ベテラン自動車ライターのMJブロンディとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回はクルマメディアの間でも評価の高いスズキのグローバルコンパクトを試した!
【登場人物】
MJブロンディ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっている。
安ド
元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。
【今月のクルマ】スズキ スイフト
安ド「殿! 今回はスズキの世界戦略車スイフトです!」
MJ「うむ。世界戦略車も3代目。変革の時期だな」
安ド「それででしょうか?先代までに比べると、スタイリングの印象がかなり変わりましたね」
MJ「繁盛した商売も3代目が潰すと言われるが、同じ方向性で3代続けると堕落することが多いからな」
安ド「なるほど!それでスズキは、堕落を避けるために大きく変えたんですね! ボクはこの顔、好きです!」
MJ「ワシはあまり好きではない」
安ド「ガクー!先代までの毒にも薬にもならない感じより、エグくていいんじゃないでしょうか?」
MJ「先代までの端正な美しさと比べて、どこか邪道感がぬぐえん」
安ド「ボディサイドのラインも抑揚があってキレイだなーと思いますけど」
MJ「機能とは無関係な、変化のための変化に見える」
安ド「キビシイですね〜」
MJ「と言っても、同クラスのライバルたちに比べればレベルは高い。さすがスズキの世界戦略車だ」
安ド「どっちなんですか!」
MJ「新型スイフト最大のトピックは、恐るべき軽量化だ。先代より120kgも軽くなっている」
安ド「そうなんですか?その割には遅かったなぁ。今回乗ったのは1200ccの自然吸気ハイブリッドですが、1000ccターボもありますね。そちらならもっとパワフルなんでしょう?」
MJ「あのターボエンジンはダメだ」
安ド「ガクー!数字を見ると結構パワフルそうですが」
MJ「日本仕様はレギュラーガソリン仕様にしたことで、トルクの太さがガックリ削がれている。小排気量ターボはハイオクでないとトルクが出せないのだ」
安ド「では、1200ccのハイブリッドで正解なんですか?」
MJ「正解だ。車体が軽いから十分走ってくれるぞ」
安ド「そうかなぁ……。実燃費も17km/リットルくらいで、いまひとつでしたけど」
MJ「そんなことはない。17km/リットルいけば十分だ」
安ド「ハイブリッドですよ! 20km/リットルは超えてほしいです」
MJ「これはハイブリッドと言っても、スターターモーターが発進の手助けをするだけの簡易型。そのぶん価格も安い。17km/リットル走れば十分だ。ただ、気になったことがある」
安ド「内装の質感ですね! これで欧州のコンパクトと戦えるのか、ちょっと心配になりました」
MJ「内装はいい。問題はボディのしっかり感が若干足りないことだ。軽量すぎて、しなやかさはあるがガッチリした剛性感が足りぬ。これで欧州のライバルと戦えるか心配だ。改良を望みたい」
安ド「望みたいですね!」
MJ「間もなく登場するはずのスイフトスポーツに期待だな」
【注目パーツ01 フロントマスク】
個性的で強い印象を与える顔に一新
大きなグリルの下側が黒くえぐられているなど、全体的に凹凸が激しくなり、まるで宇宙人みたいな顔になりました。スポーツグレードでは、グリルの真ん中に赤いラインが入っており、いいアクセントになっています。
注目パーツ02 ヘッドランプ
自動点灯してくれる便利なライト
見た人にキツめの印象を与えるツリ目型デザインです。しかしトンネル進入時や夜間走行時に自動で点灯や消灯をしてくれる、ドライバーにはやさしいライト。さらにLEDなので省電力で財布にもやさしいです。
注目パーツ03 マイルドハイブリッド
スズキ独自のシステムでエンジンをモーターが補う
「ISG」と呼ばれるモーター機能付きの発電機とリチウムイオンバッテリーをエンジンに組み合わせた、スズキ独自のハイブリッドです。プリウスなどのシステムと違って補助的なもので、低燃費なのはエンジン自体の実力でしょう。
注目パーツ04 足まわり
スポーツコンパクトらしいセッティング
欧州で通用させるべく、歴代モデルでは固めの引き締まった足まわりを採用してきました。今作は優れたサスペンションに加えて、軽量高剛性なボディを採用しているので、しなやかな乗り心地も獲得しています。
注目パーツ05 アダプティブクルーズコントロール
高級車御用達装備を小型車に
先行車との速度差や車間距離を測定しつつ、設定した一定の速度で自動的に加減速するという、高級車によく付いている装備です。全グレード標準搭載ではないですが、小型車でも快適に高速道路を走れます。
注目パーツ06 マルチインフォメーションディスプレイ
パワー&トルクやGまで表示
メーター中央には高精彩な4.2インチのディスプレイを備えています。ここには各種走行関連情報が表示されますが、エンジンのパワー&トルク情報や走行中に車体が感じたGの履歴まで表示されるのは珍しいです。
注目パーツ07 リアフォグランプ
見通しの悪い道で効果を発揮
リアのフォグランプは霧の多い北欧などでは重宝される装備。やはりスイフトは欧州をバックグラウンドに開発されたモデルということで、日本では搭載が義務づけられていないリアフォグも搭載されているようです。
注目パーツ08 インパネ
ドライバーのためにすこしだけ傾斜
初代、2代目モデルで“走りのいいコンパクト”というイメージを獲得しただけに、今作ではインテリアもドライバー中心の設計がなされています。カーナビやエアコンスイッチが運転席側に5度傾斜して配置。
注目パーツ09 デュアルセンサーブレーキサポート
小型車でもしっかり“自動ブレーキ”
単眼カメラとレーザーレーダーを組み合わせた衝突被害軽減システムを、スズキ車としては初採用しています。同時に、誤発進抑制機能や車線逸脱警報機能なども搭載され、一気にハイテクマシーンと化しているのが特徴。
注目パーツ10 Cピラー
デザインのキモとなるブラックアウト
ピラーとは窓と窓の間の柱のことですが、前からA、Bときて、3番目のCピラーまですべてブラックアウトされています。デザインの狙いはルーフが浮いているかのように見せることで、屋根の高さを感じさせません。加えて、リアのドアノブをCピラーに隠すことで、まるで2ドアクーペのように見せています。