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2018/11/25 17:30

日本最古級のお宝電車が走る「琴平線」に乗車ーー 讃岐らしい風景に癒される

【琴平線のお宝7】内外からの参拝客で賑わう金刀比羅宮

筆者が乗った電車は1100形。元京王電鉄の5000系(初代)だった車両だ。田畑が広がる郊外では、結構なスピードで走る。

 

1970年ごろの電車の乗り心地は、こんな感じだったのかと思えるほど、線路の継ぎ目で、バウンドする。帰路も途中までこの電車だったのだが、当時の電車の“乗り心地”、そして“乗り方”を思い出した。

 

そのころの電車は、車両の端と、中間スペースだと、中間スペースの乗り心地が良かったように覚えている。車端部は台車にもよるが横揺れ、縦揺れが直接、感じられる。このあたり、ブルートレインに利用されていた寝台客車にも似た経験があったことを思い出した。

 

そんな懐かしい揺れを体験しつつ高松築港駅から、ちょうど62分で終点の琴電琴平駅に着いた。駅からは金刀比羅宮方面(ことひらぐう)へ向かう人が多い。

 

同駅から人気の金刀比羅宮までは、徒歩15分。「こんぴらさん」の名で親しまれ、海の神様として知られる。参道の長い石段が有名で、本宮までは785段、奥社までは計1363段にも及ぶ。琴平にはすでに複数回、訪ねているが、この難業がつらそうで、残念ながらまだ金刀比羅宮は訪れたことがない。次こそはと思い琴電琴平駅を後にした。

 

↑重厚な趣の琴電琴平駅。右後ろに高灯籠が見える。西暦1859年に建てられたもので、高さ27mの高さは灯籠としては日本一の高さだとされる。国の重要有形民俗文化財に指定される。船を操る人たちが「こんぴらさん」を拝む時の目標だったとされる

 

↑琴電琴平駅のホームは通常は1番線を利用(写真の奥)。手前の2番線は留置線として使われている。レトロ電車の運行時は1時間20分あまり2番線に停まる。駅の横に公道があり、そこからの撮影が可能だ(写真参照)

 

 

【ことでんの現状】順調な鉄道事業だが難しい課題も抱える

さて、最後になるが高松琴平電気鉄道の、鉄道事業および課題にも触れておこう。

 

実は高松琴平電気鉄道、2001年の暮れに民事再生法適用を高松地裁に申請している。原因は瓦町駅上に建てたコトデン瓦町ビルの問題だった。駅ビルの竣工は1997年だった。そごうグループと提携し、「コトデンそごう」を設立、駅ビル内に開店した。

 

ところが、開店して間もない2000年にそごうグループが破綻してしまう。翌年にはコトデンそごうが閉店を余儀なくされた。その余波は大きく、高松琴平電気鉄道の民事再生法適用の申請につながってしまった。その年には複数の子会社が倒産している。

 

コトデン瓦町ビルには、その後に高松天満屋が入居したが、百貨店事業は時代が進むとともに右肩下がりの状況となり、高松天満屋も2014年に閉店してしまう。鉄道統計年表を見ても、この影響が出ている。

 

2012(平成24)年度から2015(平成27)年度の損益数値を見ると、鉄道事業は順調に推移しているものの、2014(平成26)年度から「その他の兼業」という数値がマイナスとなり、最終的な損益の金額がマイナスになっている。

↑各駅にはICカードのリーダーが設けられる。ことでんのカードの名称は「Iruca(イルカ)」。ことでんのキャラクターにちなむ。全国の主要交通系ICカードの利用ができて便利だ

 

その後の2015年にコトデン瓦町ビルは、テナントビルとしてリニューアル。「瓦町FLAG」として再スタートした。よって2016年度以降の損益も改善すると思われる(まだ平成28年度以降の数値は未発表)。

 

実は2001年以降は、新社長を迎え体制を一新、地方私鉄としては画期的な策を多々、導入するなどしていた。2005年には、今では全国に普及している交通系ICカードを、いち早く導入している。また2013年には、「イオンモール綾川」の最寄り駅として琴平線に「綾川駅」を新設している。

 

飲んで遅く帰宅する人向けに、金曜日のみ深夜0時高松築港駅発(琴電琴平駅0時58分着)の臨時列車を運行するといった、涙ぐましい努力を続けている。

 

地方私鉄の舵取りの難しさを伺わせる実情である。今後、ことでんがどのような歩みを続けていくか、温かく見守りたい。

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