文房具
2023/4/7 17:00

1万円を切る「スマホ連携テプラ」を家で使い倒す10のアイデアとは? 編集者が実際に使ってレポート!

スマホが暮らしの中心に居座って久しい。ラベルライターの代名詞「テプラ」といえば、小さなキーが並んだ本体をイメージする人が多いかもしれないが、ご多分にもれずテプラにも、スマホと連携するモデルが生まれた。キーを廃したスッキリした見た目とともに、専用のスマホアプリによって豊富なテンプレートを駆使しながら、簡単に多彩なラベルを作れるようになったのだ。

 

ちなみにテプラにおけるスマホ連携タイプは、感熱式のテープを使用する「〈テプラ〉Lite LR30」(文房具総選挙2020の分類する・印をつける部門で第3位)を皮切りに、「〈テプラ〉PRO SR-MK1」通称 “MARK”(文房具総選挙2021のデジアナ文房具部門で第1位)が、上位シリーズPROモデルとして登場。

 

“MARK” は同時にリリースされた専用アプリ「Hello」のテンプレートの充実ぶりと、そのテンプレートのデザインを繊細に表現できる高精細ヘッド、プロダクトデザイナー・柴田文江氏が監修したインテリア性の高いデザインなど、実用一辺倒だったテプラのイメージをいい意味で裏切ったモデルである。

↑左が“MARK”(税込1万8700円)、右が新モデルの「SR-R2500P」

 

そして2023年に登場したのが「ラベルプリンター〈テプラ〉PRO SR-R2500P」だ。“MARK” と同様スマホと連携し、十分な基本機能を有しながら8800円(税込)と、数万円するモデルが相次いでいたテプラにおいて、1万円を切るエントリーモデルとして投入された、間違いなく注目のモデル。事実、今回「文房具総選挙2023」にもノミネートを果たしている。

文房具総選挙2023「分類する・印をつける」部門にノミネート

 

ということで、今回は「SR-R2500P」を実際に自宅で使い、エントリーモデルらしからぬお値段以上の価値を探ってみたので、ぜひ参考にしてほしい。

 

キングジム
ラベルプリンター「テプラ」PRO SR-R2500P
8800円(税込)

2023年1月下旬、“スマホテプラ” に仲間入りしたエントリーモデル。手頃な価格ながらPROシリーズにラインナップし、テープは耐光性に優れるインクリボンへの熱転写式。扉を開けてテープを出し入れでき、窓から中のテープを確認できる点は “MARK” と異なる。

 

・手軽に移動させられる電池駆動

本体サイズは約幅134×厚み54×高さ145mmで、上の写真で確認できるように “MARK” とほぼ同じサイズ。別売りの単三形の乾電池か充電池6本で駆動する。ACアダプタがないので部屋のなかでのちょっとした持ち運びも簡単だ。

 

・スマホとBluetoothで連携

「テプラ」の電源をオンにし、スマホのBluetooth設定画面から「SR-R2500P」を選んでタップすれば、スムーズに接続される。

 

・対応するテープカートリッジは4〜18mm幅

対応するテープ幅は418mm。基本の白ラベルをはじめ、りぼん、アイロン転写ラベルなど、使えるテープカートリッジはPROシリーズ用の28種、テープ幅も含めると250種超となる(20234月時点)。

 

・iOSとAndroidのそれぞれに対応したアプリを2種用意

専用アプリは「Hello」「TEPRA LINK 2(テプラリンク2)」に対応。

 

↑「TEPRA LINK 2」はいわば“マニュアル操作”。アプリを開くと設定内容が一覧でき、そのまますぐにラベルを編集、印刷できる。UIは至ってシンプルで、使う人を選ばない

 

↑もうひとつのスマホアプリ「Hello」でも一から設定しラベルを作れるが、特徴は豊富なテンプレートからデザインを選べること

 

「Hello」には、おしゃれなテンプレートがシーンごとに用意されている。従来のラベルだと視認性は高いがちょっと味気ない、と感じていたなら、「Hello」で好みのテンプレートを探し、必要な部分を編集すればおしゃれなラベルを即作成できるのだ。

 

以降のレポートでは、アプリはこの「Hello」の方をおもに使って、家のなかのさまざまなラベリングのアイデアを見つけてみた。まずはキッチンから。

 

