しさを体感しながら、一人の人間として成長すること」だ。「サッカーやスポーツを通じて子どもたちが学び、心身の健康をはぐくむ場を提供する」ことをACミランは選手育成の柱として考えており、これを土台としてサッカースクールの運営を行っている。

 

ACミランアカデミーサッカースクール東京でテクニカルディレクターを務めるマヌエル・ベッレーリ氏も、「我々が行うのは子どもたちにすべてを教えることではない。子どもたちに考えさせて、人間性を育成することが役目だ。そのために400~600種類もの練習メニューを作り、毎週メニューが違う状況を作ることで子どもたちに考えさせていく。サッカーでも人生でも自分で考えることが大事」と語る。

↑マヌエル・ベッレーリ氏は、子どもたちに考えさせることが人間性を育成すると話す

 

ベッレーリ氏自身は1993年から2013年までプロサッカー選手としてプレーした経験を持っているが、「それは運良くサッカー選手になれただけ」と語り、「子どもたちにはサッカー選手になれなかった場合の一般常識や社会性も教えていく。サッカーだけを教えるのではなく、人間性を教えることのほうが大事」と言い切った。

↑サッカースクールの通う子どもたち。このなかから、第2の本田圭祐選手が誕生するかもしれない
↑サッカースクールに通う子どもたち。このなかから、第2の本田圭祐選手が誕生するかもしれない

 

ACミランのサッカースクールは、サッカーエリートを育成するというよりも、人間の育成こそが最大の目的のようだ。近い将来、このスクールから素晴らしい人格と技術を有した世界的サッカー選手が誕生する日を楽しみに待ちたい。