文房具
2019/2/15 19:45

【5千字濃厚レビュー】電子ペーパー「クアデルノ」を1か月使ってわかったこと

富士通クライアントコンピューティング(以下、FCCL)からローンチされたデジタル文具、電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」。ローンチ当日には、文房具ジャンルの有識者やファンを集めてのお披露目イベントがあり、商品の基本的なポイントのレクチャーとともに、先行して使い込んでいた文具ソムリエール・菅未里さん、文具ライター・きだてたくさん、ビジネス書作家・美崎栄一郎さんによるトークセッションが繰り広げられたのは既報の通り。

「無限に書けるデジタルノート「電子ペーパー」を菅未里&きだてたく&美崎栄一郎が評価する!
https://getnavi.jp/stationery/343373/

 

筆者も縁あってこのイベントに参加し、以降は仕事やプライベートで「QUADERNO(クアデルノ)」を使っている。QUADERNOとはイタリア語で「ノート」の意味で、そこには「QUANTITY(量)」と「QUALITY(質)」のあるアイデアが、どんどんと「出るノート」、という想いも込められているとか。

なんとも期待は高まるが、PCやタブレットPCなどのデジタルデバイスや、同じデジタル文具に分類される他の“デジタルノート”などと、どう違い、どういった特徴があって、どのように活用できるのか。早速レポートしていきたい。

 

“電子機器に書いている”という感覚がない

「クアデルノ」とは、一言で言えばデジタルのメモ帳だ。これまでも、手書きしたものがそのままデジタルで保存される機器は色々と登場しているのだが、今回の製品は、その「手書き文字が保存できる」「いつでも閲覧できる」という部分にフォーカスを定めて、それをいかに快適に提供できるかを考えた製品のようだ。実際に使って実感するが、“画面にスタイラスペンで書いている”という意識があまりなく、“普通に書いていられる”のだ。

↑タッチセンサーと特殊加工シートによる摩擦のあるパネルによって、書き心地は紙により近い

 

“紙にペンで書く”、そのものの書き心地とまでは、さすがにいかない。それもそのはず、紙に鉛筆で書く、ボールペンで書く、万年筆で書くというのは、それぞれに書き味が違っていて、しかも、それらは紙にインクなり鉛筆の芯なりを擦りつけているわけで、その感触はやはりデジタルで再現するのは難しい。

 

しかし、この「クアデルノ」の場合は、画面とペン先の摩擦具合が、書いている実感を得られるような感触として伝わるので、画面にペンを当てている感触とは全く違い、書いていて不自然な感じがない。その意味では“紙にペンで書いているような”感触と言えるかもしれない。この“普通に書いていられる”感覚は、筆記時のストレスがなく、メモをとるような何に書くかも意識せずにサッと書き留めるような用途には、とても重要なポイントだと感じた。

 

また、些細なことかもしれないが、枠部分と画面に段差がないのも書き心地の良さのポイントではないだろうか。“この枠内で書く”と範囲を意識させず、“これに書く”という気分で書けるのも、デジタル機器であることを意識せずに使える要素になっているようだ。

↑白いベゼルとわずかにグレーがかった白のディスプレイは、間にほとんど段差がなく、一枚の紙そのものを連想させる

 

PDFビューワーとして本を“何冊も”持ち歩ける

筆者は、購入した本は全てデジタル化してタブレットPCで読むといったことが習慣化している。そういう人は、メモ帳として以上にビューワーとしての利用の方が、使用時間としては長くなるかもしれない。

 

そういう用途でありがたいのは、バッテリーの駆動時間の長さ。読書というのは時間がかかるもので、場合によっては6-7時間ぶっ通しで読むこともあるから、バッテリーの残量を気にせずに読めるのは、大きなメリットである。

 

もちろん、“何冊も持ち歩ける”というのも大きい。先日、海外出張に行った際も、本はこの「クアデルノ」ひとつで事足り、本当に助かった。何と言っても荷物にならない。機内持ち込み用のカバンに入れていても、入れていることを意識しないでいられる軽さだから、読書時も、本を持って読むよりも軽くて楽なのだ。

 

データを本機のストレージに取り込み、インターネットを介すことなく読めるので、これは通信機器が使えない、もしくはWi-Fiの利用に料金がかかる長時間のフライトでも助かる。

