乗り物
自転車
2018/3/22 20:45

“帰りにちょっと一杯どう?”はもう古い! アフタービジネスの「スポーツイベント」が流行の予感

昨今、増え続ける医療費の抑制を目的として、日常生活のなかで歩く時間を増やそうという官民連携プロジェクト「FUN+WALK」などのスポーツを通じた健康増進政策が注目を集めています。また、政府が主導する「働き方改革」により余暇の増加が見込まれ、増えたプライベートな時間をスポーツに費やす人も増えると予測されています。

 

このような時流を転機とし、スポーツ市場の拡大を目指してイベントなどを企画する企業が増加。今回は、ビジネスマンをターゲットにスポーツバイクの試乗体験会を開催した自転車専門店あさひのイベントのレポートをお届けします。

 

夜景を楽しめるNIGHT RIDE

「サイクルベースあさひ」を展開するあさひは、都市型サイクリングイベント「NIGHT RIDE」の第1弾として、ビジネスマンを対象としたビギナー向けサイクリング体験会「TOKYO NIGHT RIDE」を3月7日に開催しました。

 

ロードバイクに乗って夜の街を駆け抜け、ライトアップされた東京タワーをまわるなど、都心の“夜景”を楽しむことができるという今回のイベントは、日ごろの運動不足やストレスを抱えるビジネスマンを対象に、スポーツサイクルを楽しんでもらいたいという思いから企画されたもの。会場となったのは、東京・五反田のサイクルベースあさひ五反田TOC店。参加費は無料で、事前に抽選で選ばれた10名が参加しました。

 

 

当日は3月の肌寒い日でしたが、参加者には無料でサイクリングウェアや防寒着、ヘルメットなどが貸し出され、持参するのはシューズと飲み物だけでOK。仕事帰りでも手軽に立ち寄ることができます。

 

出発前のオリエンテーションでは、今回の試乗会を先導してくれる同社のインストラクターから、グループサイクリングに必要な手信号(ハンドサイン)のレクチャーが行われました。走行中、片手を水平に伸ばすと「左折します」または「右折します」の意味。地面を指差すと「障害物や落下物などがあるので注意」。また、今回はビギナーが多いことから、停止をわかりやすくするため、片手を上に挙げて「止まります」と声に出すことに。これを走行中に、前の人から後ろを走る人に伝えていきます。集団でのサイクリングが初めての人でも安心して走ることができるよう考えられていますね。

 

レクチャーが終わると、自転車のセッティングを開始。今回用意されたのは、2月に発売されたばかりのあさひのオリジナルロードバイク「PRECISION R」と、その上位モデル「PRECISION RS」の2モデル。

 

↑PRECISION R(マットブラック)

 

この「PRECISION R/RS」は本格的なスポーツバイクの設計を採用しながら、10万円を切る価格を実現したハイコストパフォーマンスがウリ。販売価格は「PRECISION R」が6万9980円、「PRECISION RS」が8万9980円となっています。

 

身体を動かして気分転換

店舗の外に用意された自転車を、参加者1人1人の身体に合わせて調整します。そのあいだに、今回のイベントに参加された方にお話しを伺うことができました。

 

赤いウェアがお似合いの田中 敦さんは、自転車情報を扱うインターネットサイトを見て、今回のイベントに応募されたとのこと。すでにロードバイクを所有されており、週末には50~60kmほど走ることもあるそうですが、平日の夜に街中を試乗できるいい機会と考えて応募を決められたそうです。

 

このほか、ロードバイク未経験で購入前に試乗してみたかったという方や、職場が近かったのでという方など、参加の理由は様々。しかし、共通していたのは「仕事の帰りに寄れそうだったので」ということでした。自宅から自転車で通勤するのはハードルが高そうですが、このような形なら平日でも気軽にサイクリングを楽しめますね。

 

各自の自転車のセッティングが終われば、準備運動で身体を温めていざ出発。今回は、五反田から芝公園に向かい、東京タワー下をまわって再び五反田に戻ってくる全長約9kmのコースを、途中休憩をはさみながら1時間20分程度で走ります。

 

19時にスタートして、終了は21時前後なので、自宅が都心から離れている方でも安心して帰ることができます。都会の夜景を見ながら気持ちいい汗をかけば、帰宅途中でお酒を飲むよりも仕事のストレスも発散できるかもしれませんね。

 

平日にもっとスポーツに触れる機会を

イベントを企画された株式会社あさひ営業企画チームの佐藤千夏さんに、今回のNIGHT RIDEの狙いを伺いました。

 

――今回のイベントはどういった意図で企画されたのでしょうか?

「弊社では、これまで主に週末にサイクリングイベントを実施してきましたが、忙しい働き盛り世代の男性にはなかなか参加して頂けませんでした。そこで平日の仕事のあとにスポーツを楽しんで頂きたい、という思いから今回のイベントを考えました」

 

――これまでもこのような夜間のイベントを開催されたことはあるのでしょうか?

「いえ、今回が初めての試みです。夜に都心を走るのは怖い、という声もありましたが、インストラクターを含めたグループでサイクリングすることで、安心して夜間の走行を楽しめるようにしています」

 

――今後、イベントではなく通常のサービスとして、例えば皇居ランナーに着替えスペースやシャワー施設を提供するランニングベースのようなサービスを展開していく予定はありますか?

「今後もこうしたイベントは定期的に行っていきたいと考えてはいますが、ランニングベースのような施設運営はいまのところ検討しておりません。まずはロードバイクに実際に乗って頂いて、スポーツサイクリングの楽しさを体験して頂く機会を提供したいと考えております。また、弊社は全国に493店舗を構えておりますが、そのうち4割程度の店舗でスポーツサイクルの取り扱いを強化しています。そのなかでもスポーツスペシャリティストアというスポーツサイクル専門の店舗も28店舗あり、そちらではサイクリングイベントやスポーツサイクルのレンタルサービスなども実施しています」

 

――こちらの五反田TOC店もスポーツスペシャリティストアなのですか?

「いえ、スポーツスペシャリティストアは郊外の店舗がほとんどで、都心部では展開しておりません。ただし、この五反田TOC店も従来はファミリー向けがメインでしたが、最近ではスポーツサイクルやアクセサリーの取り扱いを増やして、スポーツサイクルの需要の増加に対応しています」

 

「仕事帰りにスポーツなんて、とても無理」、「道具や着替えを用意するのが大変」とお考えの人は、手始めにこうした企業が開催するスポーツイベントに参加してみてはいかがでしょうか? ストレスを発散できるだけでなく、仕事以外の人脈や趣味の友人を作るいい機会にもなりそうです。