文房具
2025/1/18 21:00

左利きでも不器用でもサクサク切れる!コクヨの新ハサミ「サクサ」の一点に込められた秘策とは

ハサミの使い方にも、様々ある。たとえば、紙を直線で切る単純な作業と、薄いフィルムを滑らかな曲線に沿って切る作業など。それぞれ必要な技術も難易度も、大きく異なる。特に薄くてコシのないフィルムをスムーズに切るためには、ハサミのハンドルを指の力で微妙に傾け、刃と刃の接点を強める必要があるが、これはハサミで切れる原理を十分に理解し、ある程度のテクニックをもっていないと難しい……。

 

だが、そんな原理だとかテクニックだとか、小難しい話を抜きで“よく切れるハサミ”が、正しいに決まっているのだ。

 

ただチョキチョキするだけでよく切れるハサミ登場

とはいえ、道具を使いこなすテクニックは自らの努力で身につけるべきであり、ただ便利な道具に頼ればよいというものではない! なんて価値観はもはや古い。確かにテクニックは尊いが、それをより高めていくには道具の進化も必要なのだ。

 

そこへくると文房具メーカーの開発力というのはすごいもので、そういった切るためのテクニックを機構に組み込んだ、便利なハサミを生み出してしまうのである。

コクヨ
ハサミ<サクサ>
480円(税別)

 

「ハサミ<サクサ>」(以降、サクサ)といえば、コクヨの低価格で良く切れるハサミのシリーズ。その「サクサ」がこのほど7年ぶりのリニューアルを果たし、さらに良く切れるように進化したという。

 

もともと「サクサ」は独自のハイブリッドアーチ形状をしたカーブ刃を搭載したもので、“刃の根元から先端まで同じ力で切ることができる”、というのがポイントとなっている。もちろん、この度の新「サクサ」も、ハイブリッドアーチ刃の切れ味は健在だ。

 

↑アーチ状の刃によって、切りづらい刃先でも安定した切れ味が保たれるのがポイント

 

ではどこが変わったのか? その最大の変更点が“傾斜インサート”という新構造である。

 

これは、ハンドルに対して刃が斜めに傾いた状態でセットされたもので、これによって刃と刃の交点距離が従来よりも近づくという仕組み。ハサミが切れる原理は、チョキチョキと動く中で刃と刃が交わる点に力が集中し、そこに挟まれた物体(紙など)をせん断するというものなので、刃と刃の交わる距離が近ければ近いほど、力が逃げずに集中する。

 

↑傾斜インサートのサクサは、ハンドルに対して刃が傾いているのが見て取れる

 

↑傾斜インサートによって刃と刃の距離が近付き、切る力が集中する

 

以前ダンボール工作の達人に話を伺った際に印象に残ったことがある。それが、「カシメの緩んだ古いハサミを大事にしている」という話だ。

 

カシメというのは、ハサミの刃同士をつなぎ止める真ん中の支点のことで、使い古したハサミはこのカシメが緩んで刃がガタガタ動くようになる。ただガタつくだけでは切りづらいだけだが、ハンドルを指でひねるようにして動かすと、緩みの分だけ刃が斜めに傾いた状態で擦れ合うので、交点距離が近づいて良く切れるようになるというのである。

 

これは達人級のハサミ使いテクニックだが、つまり「サクサ」の傾斜インサートには最初からこのテクニックが構造的に含まれているので、ただチョキチョキ動かすだけでも達人が使っているように切れる、というわけだ。

 

ハサミが苦手とする薄物もサクサク!

また小難しい話になってしまったが、要するに「新しいサクサ、よく切れる」ということ。

 

例えば梱包用のエアキャップ、いわゆるプチプチシートを切ってみよう。これはハサミが苦手とする薄くてコシのないフィルムを重ねて間に空気を挟みこんだものなので、とにかく切りづらい。雑な作り(刃の交点距離が遠い)のハサミだと刃と刃の間にフィルムを巻き込んでしまい、まったく切れなくなってしまうのだ。

 

↑サクサなら、切りづらいプチプチシートも自在にスパスパ。これは気持ちいい!

 

実際、ダメなハサミだとプチプチシートは刃に押されてぐにゃっと伸びるばかりで、切れる気配はゼロ。対して「サクサ」は、何も考えずにチョキチョキするだけで、気持ちよくサクッと切れる。より難易度の高いカーブ切りだって自由自在である。

 

最近の国産ハサミは全体的に性能が向上しており、「これは画期的だ! すぐに買い換えるべきだ!」と感じるほどの劇的な性能差があるわけではない。しかし実際に切り比べてみると、「確かにこちらのほうが切れる気がする」と感じられる程度の切れ味の違いは体感できた。

 

傾斜インサート構造は、左利きの人にもメリットがある

↑左手での切断比較。従来のハサミは刃先のあたりで力が逃げてしまい切れなくなったのに対して、サクサはどこまでもスムーズに切れている

 

従来型のハサミの多くは、右利きの人が使いやすいよう設計されている。右利きの人がハンドルに力を加えることで、刃の交点の隙間を自然に縮めやすい構造になっているためだ。対して左利きの人がこのハサミを使用すると、ハンドルへの力が逆方向になってしまい、切りづらく、十分な切断力も得られない。

 

しかし、あらかじめ刃をひねってくれている傾斜インサート構造のハサミなら、ハンドルに特別な力を加える必要もなく、左右どちらの手でも同じように切ることが可能。左利き専用ハサミを探したり、無理して利き手矯正をしたりする必要もないわけだ。

 

粘着テープにベタつかないタイプなど4種をラインナップ

↑特殊な3Dグルーレス刃+フッ素コートの「フッ素・グルーレス刃」(税別980円)は、ベタつかないノンスティック性能に優れる

 

新しい「サクサ」シリーズには、4種類の刃がラインナップしている。もっともベーシックで低価格の「スタンダード刃」、粘着テープののりが付着しづらい「グルーレス刃」(税別630円)、コーティングによりより高い非粘着性能をもつ「フッ素・グルーレス刃」(税別980)、切れ味が長持ちする「チタン・グルーレス刃」(税別1270円)である。

 

切れ味については、4種類とも大きな違いは感じられなかったが、筆者個人としては、コスパの良いスタンダード刃か、非粘着性能に優れたフッ素グルーレス刃をオススメしたい。

 

↑新サクサシリーズはブリスター入りから紙パッケージへと変更された

 

現代のハサミは品質が非常に高く、簡単には壊れないため、買い替える機会はそれほど多くない。まだ壊れていないものを買い替えるのにはいくばくかの抵抗があるだろう。

 

だが、もしタイミング良くハサミの買い換えを検討していたり、買い足そうと考えているなら、「サクサ」を選択肢に加えて欲しい。1000円以下のハサミとしては、その性能の高麻は群を抜いており、買って損することもないはずだ。

 

この記事のリンクから商品を購⼊すると、売上の⼀部が販売プラットフォームからGetNavi webに還元されることがあります。 ※価格などの表示内容は掲載時点のものです。在庫切れなどによって変更の可能性もありますので、詳細は商品ページを確認してください。