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2018/7/30 18:00

実に「絵」になる鉄道路線!! フォトジェニックな信州ローカル線の旅【長野電鉄長野線】

【鉄道好き向け乗車記】長野駅から湯田中駅まで撮りどころは?

長野電鉄長野線の始発駅はJR長野駅西口の地下にある。JR駅を出てすぐのところにあり便利だ。行き止まり式のホームからは、朝夕が特急を含めて15分間隔、日中は20分間隔で列車が発車する。

 

特急は一部列車を除き湯田中駅行き、普通列車は須坂駅もしくは信州中野駅行きが出ている。

↑長野駅の西口を出てすぐ目の前にある長野電鉄長野駅の入り口。こうした造りは都市と近郊を結ぶ都市鉄道の起点駅といった趣だ

 

↑長野電鉄長野駅の地下ホーム。停まるのは2100系「スノーモンキー」と8500系。8500系はいまも東急田園都市線で現役として活躍する車両だ。長野電鉄では2005年から走る

 

長野市街は地下路線が続き、3つ先の善光寺下駅まで地下駅となる。善光寺下駅の先で始めて地上へ出る。長野駅から朝陽駅まで複線区間が続き、しなの鉄道の路線などと立体交差する。朝陽駅から先は、単線区間となり、柳原駅〜村山駅間で千曲川を越える。

↑長野駅〜朝陽駅間は複線区間となっている。2100系「スノーモンキー」と8500系がちょうどすれ違う。写真の桐原駅近くでは都市路線らしい光景が見られる

 

25分ほどで須坂駅に到着する。ここには車両基地があるので、ぜひとも降りて見ておきたい。先の3500系などの保存車両や、古い転轍器などにも出会える。

 

須坂駅からは、ローカル色が強まる。長野ならではリンゴ園も沿線に多く連なる。

 

須坂駅から乗車7分ほどで小布施駅(おぶせえき)に到着する。小布施といえば、名産の栗、そして江戸時代には地元の豪商、高井鴻山(たかいこうざん)が葛飾北斎や小林一茶が招いたことで、独自の文化が花開いたところでもある。

 

そうしたうんちくにうなずきつつも、鉄道好きならばホームの傍らにある「ながでん電車の広場」に足を向けたい。ここには現在、特急として活躍した長野電鉄2000系3両が保存展示されている。車内の見学もできる。

↑小布施駅の構内にある「ながでん電車の広場」。長野電鉄オリジナルの特急型電車2000系が保存展示される。傍らの腕器式信号機もいまとなっては貴重な存在を言えるだろう

 

信州中野駅から先は、長野線の閑散区間となる。長野駅から湯田中駅まで直通で走る普通列車はなく、途中の須坂駅か信州中野駅での乗り換えが必要となる。

 

信州中野駅〜湯田中駅間では、朝夕30分間隔、日中は特急を含めて1時間に1本の割合で電車が走っている。本数は少なくなるものの、信州中野駅〜湯田中駅間には絵になるポイントが多く集まっている。

 

まず夜間瀬川橋梁。左右に障害物のないガーダー橋で、橋を渡る車両が車輪まで良く見える。もちろん撮影地としても名高い。車内からは高井富士とも呼ばれる高社山が良く見えるポイントでもある。

↑夜間瀬川橋梁を渡る2100系「スノーモンキー」。元JR東日本253系で、特急「成田エクスプレス」として走った。長野電鉄では2編成が入線、4人掛け個室(有料)も用意される

 

夜間瀬川を渡ると、路線は右に左にカーブを切りつつ、勾配を登っていく。このあたりの沿線はリンゴ園や、モモ園などが多いところ。GWごろは薄ピンクのリンゴの花、桃色のモモの花が沿線を彩り見事だ。

↑夜間瀬駅〜上条駅間を走る1000系「ゆけむり」。GWごろ高社山を仰ぎ見る夜間瀬付近ではモモやリンゴの花が見ごろを迎える

 

リンゴ園を見つつ急坂を登れば、列車は程なく湯田中駅に到着する。

 

この駅の構造、少し不思議に感じる人がいるかもしれない。現在のホームと駅舎とともに、すぐ隣に古い駅舎とホームがある。実はかつて、普通列車よりも長い編成の特急列車などは駅の先にある県道を越えて引込線に入り、折り返してホームに入っていた。

 

駅構内でスイッチバックする複雑な姿の駅だったのだ。さすがに不便だということで、2006年に大改造、スイッチバック用の施設は取り外され、現在のホームと線路のみとなっている。

↑湯田中駅に到着した1000系「ゆけむり」。右側の駅舎がかつての駅舎で、現在は日帰り温泉施設として使われている。線路は右側ホームにも沿って敷かれていた

 

↑日帰り温泉施設「楓の湯」として使われる旧湯田中駅舎。この建物の前には足湯(写真円内)もあり、無料で湯田中温泉の湯を楽しむことができる

 

列車が到着すると「美(うるわ)しの志賀高原」という懐メロがホームに流れる。志賀高原、そして湯田中・渋温泉の玄関口である湯田中駅らしい演出でもあるのだが、この曲が作られたのは1956(昭和31)年だという。このタイムスリップ感は並ではない。これぞ世代を超えた永遠のリゾート、志賀高原! というところだろうか。

↑湯田中駅前のバス乗り場。奥志賀高原ホテル行きや白根火山行きのバスが出ている。こうした“高原行きバスと乗り場”の光景も昭和の面影が強く感じられ、懐かしく感じられた

 

【観光列車の情報】

毎週末、下り:長野駅13時6分発、上り:湯田中駅11時25分発の上下2本は特別な「ゆけむり〜のんびり号〜」として走る。普通列車のようにゆっくりと沿線を走る観光案内列車で、撮影スポットで徐行運転を行うサービスもあるので、期待したい。料金は通常の特急と同じで、乗車券プラス特急券100円が必要。一部の車両はワインバレー専用車両となる(要予約)。

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