Zoomなどのツールを使ったオンライン会議をしている最中、「あぁ、今、ホワイトボードがあれば」と思うことがけっこうある。というより、今までの“会議におけるホワイトボードの重要性”を軽く見過ぎていたということかもしれない。出てきた意見を列記するだけでも、会議の参加者が「どこに話を着地させればいいのか」の目安にもできるので、話がまとまるまでにかかる時間が短いように思うのだ。
そういうときに意外と重宝するのが、ノート型の携帯用ホワイトボード。ノートのように綴じた紙に特殊加工を施し、ホワイトボードマーカーで書き消しができる、というものである。これは、すでにいくつかのメーカーから発売されており、A4からB6、小さいもので新書版サイズまで、幅広く展開している。
多くは、個人でアイデアをまとめるアウトプットツールとして作られたものだが、オンライン会議にも実は重宝する。書記役の人が手元で書きとめて、必要な時にカメラに向けて見せれば、それなりに従来のホワイトボードに近い使い方ができるのだ。
ここで気にしたいのが、まずはホワイトボードマーカー。なにしろ、ボードがノートサイズなので、従来のマーカーのような太さでは、あっという間に紙面が埋まってしまうし、そもそも書きづらい。できれば、線幅1mm以下の極細を使いたいところ。
そして、もうひとつ重要なのがイレイザー(イレーザー、イレーサーとも呼ぶ)だ。手元でチマチマと書く関係上、大きなイレイザーは邪魔。持ち歩く可能性も考えれば、マーカーのキャップに小さなイレイザーがくっついたタイプがベストだろう。
ということで今回は、各社から発売されているイレイザー付き極細ホワイトボードマーカーをあれこれ試してみたい。
極細ホワイトボードマーカー3種を比較
ノート型ホワイトボードに使いやすい条件である「線幅1mm以下」「イレイザー付き」を満たすものとして適当だろう、という3本をピックアップしてみた。
※上から
欧文印刷「nu board ホワイトボードマーカー」3本1000円
パイロット「ボードマスターS 極細」150円
コクヨ「ホワイトボード用マーカー(PM-B100D)」100円(すべて税別)
まず確認したいのは線幅と書き味、ということで書き比べてみよう。
線幅は一目瞭然、公称値で線幅0.6mmの「nu board ホワイトボードマーカー」(以下「nu boardマーカー」)が細い。次に細いのが、線幅0.8mmの「ボードマスターS」で、最も太いのが線幅0.7~1mmの「PM-B100D」となった。ここはそのまま、メーカーの公称値通りの結果と言える。
もちろん細い方がより優秀というわけではなく、ボードのサイズや使い方でそれぞれマッチする線幅がある。ここはあくまでも参考まで。
書き味に関しては、ペン先に細字サインペンと同様のプラチップを使っている「nu boardマーカー」が快適だ。細くカリッとした書き味で、ボードに対してツルツルすべらず安定しやすい。「ボードマスターS」と「PM-B100D」は、マーカー系の太い繊維チップなので、やはり早書きするとすべりを感じてしまうのだ。
ただし「nu boardマーカー」はチップが硬いため、紙製のボードに筆圧をかけて書くと表面を掘ってしまう(消しても筆跡が溝になって残る)ことがある。そこは要注意だ。
純粋に書くだけなら「nu boardマーカー」がいいような気もするが、イレイザーで消してみると、また印象が変わってくる。
「nu boardマーカー」は乾燥がやたらと早く、一度乾いてしまうと筆跡の皮膜がカリッと硬くなる。そのため、イレイザーでこすって消そうとしてもなかなか消えないし、黒いカスも発生しやすいのだ。
「ボードマスターS」と「PM-B100D」はどちらもスルッと消えて快適。書き消しを頻繁に行うなら、やはりこれくらい軽く消えてくれないと使いづらいかもしれない。
とはいえ、先にも述べた通り、ホワイトボードマーカーは自分の使い方にマッチしたものを選ぶのが最重要。ノート型ホワイトボードをまさにノート的に使うなら、細かく書き込めて、こすったぐらいでは消えない「nu boardマーカー」がベストだろうし、会議用ホワイトボードとして使うなら「ボードマスターS」と「PM-B100D」の消しやすさが生きてくる。
ちなみに全体的なバランスで言うなら、「ボードマスターS」が、シーンをあまり選ばず使いやすそうに思った。
さて続いては、今回のマーカー比べで試筆用に使った、ノート型ホワイトボードも紹介しておこう。実はこれに付属したホワイトボードマーカーが“大穴”ともいえる出来だったのだ。ノートの特色と合わせてチェックしてほしい。
ノート型ホワイトボードの注目商品も要チェック!
今回のマーカー比べで試筆用に使った、ノート型ホワイトボードも合わせて紹介しておこう。学研ステイフルから、2020年11月に発売された「Write White」だ。
学研ステイフル
Write White(ライトホワイト)
B5サイズ 1200円/B6サイズ 800円(すべて税別)
サイズがB5とB6の2種類がラインアップされているが、意外にもこれまでなかったのがB6サイズ。さすがに「書き消しが手軽なアイデアまとめノート」という用途には小さ過ぎるのだが、実はこれ、目の前にあるウェブカメラに向けて写すのに、ちょうどいい感じのサイズなのである。
カメラからわざわざ身体を引くといった気も遣わず、ホイと見せればそれでボード面全体がフレームに収まって、自分の顔が写る隙間もちょっと残るくらい。これがオンライン会議にはとても使いやすいのだ。
B6サイズは、表紙端に滑り止めが付いているのもポイント。表紙を折り返して立てれば自立するので、卓上の常時表示ボードとしても使いやすい。
今日のToDoやスケジュールを書き出しておくと便利だし、電話受けの卓上メモとしても機能する。個人的には、このB6サイズが大きすぎず小さすぎずのほど良さで使いやすく、お気に入りだ。
このホワイトボードマーカーがベストかも!?
もうひとつ見逃せないのが、付属のマーカーである。見た目からは、さきほど紹介したコクヨ「PM-B100D」のマグネット抜きバージョンかな? と思ったものの、キャップを開けてびっくり。ペン先チップが、より細いものになっているのだ。
これ、探してもコクヨ製品としては販売されていないようなので、おそらく「Write White」用に別注されたカスタム品だろう。書いてみると、線の細さは「nu boardホワイトボードマーカー」に近いもの(表示スペックは0.8mm)で安定した書き味があり、かつインクはコクヨ製なので消しやすくクズも少ない。
正直なところ、筆者の好みとしてはこれがノート型ホワイトボード用のマーカーとしてベスト! というレベル。このマーカー目当てで「Write White」を買うのすらアリという気がするし、できれば別売してほしいぐらいだ。
他の仕様はB5、B6ともにボード4枚(8ページ)+各ボード間に透明シートと、ノート型ホワイトボードとしては一般的。ペンホルダーには先述のナイスなマーカーが付属している。
ホワイトボードとしての性能は先行の製品とさして変わらないが、オンライン会議に使いやすいサイズ感とマーカーは優秀。もし現時点でノート型ホワイトボードを探しているなら、候補として確実にアリだろう。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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