【めでたい加太線に乗る3】磯ノ浦駅付近から海も見えてくる
東松江駅からしばらくは住宅地が続く。二里ケ浜駅(にりがはまえき)を過ぎると線路の左手にヨットが係留されるマリーナが見え始め、海景色が車内からも見えるようになる。次の磯ノ浦駅は加太線で最も紀伊水道が面した海岸が近い駅だ。駅のすぐ前に磯の浦公園があり、夏は磯の浦海水浴場がオープンする。
磯ノ浦駅を過ぎれば、終点まであと一駅だ。電車は山の中に分け入り、右に左にカーブを描き、加太の町へ入っていく。
終点の加太駅ではレトロな駅舎がお出迎え。この駅舎は加太線が誕生した1年前の1911(明治44)年に建てられたものだ。華やかな「加太さかな線」のフラッグなどの飾り付けが行われ、明治と現代のデザインが上手く組み合わさっているように感じた。
最後に加太駅周辺の観光スポットをあげておこう。
□加太港(加太駅から徒歩10分)
鯛の一本釣りで知られる加太港。漁港を囲む堤防は魚釣りのメッカとして人気が高い。港からは友ヶ島(沖ノ島など四島の総称)観光の遊覧船も出航している(乗船30分)。友ヶ島は太平洋戦争までは旧日本軍の軍用地で、その遺構も残されている。
□淡島神社・あわしまじんじゃ(加太駅から徒歩20分)
2万体ともいわれるひな人形が供養のために奉納されている神社。縁結びを始め、安産祈願など「女性のための神様」として信仰を集める。不思議なことに神社に納められた人形の中には、奉納後に髪の毛が伸びたものがあるとされる。
□加太春日神社(加太駅から徒歩8分)
春日三神が祀られる神社。春日三神は武の神様とされ、プロアスリートが必勝祈願に訪れることが多い。社殿は桃山建築の特徴を残す。おみくじは鯛の形をしていて参拝の記念に最適だ。
こうしたスポット以外に、地元にあがった魚介類を扱う料理店が加太の街中にある。ちなみに加太の代表的な四季の味をあげると。春は「ウマズラハギ」、夏は「おにおこぜ」、秋は鯛、冬は「クエ」がお勧めだ。
「めでたいでんしゃ」に乗車するとともに、こうした海のまち加太を満喫してはいかがだろう。
【ギャラリーその2】