01.形や容器がバラバラなフードコンテナはテンプレのデザインで統一

食品やツールなど、効率的な整理収納が欠かせないキッチン。とくに食品はフードロスを減らすためにも、ラベリングでどこに何があるのか、自然と目に入るようにしたいもの。「キッチン」カテゴリに用意されたテンプレートから選んで印刷。ラベルの色・幅・デザインの統一感があれば、キッチンにも統一感が生まれる。

 

↑「テンプレート選択」>>「キッチン」から同じ構成で複数柄を用意したテンプレをチョイス

 

↑中身によって柄をそれぞれ割り当て、「Hello」らしい遊び心あるデザイン性を取り入れた

 

02.同じラベルを一括作成! さらに角丸ではがれにくく

続いて、スパイスの小さな瓶。いくつもあると、一見するとどれがなんだかわからず、使う時は地味に面倒だ。それぞれラベルで表示すればわかりやすい! といたってシンプルなハナシ。貼れる面積が小さめなので、枠線でデザインされたすっきりしたデザインのテンプレートで統一。「一括作成」を使えば、同じテンプレートで異なる文言を一気に編集・印刷が可能で、時短になる。

 

↑「一括作成」からテンプレートを選択。印刷枚数は必要な分だけ追加でき、テキストを編集するのみ。何度もテンプレ選択画面に戻る手間なく、一気に印刷できる

 

↑ちなみに、何度も手で触れることでテープがめくれないよう、四隅は別売りのハサミ型トリマー(RT36W)で角を丸くカット

 

03.「マットラベル」を選んで上からボールペンで書き込み

文房具総選挙にノミネートする本商品。続いて、文房具に関連して活用を試みた。まずは小物を整理収納するボックスにラベリング。表面がマットなラベルを使えば、紙箱でも質感を損なわないうえ、上から油性ボールペンなどで書き込めるので、日付などを空欄にしたテンプレートを選べる。

 

例えば過去の旅行で溜まったポストカードやチケット、パンフレット、現地の通貨などをまとめてイン。旅先はあらかじめプリントしたが、ここに日付を付記して、中身をわかりやすく、また記憶を辿りやすくできる。

 

↑「テンプレート選択」>>「リビング」に用意された、日付とナンバリングが記せるテンプレート

 

04.透明&マットラベルで下地を重ねたり色をのせたり、彩りをプラス

Helloは、趣味や日々のトレーニングを記録するためのテンプレートも豊富。手書き調にデザインされた日付やキーワードのフォントを組み合わせれば、イラストが苦手なユーザーでもおしゃれにデコれるので、記録すること自体が楽しくなりそうだ。

 

使うテープカートリッジは、こちらも断然、透明のマットラベルがおすすめ。上から書き込みができるだけでなく、下の文字を活かしたり下に色柄を敷いたりできるので、手帳を自作する際に重宝する。

 

↑「一括作成」>>「テンプレート選択」>>「手帳」に進み、複数ある日付ラベルからチョイス。一括作成により「MON」(月曜日)から「SUN」(日曜日)まで一気に作成でき、数字を編集するだけ。透明ラベルなら写真のように、マスキングテープを貼った上からラベルを貼り重ねることで、華やかさを出せる

 

ラベルにカラーをのせる場合は、油性ペンか色鉛筆がおすすめだ。ラベルの上から塗るとほんのり、下に仕込めばくっきりと、発色の違いも楽しめる。

 

05.見た目にも配慮して“自分印”をつけ、取り違いをなくす

リビングや洗面所で、家族のアイテムを整理したり共有したりする際にも、「SR-R2500P」とHelloの組み合わせが活躍。オリジナルの絵文字を豊富にラインナップしているのもHelloのメリットで、例えばお揃いで使用者がわからなくなりがち、でも間違えられたくない歯ブラシや化粧品などには、“自分印”として決まった絵文字をラベリングしておく、という解決策がある。

 

ちなみに、「SR-R2500P」でラインの細い手書き調イラストを選択する場合は、テープ幅は9mm以上を選ぶと線がきれいに表現されやすい。

 

06.絵文字で定位置を示し、お片づけのくせづけに

家に子どもがいる場合は、忘れ物防止や片付けに「SR-R2500P」とHelloが味方してくれる。例えば、いつのまにか散逸してしまう図鑑。しかも全巻が揃っていない場合はますます行方不明になりやすいが、分厚いので比較的定位置も決めやすい。テキスト編集で数字ラベルを作ったり、Helloにアップされた絵文字を使ったりして、マーキングしてあげると片付けがはかどる。

