新型車両おもしろレポート 〜〜西武鉄道001系Laview〜〜
3月16日から西武鉄道の新型特急001系が走り始める。レッドアローの名で親しまれてきた西武特急が「Laview(ラビュー)」と愛称を一新。大胆なスタイルを採用、新しい時代へ進む西武鉄道の“意欲”を強くアピールするかのようだ。
車両基地内で接し、短時間ながら試乗する機会を得た。001系とはどのような車両なのだろう? さまざまな角度から新型特急の個性的な姿に迫ってみたい。
【西武特急の歴史】受け継がれてきたレッドアロー号の系譜
新しい特急電車を紹介する前に、西武鉄道がこれまで走らせてきた特急電車を簡単に紹介しておこう。
◇西武鉄道5000系レッドアロー 1969(昭和44)年10月14日誕生
5000系は西武鉄道が初めて走らせた特急形車両で、レッドアロー(Red Arrow)という愛称が付けられた。1970年度には鉄道友の会のブルーリボン賞も授賞している。西武秩父線の開業に合わせて誕生した特急だった。
同時期に誕生した101系という高性能電車とともに、西武鉄道の新たな時代の到来を予感させた。
◇西武鉄道10000系ニューレッドアロー 1993(平成5)年12月6日誕生
2代目の西武特急として誕生したのが現行の10000系電車だ。「ニューレッドアロー」の愛称が付けられた。大半の編成がグレー系で塗装されているが、10105編成は「レッドアロー・クラシック」として5000系でおなじみだった車体カラーに変更されている。
5000系が生まれて24年たち、後継車両の10000系が登場した。さらに10000系が登場してから、昨年で25年たった。ほぼ四半世紀ごとに西武特急の代替わりが行われてきた。
そしてこの春、満を持して登場しようとしているのが001系である。ちなみに10000系が7両編成(編成定員406人)なのに対して新型の001系は8両編成(編成定員422人)として定員数を増やす役割もある。車両編成を増やしたことに合わせて、一部の駅ではホームの延長工事も行われた。
【新特急の誕生①】昨年の秋に愛称と車両の一部姿が公開された
西武鉄道の新型特急001系をデビューさせるにあたり、早くから慎重に準備が行われていった。新型特急は次の100年に向けて西武鉄道のフラッグシップトレインと位置づけられ、プランニング、デザイン、そして車両製作が進められていった。
通常、新車の発表といえば、車両ができ上がり、走り始める前に車両基地などでお披露目をする例が多い。ところが、今回は2016年3月に新型特急の導入を発表。さらに昨年秋には報道陣向けに、新型特急の発表会見を開いている。西武鉄道の力の入れようが並みではないことが窺えた。
新型特急の基本デザインを監修したのは建築家の妹島和世(せじまかずよ)氏。多くの建築デザインを担当し、内外の賞を数多く受賞している。とはいえ、鉄道車両をデザインしたは初めてのことだった。
鉄道車両のデザインといえば、男性デザイナーの作が多い。女性のデザイナーが中心となってプランニングされた例はほとんどない。革命的なできごとと言っていいだろう。
愛称は西武特急の代名詞ともなっていた「レッドアロー」の名は引き継がず、「Laview(ラビュー)」と一新された。Laviewの「L」は贅沢(Luxery)なリビング(Living)のような空間を指す、さらに「a」は矢(arrow)のような速達性。「view」は大きな窓から移りゆく眺望(view)を指す。
昨秋の会見時には、新型特急のデザインもわずかながら発表された。ただ、車両の一部のみだったこともあり、「実際にはどのような電車なのだろう?」と興味を持つ人が増え、注目度が高まっていった。