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2024/4/5 18:00

ペン先がブレないだけじゃない!ゼブラ「ブレン4+S」の“隠れ”機能で強化された価格以上の使い心地

2019年に発売されたゼブラ「ブレン」は、ノック式ボールペンでは避けられないとされていた “筆記時の微細なペン先ブレ” を解消した、非常に高機能なボールペンだ。実際に書いてみると、確かにブレない……むしろ、他のボールペンってこんなにブレてたのか!? と、気付かされたほどだ。高い剛性感で長時間の筆記が快適になるということで、発売後すぐに多くのファンを獲得したのも納得である。

 

3色の「ブレン3C」、2色+シャープの「ブレン2+S」と、多機能化によって展開を広げてきた同シリーズだが、ついに多機能のMAXモードとも言える4色+シャープ(S)を搭載した「ブレン4+S」が発売された。シャープユニットと合わせて合計5本ものリフィルを詰め込んでもなお、低重心でブレのない筆記感を生み出す「ブレンシステム」は従来通り機能するのか?

 

今回は、4+Sでブレン独自の “どっしりしつつなめらか” という希有な書き味が感じられるのかどうかを中心に試用してみた。

 

ついに登場、ブレンの4色+シャープ

2024年2月末に発売されたゼブラ「ブレン4+S」は、冒頭でも述べたとおり、お馴染みブレンシリーズの最新ラインナップとなる多機能ペンだ。機能の配置は、まず長楕円になっている軸後端の円周に黒・赤・青・緑のエマルジョンインクのサイドノックが並び、楕円頂点にあるクリップがシャープのノックを兼用している。4+Sの構造として珍しいものではないが、もともと楕円をイメージしているブレンのフォルムからは大きく変えずに、各ノックを配置したデザインはなかなかに上手い。

ゼブラ
ブレン4+S(0.5mm/0.7mm)

1000円(税別)

 

グリップは実測で直径約13.3mmと、かなり太軸。とはいえ、ブレン3Cと比べると、2機能も追加されたほどの太さは感じない(後端のサイズはかなり違うが)。これは、軸の板厚を強度が落ちないギリギリにまで薄くする、というスリム化の工夫の賜物のようだ。また、デザイン的に凹凸が少ないので、すっきりスリムに対する視覚的要素もあるだろう。

↑軸後端から見たノック配置。周囲に4色ノック+シャープ用クリップノック計5機能を備えている

 

↑ブレン3Cとの比較。軸径自体は「確かに4+Sの方が太いかな?」程度の印象。ただし、ノック機構が集中する軸後端にはかなりサイズ差があった

 

↑比べて見ると、4+Sは軸の肉厚がかなり薄くなっている。これで内径を稼いで5本のリフィルを詰め込んでいるのだ

 

握ってみると、筆記時の安定感はかなり高い。これは、前軸全体に金属パーツを取り付けたことで、思い切った低重心化を果たしているからだ。多機能ペンはどうしても機構が後ろに集まってしまうため、重心位置が高くなってフラフラしがち。そこをしっかり抑え込めていることには “ブレンらしさ” を感じられた。

↑多機能ペンとしては画期的なぐらいに重心バランスが取れており、安定していて握りやすい

 

何より、ブレンらしさといえば、ペン先のカチャカチャとしたブレをどこまで抑えられているか、が重要なところ。多色/多機能ペンは、軸の内縁からペン先に向けてリフィルを突き出すという構造上、どうしても飛び出したペン先が傾くし、その分だけ口金の先端でブレが生じやすい……というか、ブレをゼロにするのはかなりの無理筋と言えるだろう。

 

もちろん、ブレン4+Sも、ブレを完全に抑え込めているとは言い難いが、口金先端でリフィルをホールドするダイレクトタッチがきちんと効いているので、他の多機能ペンと比べたら、圧倒的にガッチリと剛性感のある書き味となっている。この差は、誰でもはっきり体感できるはずだ。

↑前軸は口金まで通して金属化されており、重心位置を下げるオモリとして機能している

 

特に、ペン先を紙に当てたときの “逃げ” がないので、手帳などの小さい紙面でも狙った位置からピタッとズレなく書き始められるのはとても快適。この辺りは、3Cや2+Sから変わらず、「さすが多機能でもちゃんとブレン!」といったところだ。

↑先端の白いパーツでリフィルを包んで口金との隙間を無くし、カチャカチャとしたブレを抑制している

 

↑剛性感のあるブレの少ない書き味は、細かい文字をびっしり書いたり、長時間筆記したりする際のストレスを軽減してくれる

 

シャープペンシルの芯出しノックはクリップ部で併用

シャープペンシルを使う際は、クリップ部をグッと押し込んでペン先を出し、さらにそこからもう一段階の押し込みで芯出しノックとなる。ただし、多機能の構造上、どうしてもペン先を出した時点でクリップが少し軸側に引き込まれてしまうため、手がかりが減って、芯出しノックが少々やりにくいようには感じた。正直、これは慣れるか、自分なりに押しやすい方法を模索するしかないだろう。

↑シャープノックは、この状態からノブをもう一段階カチッと押し込んで芯出しを行う。正直、指のサイズが大きい人には押しにくい

 

芯の補充については、一般的な多機能と同じく、前軸を外してからシャープユニット自体を抜き取って行う。ユニット自体が細いので、芯は最大でも2本ぐらい。無理をすると簡単に詰まってしまうので、ほどほどでおさめておいたほうが安心だろう。

 

ブレないだけじゃない、細かな機能も山盛り!

シャープ機能で意外と気付かれていないのが、軸後端のキャップをポコッと引っ張り外すと出てくる消しゴムだ。消しゴム自体はサイズが小さくて超便利! と言うほどではないが、あって嬉しいおまけ要素と言えそう。

↑実は気付いている人が少ない、軸後端の消しゴム。2+Sには無かった嬉しいサービスだ

 

さらにもうひとつ、おまけ要素として嬉しかったのが、クリップが可動式のバインダークリップ仕様なところ。多色/多機能は手帳とセットにするケースが多いので、厚めの表紙でも挟んでおけるバインダークリップがあると地味に助かるのである。

↑ゼブラの4+Sには必須のバインダークリップ。手帳との相性が良いので、重宝することが多い

 

思い返せば、ゼブラの多機能4+S「クリップ-オン マルチ」「サラサマルチ」「スラリマルチ」には、可動式バインダークリップが搭載されている。どうやらゼブラには「4+Sにはバインダークリップが必須でしょ!」と、いう感覚が共有されているようだ。もちろん、ユーザー的にもありがたいので、ぜひ今後もその線で続けていただきたい。

 

4色+シャープが、低重心かつペン先がブレないブレンシステムで書きやすく、さらに消しゴムとバインダークリップというおまけまで付いている……まさに機能盛り盛りである。これだけ機能が盛り込まれていて、税込1100円はコスパがかなり高い。

 

特に、ペンケース無しで1本だけ筆記具を胸ポケットなどに差して持ち歩きたい派(これは意外と世間的にマジョリティなのだ)には、ドンピシャで刺さること間違いなしだ。本記事を読んでなんとなくピンと来た人は、迷わず購入を決めて損はないだろう。