文房具
2025/5/21 20:00

キャップ付ハサミの悩みを見事に解決! 使いやすさと安全性を両立した傑作「キャップ一体こどもハサミ」と「ツイッギー キャップレス」

幼児〜小学校低学年の子どもを育てる親御さんは、ある問題に直面することがある。それはハサミのキャップ問題だ。

 

幼稚園や小学校ではキャップ付きのハサミを使うことが安全だが、多くの子どもはそのキャップを紛失してしまう。探しても見つからず、親はハサミを買い直すか、キャップを自作するかで悩まされるのである……。

 

そこで求められるのが、「なにがあろうとキャップが紛失しないハサミ」だ。

 

実際、これまでにもいくつか「キャップが紛失しないように工夫されたハサミ」は発売されてきた。ほとんどはハサミとキャップが分離しないよう工夫されたものだが、微妙な物が多かった。使う際にキャップが邪魔な位置に来たり、あまりハサミらしからぬ形状をしていたり。「切るという作業を身に付けたばかりの子どもには使いづらかろう」という製品ばかりだったのである。

 

 

キャップの紛失があり得ない学童ハサミ

そんな中、2024年に発売されたクツワの「キャップ一体こどもハサミ」は一線を画していた。かなりいい線をいっている。

クツワ

キャップ一体こどもハサミ

704円(税込)

 

このハサミは製品名通り、ハサミと安全キャップが一体化しており分離できないため、大前提としてキャップの紛失ということ自体があり得ない。

 

上の写真はあえてキャップOFFの状態で撮られているが、キャップがどこにあるかというと、ハンドル側になにか透明の細い物がくっ付いているのが見えるだろうか。これが肝心のキャップである。

↑ハンドルに付随したこの透明パーツが刃をガードする安全キャップだ。

 

キャップをする場合は、このポリカーボネイト製の透明キャップ下側にあるボタンを軽く押しながら、刃の方向に向けてスライドさせる。すると、スルーッと動いて刃の全域をカバーしてシャキッとロックがかかるという仕組みだ。

 

よく見るとキャップ側面や先端は素通しになっているが、それでも刃が外に露出することはない。安全キャップとしての要件は完全に満たしていると取るべきだろう。

 

逆に、キャップを外す場合は、同じくロックボタンを押しながら透明キャップをハンドル側まで、シャキッとロックがかかるまでスライドさせればよい。

↑すべり止めモールドのついたボタンを押しながら上にスライドさせていくと……。

 

↑刃に被さるようにしてロックがかかり、キャップ状態になる。このような変形ギミックは子どもの大好物だろう。

 

↑ギミックの問題で側面は素通しだが、それでも刃は完全にガードされている。

 

全く邪魔にならないキャップ

パッと見の印象で「このキャップ、切るときに邪魔になるのでは?」という気もしたが、使ってみると全く問題なかった。ハンドル側で固定されたキャップに手が触れることはないし、刃をチョキチョキ動かす動作の負担にもならない。体感的には完全に普通のハサミだ。

↑段ボールやペットボトルなど、工作で多用する素材もサクッと軽く切ることができる。

 

もちろん小学校教科書対応(教科書の表記に準じた使い方ができる)もしている。

↑学校側から「教科書対応の物を買え」と指示されることも多いが、このマーク付きなら安心だ。

 

便利なグルーレス刃を採用

ハサミとしての機能は、片側アーチ刃で刃先まで力が入りやすいほか、3D構造でのりが付着しないグルーレス仕様となっている。多くの子どもは「刃にベタベタしたのりが付着して切りづらくなる」なんてことは全く考えずに、セロテープや接着剤の付いた紙をザクザク切っちゃうので、グルーレス刃は確実に便利だ。

↑刃の周囲が盛り上がった3Dグルーレス刃は粘着剤のベタつきが残りにくく、メンテナンスしなくても切れ味が長持ちする。

 

