文房具
2023/4/18 19:45

リングノートの常識を変える! 極薄なソフトリングの「ソフィーチェノート」と裏表紙がリムーバー化する「ココチィ」をレビュー

ノートは判型が大きくて分厚いものがいい、というタイプの人がいる。

 

自分の思考を書き出してまとめるような使い方であれば、ガーッと書き殴る面積が欲しい。作業中にページが尽きると興ざめなので、たっぷり分厚いものがいいというわけ。対して自由度の高い手帳兼用ノートが欲しいのであれば、軽快さが最優先。つまり薄くてコンパクトなノートが求められるはずだ。

 

つまりノートはユーザーの用途によってそれぞれ選ぶ必要があって、単に値段だけで5冊パックノートを選んでいると「いまいち満足できない…」ということになりかねない(もちろん、パックノートならではの使い勝手が必要なケースだってある)。そこで今回は、手帳兼用ノートにかなり良さげなノートを紹介したい。最近発売された「薄くてコンパクト型の最右翼」とも言える、かなりピーキーなリングノートだ。

 

1.リングが薄くてやわらかいスマートな「ソフィーチェノート」

そもそも「薄くてコンパクト」という要素を求められた場合、リングノートは比較的不利だ。金属製のリングが全体的な厚みのボトルネックとなってしまうから、どうしたって綴じノートほど薄くはならない。ただ、リングによって表紙から360度折り返せるから、狭いスペースでササッとメモるのには使いやすい。痛し痒しなのである。

 

それなら、リングを極限まで薄くしたリングノートがあれば最高なのでは?

リヒトラブ
ソフィーチェノート
セミB5  330円/A5 310円(ともに税別)

※他にA6とハンドメモサイズがラインナップ

 

リヒトラブの「ソフィーチェノート」は、リングを極限まで薄くすることによって “リングノートの使い勝手” と “綴じノートの薄さ” を両立した、まったく新しいリングノートなのだ。見ただけでも従来のリングノートとの違いは感じられると思うが、それでも実物を手にした時の「うっす!」というインパクトはかなり大きい。なんせ用紙30枚のノートなのに厚み約5mmだから、ほぼ綴じノートと同じ。同程度の用紙を綴じたリングノートのリング径がだいたい10mmなので、これはかなり薄く感じられる。

↑リングは一般的なクリアホルダーと同じ素材(PP)で作られている

 

↑ワイヤーのダブルリングと比較。これだけ径に差があると、取り回しも全く違ってくる

 

そもそも「ソフィーチェノート」は、リング自体が金属ではなく、柔らかなポリプロピレン0.2mmのシートを輪にしたもの。柔軟性があるから、束ねた紙厚より少し大きなだけのリング径で綴じられる=綴じノート並みに薄くできるというわけだ。そしてこの柔軟性と薄さによってもう一つ、リングに手が乗り上げても痛くない! という大きなメリットも生まれる。

↑手が乗り上げてもほぼ違和感のないソフトなリング。これなら左ページも無駄にせず書けそう

 

筆者はリングノート好きなのだが、右手がリングを乗り上げる感触にどうして耐えられない。なので、基本的にノート左ページはないものとして扱う、という贅沢極まりない無駄な使い方になってしまうのだ。これまではその対策としてコクヨの「ソフトリングノート」(プニプニとして柔らかな樹脂リングで、手が乗り上げても痛くない)を使っていたんだけど、ようやくもう一つの選択肢として、「ソフィーチェノート」が選べるようになったわけ。実際、乗り上げても痛くないどころか、ほぼリングの存在を感じないレベルで、これはとても書きやすい。

↑最終ページには1枚ものの資料やふせんなどを収納できるオープンポケット付き。これも地味に便利だ

 

↑ノートを分解するときはハサミでチョキチョキ。同社の「ツイストノート」に綴じ直すのも簡単だ

 

ハサミでリングを切って分解することができるため、バラした用紙は同じくリヒトラブのツイストリングなどに綴じなおすのが簡単、というのもメリットとして挙げられる。持ち歩きノートは軽快な「ソフィーチェノート」で、情報は「ツイストノート」にまとめなおす、という使い方はなかなか便利だと思う。ちなみにノート自体を廃棄するときは、(自治体にもよるが)だいたいはそのまま燃やせるゴミとして出してOKだ。

 

2.裏表紙を使ってリングをバラせるエコな「ココチィ」

ノートを廃棄する、という話が出たついでに、もう一つ新しいノートを紹介しておこう。こちらは金属リングをバラす特殊機能を搭載したリングノート、マルマン「COCOCHY」(ココチィ)だ。

マルマン
COCOCHY(ココチィ)
B5 270円/A5 220円(ともに税別)

 

リングノートは、基本的にそのまま廃棄することはできない。金属のワイヤーリングと紙類(表紙と用紙)に分別する必要があるからだ。しかし、リングを分解する専用のリムーバーは市販されているとはいえ、一般的なものとは言い難い。というか、持っていたらそこそこ文房具マニアだなー、というレベル。

↑ちなみにこれがそのリングノート用リムーバー(リヒトラブ)。単純な道具だけど、まず普通のご家庭には無いはず

 

↑でもご安心。「COCOCHY」には、裏表紙に同様のリムーバー機能が備わっているのだ

 

「COCOCHY」を廃棄する際には、まず裏表紙部分からミシン目に沿って、四つ葉のクローバーのような形状のパーツを切り出す。これを説明書(1ページめに付属)の通りに数回折ることで、紙製のリング分解ツールが出来上がる、という仕組みだ。

↑まずはパーツの切り出し。表紙はかなり頑丈な紙なので、ミシン目で切るにしてもわりと力が必要だ

 

↑説明通りに折ると、こんな感じに。これがリムーバーとして機能するのだ

 

↑グイッと差し込んでいくと、リングが合わせ目から押し広げられていく

 

あとは先端をリングの合わせ目に差し込んでグググッと引き進めると、きれいにリングが開いて、表紙と用紙を取り出すことができる。リングは燃やせないゴミ、紙は燃やせるゴミとして分別完了だ。(もちろん、紙はツイストリングに綴じなおしても良し)

↑作業自体は5分もせずにあっさり完了。これで不要となったリングノートも分別廃棄できる

 

SDGs的な話としては、表紙・用紙ともにFSC認証材(植林などを管理された森林の木材)や再生資源から作られているため、サステナブルさに関しては文句なし。さらに表紙はプラ代替素材である「FSエリプラ+」で、耐水性・耐油性も充分。紙なのに手汗で湿ってもうねりにくく、多少の汚れはサッと拭き取ることができる。

↑かなり頑丈な「FSエリプラ+」紙の表紙。水しぶきぐらいならサッと拭き取るだけでOK

 

そもそも用紙の紙質自体はマルマンクオリティということで、やや薄めながらコシがあり、裏抜けもしにくい。書きやすい良いノートで、かつ意識高めに使えるというのは、今後のノート選びのポイントになりえるだろう。SDGsが強く謳われる今、紙製品は使った後のことまで考える必要があるのだ。