【きだてたく文房具レビュー】快適な書き味で超極細なノック式フリクション
普段から誤字脱字・書き損じの多い筆者としては、どうしてもパイロット「フリクションボール」に日常筆記を頼らざるを得ない。というか、フリクションなしでは、もはや仕事ができない完全依存状態とすら言えるだろう。
そして筆者は、フリクション好きであると同時に0.4~0.3㎜の激細字ペン好きでもあるのだが、これが自分の手の中でなかなかうまく共存できていなかった、というのも事実だ。
どういうことかというと、フリクションの超極細字タイプである「フリクションポイント(0.4㎜)」や「フリクションボールスリム(0.38㎜)」の書き味が、どうにも好みから外れているのだ。
どちらも妙にカリカリし過ぎている感じだし、パイプ(ニードル)チップのフリクションポイントはインクフローが良くないのか、早書きするとかすれることもあって、いまいち信頼しきれない。それにキャップ式だというのも、ちょっと苦手。
もう少し快適な書き味で、超極細で、かつフリクション(ついでにノック式)というペンがあればいいのに……と願い続けてはや数年。願っておいてなんだが、まさか本当に叶うとは思っていなかったヤツが、とうとう発売されてしまったのである。マジか。
その「快適な書き味で超極細でフリクションのノック式」というのが、9月に発売されたばかりの「フリクションポイントノック04」だ。0.4㎜の超極細フリクションのノック式で、さらにペン先にシナジーチップを搭載しているというから、それはもう筆者を含む“お好きな人”には「ぼくのかんがえたさいきょうフリクション」にほかならない。
この“シナジーチップ”というのは、2016年にパイロットから発売されたボールペン「ジュースアップ(0.5/0.4/0.3㎜)」用に開発された、新しい形のボールペンチップのこと。
ペン先が針のように細いため、先端の視界が良く細かい書き込みがしやすいパイプ(ニードル)チップと、コーンチップの安定したインクフローという、いわば両者のいいとこどりをした、悪魔合体的なチップだ。
0.4㎜の超極細でもインクフローが十分なためにカリカリし過ぎず、かつ、ほどよいひっかかりが残っているので落ち着いて字が書けるのが、シナジーチップの特長と言える。
先ほど“いいとこどり”と書いたが、どちらかというとパイプとコーン両者それぞれの不満が上手く解消されている感じ。どこを見てもマイナス要素のない優等生タイプだ。この優秀さは、普段から細めのゲルボールペンを使っている人であれば、確実に体感できると思う。
書いてみた素直な感想としては、「これ、最高のフリクションだわー」の一言に尽きる。ジュースアップで初めて書いた際に体感した、超極細字におけるシナジーチップの高性能さを、フリクションインクでも味わえるというのが単純にすごい(ジュースアップよりややカリ感があるが、インクの違いによる差だろう)。
0.4㎜フリクションでパイプチップの「フリクションポイント04」と比べると、差は特にハッキリする。書き出しのひっかかりもなく、最初から最後までサラッと落ち着いた筆記感が続く感じ。
面白いことに、フローの良さからか、ノックの方が筆跡の黒も濃く見える。もともと黒の薄さが弱点のひとつでもあるフリクションだけに、これもありがたい。
もうひとつ、細かい話なのだが、ペン軸後端のイレイザーが従来よりも細くなっていることも見逃せない。
超極細字をチマチマ消すのだから、イレイザーも細い方がピンポイント消しがしやすいのは当然だろう。こういうちょっとした気遣いのあるブラッシュアップは、非常に嬉しい。
あくまでも個人的な意見だが、フリクションの超極細でここまで気持ちよく書けるというのは、ここ10年のフリクション史の中でもトップクラスの傑作だと思う。
実際、筆者もペンケースに常備するフリクションはもう、すべて「フリクションポイントノック04」に入れ替えてしまったぐらい。「快適な書き味で超極細でフリクションのノック式」というワードにグッと来た人は、今すぐ文房具店へ走るべきだ。