性能的には全く不満なく、よく切れるハサミで、キャップも絶対に紛失しない。子どもの学校用ハサミとしては、間違いなくオススメできる製品だ。

 

ハサミのキャップには別の問題が…

これで子どものキャップ問題は片付いた。しかし、ペン型ハサミを愛好している方のみがピンと来る、アナザー「ハサミのキャップ問題」がある。

 

細長い形状のペン型もしくはスティック型ハサミと呼ばれる製品は、あちこちに携帯する機会が多いため、安全のためキャップが付いている物がほとんどだ。もちろん使うのは子どもではないので、キャップが紛失しやすいという話ではない。そうではなくて、使う前にいちいちキャップを外すのが面倒くさいのである。

↑安全面で考えるとペン型ハサミのキャップはマストだが、普段から多用している人にとっては邪魔に感じられることも。

 

ただし、だからといって付属のキャップを放り捨てて携帯するのはオススメできない。やはり刃物なので、ペンケースから取り出すときに怪我をする可能性だったゼロじゃない。

 

ストレスフリーなペン型ハサミ

そこで便利なのが、プラス「フィットカットカーブ ツイッギー キャップレス」(以下、ツイッギー キャップレス)。人気ハサミ「フィットカットカーブ」のペン型シリーズにおける新製品だ。

プラス

フィットカットカーブ ツイッギー キャップレス

663円(税込)

 

機構としては、使う際にハンドルの片側を親指で軽く押し込みつつスライドさせると、ロックが解除され、刃が開いて動かせるようになるという物。

↑スライダーを軽く(ほぼ意識不要なレベルで)押しながら上にスライドさせて、刃をオープンに。

 

一応ダブルロック(押し込まないとスライドできない)になっているので、携帯中に勝手に開いてしまう危険性は少ない。なにより、取り出してから切り始めるまでの時間がとても早く、使いやすさで言えば文句なしだ。

 

しかし、このロック機構自体はさほど珍しくなく、そもそもこれまでの「ツイッギー」シリーズのほとんどが、この形式にキャップを組み合わせた構成になっている。

↑キャップを外すことなく、一瞬で切る作業へ移行できるのはうれしい。

 

ブレードカバーがもたらす安心感と機動力

では、「ツイッギー キャップレスの何がいいのか?」というと、刃先に装着されたブレードカバーにポイントがある。

 

樹脂製のブレードカバーは刃の側面から刃先までをぐるっと包むように覆っており、ロック状態で目視できる金属部分は刃ギリギリの所だけ。その分、切る際に刃の正確な位置が見えづらいという難点はあるが、これは普段のキャップ開閉から解放されることとのトレードオフと考えることはできそうだ。

↑携帯時に金属刃による周囲へのダメージを抑制するガード。がっちり分厚くて安心感が高い。

 

例えば、キャップを外したペン型ハサミとスマホを同じポケットに入れて持ち歩くと、金属製の刃がスマホの画面を傷つける可能性はすごく高い(筆者体験済み)。しかしこの樹脂製ブレードカバーが付いたツイッギー キャップレスであれば、そんな心配はまず不要だろう。

 

つまり、ペンケースでもカバンでもスーツのポケットでも、一緒に入れている物を傷つけることなく直入れして携帯できるというわけ。意外と活躍の機会が多い携帯ハサミとしては、この機動力はなかなか魅力的だ。

 

文句のつけようがない切れ味

ハサミとしての性能はもちろんフィットカットカーブの系譜であり、おなじみのカーブ刃の切れ味に文句が出るはずもない。

↑バネ式ハサミは繊細なカットには向かないが、日常的な「ちょっとここを切りたい」に対応しやすい。

 

日常的にペン型ハサミを使っている人ほど、「キャップは面倒だな……」と感じているだろうし、そういう上級者であれば、ツイッギー キャップレスで十分に安全は確保できるはず。バネ式(ハンドル内のバネで開閉するタイプ)のペン型ハサミが苦手でないなら、1丁カバンに放り込んでおいて損のないハサミと言えるだろう。