 

↑恥ずかしながら、こちらがBefore

 

↑After。巻数がある場合は、なるべく似たフォントで整理してあげるとわかりやすい

 

↑図鑑のテーマに合致した絵文字で場所を知らせる、という手もある

 

こうして「テプラ」を使って物の定位置を決めてあげることで、子ども自身で片付けをするきっかけを作れる。

 

07.「マグネットテープ」に印字して持ち物カードを自作

忘れ物をなくすためには、玄関や勉強机の上などに持ち物リストをつくっておくのがおすすめ。「SR-R2500P」で「マグネットテープ」に印字し貼り剥がしが簡単なステッカーにしてしまえば、ホワイトボードを使って必要な持ち物が一目瞭然に。空いたスペースにはもちろん、マーカーでメッセージなどを書き込むことも可能だ。

 

↑「SR-R2500P」はエントリーモデルながら、テープ幅さえ合えばマグネット付きラベルなどちょっと変則的なテープにも対応

 

08.同時発売の「クラフトラベル」でギフトにメッセージをオン

「SR-R2500P」の発売と同時で、新ラベルのクラフトラベルが「テプラ」PROテープカートリッジに追加された。これを使えば、ちょっとしたプチギフトにも雰囲気のあるラベルで思いを込められる。「テンプレート選択」>>「デコレーション」に進み、好みのテンプレを選択。ギフトに添えたいテンプレートがたくさんアップされている。

 

09.好きな格言を整った文字でさりげなく仕込む

Helloに豊富な手書き調イラストを使おうとすると、必然的に太めのテープカートリッジを使うことになるが、あえて細めのテープに級数小さめに文字を配してプリントしてみたい時もある。先人の名言や格言を、自分だけにふと目に入る場所に仕込むようにしてはいかがだろう。手書きではなくフォントを使うことでフラットな気持ちで受け止められるのも、ささやかながらメリットだ。

 

↑完全なマニュアル操作では、「TEPRA LINK 2」に軍配が上がる。今回はテープ幅の割にテープ長が長くなったため、テープ幅ごとにテープ長が固定されている「Hello」ではなく、「TEPRA LINK 2」を使用した

 

10.高精細ヘッドで手書きイラストをラベル化

10個目のアイデアは、冒頭で紹介した “MARK” に譲りたい。ここまで紹介してきた「SR-R2500P」より、“MARK” の本体価格が約1万円高い理由に、テープ幅24mmにも対応している、また360dpiの高精細ヘッドを搭載しているということがある。

 

↑“MARK” の対応テープ幅は4〜24mm。写真は上が24mm、下が4mm。テープ幅のバリエーションが広い分、用途も広くなる

 

上の写真を、冒頭の「SR-R2500P」で印字した4mm/18mmラベルの写真とよくよく比べてみると、“MARK” のほうが印字のエッジがくっきりしていることがわかるだろう。搭載する高精細ヘッドにより、この“繊細なラインも表現できる”というメリットが発揮されるのが、手書きイラストや写真を印字できる機能である。

 

↑「クラフトラベル」に子どものイラストと手書きメッセージを印字。心温まる、唯一無二のラベルになる

 

↑手書きのイラストや文字をスマホの写真フォルダに保存し、「Hello」に取り込むだけ。気に入ったテンプレートにレイアウトし、濃度を調整して完成だ

 

「Hello」にあらかじめ用意されたテンプレートは、長年の「もうちょっとオシャレなラベルを作りたい」というニーズに着実に応えたが、ユーザーオリジナルのコンテンツがラベルになる、これもまたもうひとつの楽しみだろう。

 

 

このように “MARK” には1万8700円なりの価値があるわけだが、翻って「SR-R2500P」は、解像度こそ “MARK” に及ばないものの、同じスマホアプリを使えることで、キッチンや洗面所の整理から子どものお片付け、自身の手帳づくりまで、エントリーモデルながら家中で八面六臂の活躍ぶり。これは、お値段以上の価値がある、と言って間違いないだろう。

 


キングジム
ラベルプリンター「テプラ」PRO SR-R2500P
8800円(税込)

 

 

文・写真/和田史子(GetNavi web編集部) 写真/湯浅立志 [商品]