文房具
筆記用具
2022/2/15 23:00

やっと汚文字を克服できる!? 専用ボールペンとメモ帳のセットで筆圧コントロールを学べる「ビモア」で美文字への第一歩!

当連載でも過去に何度か告白しているし、ボールペン記事の作例写真なんかでもご覧の通り、筆者は本当に字が汚い。これは、文房具を使いこなして紹介する仕事の上では、ある意味致命的ともいえる欠点だろう。書いたものを自分で見ても「小学生みたいな字だな」という印象で、なんともお恥ずかしい限りである。

 

さすがに「使うだけで字がきれいになる魔法の筆記具」なんて存在しない!という結論にはたどり着いている。であれば、やはりなんらかの修練は必要かもしれない。

 

そこで今回は、特殊なボールペンと専用メモを使って「1日3分×7日間で手軽に学び、自分らしい美しい文字が身に付く」(※個人差はあります)という美文字練習キットを試してみたい。いかに面倒くさがりといっても、1日3分ぐらいなら練習を続けられるんじゃないだろうか。また、特殊なボールペンというのも気にかかる。

 

筆圧コントロールを学べば美文字になる!?

その美文字練習キットというのが、ゼブラの「ビモア」。メモ帳タイプの練習帳と、美文字練習に特化したゲルインクボールペンとがセットとなった製品である。

 

このセットと合わせて用意された練習動画を見ながら筆圧コントロールを学ぶことで、短時間(1日3分×7日間)の美文字習得が可能になるらしいのだ。

 

ゼブラ
bimore(ビモア)(ビモアボールペン+ビモア練習帳)
1000円(税別)

 

従来の美文字練習帳は、だいたい1日10~20分×30日をかけて、字の形やバランスを反復練習することに主眼を置いているものが多い。対して「ビモア」は、3分×7日という破格の短時間練習なのだが、そこで学ぶのが筆圧のコントロールだ。例えば横線を1本引くにしても、ストンと真っ直ぐ棒のように書くのではなく、グッと強く筆圧をかける→中央で力を抜く→最後はまたグッとかける。

 

つまり「線に筆文字のようなメリハリが出れば、字は上手く見える」という考え方である。なるほど、これならおぼえるべきことははるかに少なく済むし、効率的かもしれない。

↑筆圧コントロールは後軸をねじってオン/オフ

 

そこで使われるのが、筆圧がコントロールできるビモアボールペンだ。筆圧練習モード(軸をねじることでオン/オフ可能)中は、ペン先を強く紙に押しつけるとペン先端の黒いパーツがわずかに飛び出し、圧を抜くとスッと軸内に戻る。この動作によって、ペン先に擬似的な“しなり”が生じて、筆圧コントロールがやりやすくなる仕組みだ。

 

↑筆圧練習モードをオンにすると、メリハリのくっきり出た線が引きやすい

 

↑筆圧を強くかけると、黒いパーツが軸先からわずかに露出し、弱めるとひっこむ。この動きが“しなり”に近い感覚となる

 

この先端から飛び出す黒パーツにはどうも既視感があるぞ? と思ったが、どうやらゼブラ製の芯が折れないシャープペンシル「デルガード」の芯ガードパーツとほぼ同じもののようだ。

 

「デルガード」とは、強い筆圧に対して芯を守るためにパーツが飛び出すのが重要。対して「ビモアペン」は、筆圧を抜いたときにペン先ごと軸に戻ることで、線の変化を産むように機能する。どちらも筆圧がポイントになってはいるが、働きはまったくの別物。これはなかなかユニークなアイデアだと思う。

↑筆圧をかけると芯を守ろうと飛び出すデルガードの先端パーツ。素材は金属と樹脂で違うが、形状はビモアペンとそっくりだ

 

ではメモ帳では何ができる?

もう一方のメモ帳タイプ練習帳は、筆圧を意識しつつなぞり書きをする、というのがメイン。7日分に分割された課題ごとにQRコードが印刷されており、スマホで読むことで、書家・美文字研究家である青山浩之氏監修の練習動画が観られるようになっている。

 

言葉で説明するだけでは分かりづらい「筆圧の加減」も、動画ならたしかに分かりやすい。筆圧のかかり具合が先端パーツの動きで可視化されているのも、大きなポイントだ。

 

ちなみに、動画は再生時間だけでも各4分間以上。途中で動画を止めて練習するタイミングもあるので、1日の練習時間はだいたい7〜8分といったところ。3分というのは、ペンを動かしている実質的な時間を指しているのだろうか。

↑ビモア練習帳では、筆圧を意識したなぞり書きで反復練習をこなす

 

↑動画では「筆圧をどれぐらいかけるか」がゲージでも表示されるので、加減がつかみやすい

 

1日の練習前には、まず筆圧オフモードで課題文字を書くのだが、それを筆圧コントロールして書いた練習後の文字と比較すると、なかなか面白い。

 

見比べてみると、たしかに「おっ、ちょっと上手くなったかも?」という気になるのだ。誰でも筆や万年筆を使う際は、自然と筆圧をコントロールしていても、ボールペンで意識したことはあまりないだろう。その分、効果が実感しやすくなっているのかもしれない。

 

↑「目に見えて上達した」とは言いにくいが、少なくともマシにはなった気がする

 

さて、実際に7日間の練習を完遂した結果が、これだ。うーん、やはり文字の形やバランスの取り方を学んだわけではないので、胸を張って「美文字になりました!」とは言いづらい。

 

筆圧にばかり意識を向けると文字のバランスまで気が回らず、また逆も同じ。やはり、たかだか7日やったぐらいでは、無意識に筆圧をコントロールできる域にまで達するのは難しい。もうちょっと練習を繰り返す必要はありそうだ。

 

とはいえ、慎重にゆっくり書くことで線の強弱が出せるようなったため、雰囲気はそこそこマシになったように思う。自画自賛で恐縮だが。筆者のような根深い悪筆にはやや効果が薄いかもしれないが、元からある程度整った字が書ける人なら、この雰囲気アップは強い武器になるだろう。

 

ちなみに、インクフローの良い水性インクのペン(パイロット「Vコーン」、OHTO「筆ボール」など)ならば、ビモアペン同様に筆圧の強弱を活かせるので、練習の後にはこれらも試してみると面白そうだ。

 

 

筆者・きだてたく文房具レビューのバックナンバーはこちら