【変貌する相鉄線7】順調に増備される新線乗り入れ用の車両
まずは新線乗り入れ用に使われる相鉄の車両は次のとおりだ。
◆相鉄11000系 相鉄・JR直通線用
↑JR東日本のE233系をベースにして造られた相鉄11000系。2018年5月に同車両が相鉄・JR直通線用に使われることが表明された。写真は人気のそうにゃんトレイン(四代目)のラッピング車両。すでに五代目が運行されている
2009(平成21)年に導入された11000系。JR東日本の代表的な通勤用の車両E233系をベースにして造られている。ほぼ同形式と考えても良いだろう。JRへの乗り入れを念頭におき、車両が導入されたことをうかがわせる。
新線の完成に備え、相鉄の電車であることがひと目で分かるように、車体の色をYOKOHAMA NAVYBLUEに変更する予定もあるようだ。
◆相鉄12000系 相鉄・JR直通線用
2019年春に導入する新車両として発表されたのが12000系。相鉄・JR直通線用に使われる予定だ。車両デザインは、すでに登場している20000系に近いものの、製造するのがE233系を手がける株式会社総合車両製作所。JRの路線で共用できるような車両システム(走る路線用の切り替え機能等を持つ)を搭載している。
◆相鉄20000系 相鉄・東急直通線用
2018年2月に登場した20000系。同車両は相鉄・東急直通線用に造られた。まだ10両1編成しか導入されていないものの、相互乗り入れが行われるのに合わせて、増備される予定だ。
【変貌する相鉄線8】相互乗り入れはどのように行われるのだろう?
さて、各路線とはどのように乗り入れが行われるのだろう。各社からの具体的な発表はまだ無いが、既存の列車などの運行を元に推測してみたい。
◆「相鉄・JR連絡線」完成後の運行予測
相鉄の新線がつながる東海道貨物線。貨物列車用の路線だが、実は旅客列車も走っている。朝は東京方面行き「湘南ライナー」「おはようライナー」が、晩は下り「湘南ライナー」「ホームライナー」が走る。
「湘南ライナー」は大船駅(一部は通過)と川崎駅(一部は通過)の間、東海道貨物線を通って走る。一方の「おはようライナー」「ホームライナー」大船駅(一部は通過)と渋谷駅の間、東海道貨物線を走って運行されている。
これらの列車の動きが一つの参考となりそうだ。貨物線と言っても、これらの列車が向かう品川駅・東京駅や、渋谷駅・新宿駅まで旅客用の線路にも結びついているわけだ。「相鉄・JR連絡線」がつながれば、相鉄からの乗り入れももちろん可能になる。
完成後には二俣川駅から新宿駅までが約44分。従来に比べて15分程度の短縮となる。
◆「相鉄・東急連絡線」完成後の運行予測
東急線との相互乗り入れはどうなるのだろう? これは相鉄の新車20000系の車幅がひとつのヒントになる。車幅2770mmというサイズは、実は、都営地下鉄三田線と東京メトロ南北線の車両幅と同じだ。よって東急目黒線、さらに都営地下鉄三田線、東京メトロ南北線への乗り入れが行われると予測できる。
だが、乗り入れに際して課題もある。東急目黒線を含む3路線は現状6両編成で、しかもワンマン運転が行われている(都営地下鉄三田線は8両編成計画が具体化している)。
対して相鉄20000系は10両編成だ。相鉄では現在、この20000系を1編成しか用意していない。2編成以降、乗り入れが可能な8両(もしくは6両)編成で新製し、さらにワンマン運転に対応する機能が追加されると思われる。
新線が完成、乗り入れが行われれば二俣川駅から目黒駅までは約38分となる予定。現在の到達時間と比べると16分程度も短縮される予定だ。
こうした運行予測は、新線が完成する前の楽しみなところでもある。実際にどのような列車の運転が行われるか、それこそ期待が膨らんでくる。