◆大阪モノレール3000系◆
【大阪モノレールの秘密】日本一長いモノレール路線を走る
大阪市の近郊を半周するように走る大阪モノレール(大阪高速鉄道株式会社)。路線の開業は1990(平成2)年6月1日のこと(南茨木駅〜千里中央駅間)。現在は大阪空港駅〜門真市駅(かどましえき)間を走る大阪モノレール線と、途中、万博記念公園駅から別れ、彩都西駅(さいとにしえき)まで走る国際文化公園都市モノレール線(彩都線)の2路線が走っている。
路線の距離は現在28km。1998年には、当時の営業距離21.2kmがモノレール路線として最長になりギネス世界記録の認定を受けた。その後の2011年に中国重慶市に距離が上回るモノレール路線が誕生したことから、今は世界最長では無い。とはいえ日本最長の距離を持つモノレール路線であることに変わりがない。
大阪モノレールはレールの上に車両がまたがる「跨座式(こざしき)」と呼ばれるモノレールの路線。走る車両は既存の1000系と2000系。さらに10月には17年ぶりとなる新車3000系が登場し、10月21日から営業運転を開始した。営業開始直前に試乗する機会があったので、その様子をお伝えしたい。
【3000系の秘密1】丸みのある先頭部。2色のラインが円を描く
車庫から万博記念公園駅のホームへ入ってきた新型3000系。先頭部の特にガラス窓から上部への丸みが目立つ造りとなっている。さらに大阪モノレールのコーポレートカラー・ウルトラマリンブルーと呼ばれるブルーが鮮やかだ。
車体側面にはブルーと、ピンクの2色のラインが円を描くように連なる。こちらは人と沿線(まち)をつなぐ“わ(輪)”をイメージしたものだとされる。
先に紹介した丸ノ内線2000系と同じように、大阪モノレールの3000系も丸みを活かしたデザインが特徴となっている。
両車両とも車体はアルミ合金製だ。このように、なめらかな丸みを帯びたデザインは、アルミ合金製の車体を溶接して接合・整形といった加工技術が時代とともに進化してきたことも大きい。
加えて、通勤電車は四角顔、角張った機能一辺倒のスタイルから、丸みを帯びた、より「やわらかさ」を前面に打ち出そうとする時代背景も大きいと言えるだろう。
ちなみに大阪モノレール3000系は日本デザイン振興会が主催する2018年度グッドデザイン賞を受けている。
【3000系の秘密2】通勤電車最大級!平均より5cm広い座席幅
外観がかなり印象的な3000系だが、車内は快適性そのものだ。加えて楽しい試みが取り入れられている。
車内で最も注目したいのは座席の広さだ。窓を背にして座るロングシートながら、1人分のサイズは48cmある。JIS規格でロングシートの1人分の座席幅は43cmが必要とされている。最近では、大柄な男性の体型を考え46cmという新型の通勤車両も出現したが、48cmは座ってみるとやはりゆったりめに感じた。
ちなみに東海道新幹線のN700系の普通車3列シートの場合、窓側、通路側の席が44cm、真ん中の席が46cmだ。つまり大阪モノレール3000系は、新幹線の普通車のリクライニングシートの幅より広いということになる。
車内のほかの特徴も写真で見ていこう。