↑本体重量(充電池込み)は、A5タイプで約251g。内蔵するメモリは16GB(使用可能領域は約11GB)で、1ファイルあたり約1MBのPDFファイルを約1万ファイル保存できる計算だ

 

ビューワーとして使うなら、表示の視認性も重要だ。この表示に関しては、文句のつけようがない。マンガも16階調あれば十分キレイに表示されるし、画面サイズが大きいため、書籍も文庫や新書なら文字が大きく表示されて快適に読める。ページ送りの速度も、読書のリズムを妨げない。

 

このように読書端末として使う人は少数派かもしれないが、この薄さと軽さでマンガ10冊一気読みができるという環境は、他ではなかなか得られないので特に記しておきたい。

↑ディスプレイは16階調グレースケールの“フレキシブル電子ペーパー”を採用。コントラストが際立ち、字体は美しくなめらかに表示される。ピンチイン/アウトの動作ひとつで、PDFを1ページ表示から一覧表示に切り替えられるのも便利

 

取り込んだPDF資料に上から自由に書き込める

ただ表示するだけではなく、読み込んだPDFには書き込みも出来る。筆者のようなライターの場合、ゲラチェックにも便利だ。文字色を赤・青から選べるので、カラー表示した際に、書き入れた訂正の“赤字”が赤色で表示されるのもうれしい。

 

また、書き込む際に、空いたスペースが狭かったり文字が小さくて見にくかったりすれば、ピンチインで画面を拡大し書き込めるのもありがたい。当たり前だが、紙では不可能だ。

↑ピンチインで一部分の表示を拡大し、書き込みも行える

 

スケジュール帳を予定の一時メモとして使う

意外に良く出来ていると感じたのが、スケジュール機能だ。単にPDFでスケジュールの“枠”を表示するだけでなく、日付を指定することでマンスリー/ウィークリー/デイリーのフォーマット間でジャンプする。ただし、日付ごとにリンクはしているものの、デイリーに書き込んだ内容がマンスリーに自動で連携するなど、フォーマット間のデータの連携はない。とはいえそれは紙の手帳を考えれば自然なことで、むしろ“文房具”として使ってもらいたいというFCCLの意思が表われているようにも思った。

 

個人的には、普段のスケジュール管理はGoogleカレンダーで行っているので、「クアデルノ」ではメモ代わりとして一時的に予定を書き留めておく、といった使い方をしようと考えている。

↑スケジュール機能は、「スケジュールフォルダ」内のデータにアクセス。マンスリー/ウィークリー/デイリーの3種のフォーマットが365日分格納されている。またメモページを必要なだけ無限に追加できるのも便利だ

 

日常生活に違和感なく溶け込むツール

しばらく使っていて驚いたのは、気がつけば手元にあって当たり前に使っていたということ。電話中にメモが必要となれば「クアデルノ」に書いているし、思いついたアイデアもメモしている。つまり従来のように、紙を手にするよりも先に、これを手にしているのだ。

 

従来のデジタルノート、あるいはデジタルメモとの一番の違いは、この仰々しさのなさというか、親しみやすさなのだと思う。メモ画面を表示した状態でスリープさせておけば、書こうと思いついてから書き始めるのに、メモ帳の最新ページを開くよりも速い。また使いたい時に限って電池切れ、という心配もほとんどない。そして、いくらでも書ける。これらの条件がそろえば結果的に、「とにかくメモはこれに書いておけばいいや」ということになる。メモは集約されているに越したことはないのだ。

 

この気軽さと、気軽さを実現している機能やデザインは、とても文房具的である。

↑納富氏が実際に使用したページの一部。文字もイラストも、自由に思いつくまま書き連ねている様子がうかがえる。ちなみに文字色は基本色がブルーで、ディスプレイにはグレーの濃淡で表現されるが、読み出したPDFではカラー表示される

 

さて、この「クアデルノ」が最大34%OFFで手にできるお得なキャンペーン「Hello! QUADERNO! Campain」がスタートしている。下の富士通直販サイト「WEBMART」で、「P01(A4サイズ)」が7万4800円、A5サイズは4万9800円(ともに税込)の特別価格で販売されるというもの。3月27日14時まで!

WEBMART
http://www.fujitsu-webmart.com/pc/webmart/ui3211.jsp

キャンペーンページ
http://www.fmworld.net/digital-paper/campaign.html

 

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