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2020/7/27 19:00

アナログで書き取りデジタルで管理! 語学学習を“一本化”したスマートペン「NUBO Rosetta」

個人的な嗜好というか弱点というか、とにかく“スマートペン”“デジタルペン”と呼ばれる物に弱い。ネットなどでそう銘打たれた製品を見つけると、確実に「ほほう」と目が吸い寄せられるし、持っていない物であればほぼ自動的に買ってしまう。もともとデジタルガジェットが大好きで、文房具も大好きなわけだから、好物+好物ということは、つまりスマートペンとはカツカレーとかチーズインハンバーグみたいな感じだな、と思ってもらえばいいだろう。

 

そもそも、スマホに次いで常時携帯性が高く、かつ手元に握る機会の多い筆記具に機能をプラスして便利にしよう、という発想はとても正しいのだ。正しいなら、買っても損はしないはず(!?)。というわけで今回は、クラウドファンディングサイトで見つけて、また自動的(衝動的)に買ってしまったスマートペンを紹介しようと思う。

 

語学学習はデジタルペンにおまかせ!

「NUBO Rosetta」は、クラウドファンディングサイトMakuakeで発売された、語学学習に特化した韓国発のスマートペンだ。(※現在、Makuakeでのプロジェクトは終了しています)

Tesollo inc.
NUBO Rosetta
6395円(予価・税別)

 

軸には小さな表示ディスプレイ(スペック表によると有機EL)を搭載し、それ以外はスイッチ類なども見えない。スマートペンとしてはかなりシンプルな構成と言える。また、外国語は、英語のほか、スペイン語・フランス語・ドイツ語・韓国語に対応、また常用漢字も収録している。

 

ペンに表示された単語をペンで書き取って暗記

キャップを外して握ると自動で電源オンとなり、ディスプレイに「NUBO」の表示が出る。これで準備は完了。

 

あとは人差し指で先端側から後ろに向けてフリックすると、単語がディスプレイに流れて表示される。これを書き取ることで、単語帳を見るだけよりも確実に記憶へ定着させよう、という学習メソッドだ。

↑先端側(Aの辺り)から後ろ側(Bの辺り)に向けてフリックすると、英単語が表示される。Aの辺りを2回タップ、ペン自体を振る操作でも同様に操作できるが、その場合は少し精度が悪いように感じた
↑ディスプレイに次々と英単語と発音記号が表示されるので、それをこのペンですかさず書き取って、記憶に定着させる仕組み

 

初期設定では1分に1ワードが表示されるので、これを次々に覚えていこう(設定は後述のアプリで変更可能)。

 

内蔵する英単語は、英語初級(899語)・中級1(600語)・中級2(550語)・上級1(700語)・上級2(665語)・ビジネス英語(452語)の計3866語。さらに、アプリから自分で単語を入力したり、csvで単語帳データをまとめてインストールしたりすることも可能となっている。

 

もし単語が分からなければ、もう一度先端から後ろへフリック。すると和訳が表示される。逆に、もうこれは知っている・覚えたという単語ならば、後ろ側から先端に向けてフリックすると、「erase a word」と表示されて単語帳データから消去される。消去されなかった単語は「まだ覚えていない」という判断がされ、表示頻度がアップするという仕組みだ。

↑単語が表示されているうちに、再フリックで和訳を表示する

 

↑「もう覚えた」という単語は逆方向フリックで消去すると、もう表示されなくなる

 

これらの操作が、全てペンから手を離すことなく指先だけでできる、というのは、なかなか面白いギミックだ。

 

ところで、面白いのはさておき、この時点で感じたのは「単語が流れるスピードが少し早いんじゃないか」ということ。筆者がそもそも英語が苦手だから、ということもあるだろうが、単語がスーッとディスプレイに流れていくのについていけず、慌てるケースがわりとあったのだ。覚えてない単語は頻度を上げて表示されるので問題ないのかもしれないが、そこはちょっと気になるなと感じた。できれば、プレイバックないしは直前の単語を再表示する機能は欲しかったと思う。

 

↑充電はマイクロUSBをペン軸後端に接続。満充電までは50分で、約15時間の連続使用が可能
↑ペンリフィルは一般的なD1規格なので、自分の好みの書き味のものに差し替えられる

 

タイマー式勉強法を取り入れられるタイマー機能付き

また、単語表示以外にもうひとつ、基本的なツールとしてタイマー機能がある。先端から後ろへ素早く2回フリックすると、タイマーが起動。分数を設定したら軸の先端側をタップでカウントダウンがスタートし、終了すると振動で知らせてくれる仕組みだ。

 

勉強する時間を区切って集中するには、有効だろう。アラーム音がなく振動だけで知らせるのも、図書館など静かな場所で使うにはもってこいだ。

 

ただ、フリックの感度がちょっと微妙なこともあって、単語表示のために1回フリックしたのに表示されず、再フリックしたらタイマーが起動した、なんてことも。これでは逆に集中力が途切れてしまうので、できればタイマー起動アクションをややこしくないよう変えるなどの改善があると嬉しい。

 

アプリを使って学習の進捗を管理

専用アプリ「NUBO」をスマホにインストールすれば、ペンとはBluetooth接続で単語データを共有できるため、移動中などペンを使えない環境下では、アプリでまだ覚えていない単語を再チェックすることも可能。

↑アプリと連携する事で、単語データや学習時間の可視化など、できることがグッと増える

 

また、トータルの学習時間をグラフで表示したり、単語帳のセッティング(英単語以外に、前述のとおりフランス語・ドイツ語・韓国語・スペイン語・日本語漢字が設定可能)、メモ帳、D-DAY(学習を始めた日など区切りとなる日)設定などもできるようになっている。

 

↑NUBOペン側で憶えられなかった単語はアプリで再確認。電車での移動中などにも勉強が進められる

 

ただ、アプリの機能で気になったのは、メモ機能だ。アラーム付きで、入力した内容を設定した時間にペン側に表示することができる、とサイトの説明にあって、それは便利そうだなと思ったのだが……現状では何を入力しても、アラームが鳴ると同時に「メモを確認してください」と出るだけ。あれ? ToDo管理にも使えそうだと感じていた機能だけに、この不備はちょっともったいない。

↑製品サイトによれば、メモに入力した内容が表示できる、となっていたが……。このあたりはバージョンアップで解決されることを期待したい

 

スマートペンというジャンル自体、まだまだこれからのものなので、機能的に微妙な点がちょこちょこ見受けられるというのも、現時点では“スマートペンあるある”なのかもしれない。正直、今回のNUBO Rosettaも、これまでお読みいただければ分かるとおり、パーフェクトな製品とは言い難い。

 

しかし、アナログに手書きすることによる記憶定着と、デジタルな学習管理の相性の良さは確かにあると思う。つまり、メソッドとしては間違っていないのだ。おそらく、今後も改良され続けていけば、「勉強するならスマートペンがベスト」なんて未来もあるはずだ。そんな未来を感じたくて、人柱上等な新し物好き、スマートペン好きの同志諸君には、ひっそりとオススメしておきたい。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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